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zoom RSS 映画評「世にも怪奇な物語」

<<   作成日時 : 2013/03/28 09:44   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1967年フランス=イタリア合作映画 監督ロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニ
ネタバレあり

エドガー・アラン・ポーの怪奇小説三話を当時全盛期を迎えていた仏伊の三監督が映像化したオムニバス恐怖映画。

第一話は中世が舞台で、我儘な伯爵令嬢ジェーン・フォンダが好きな従弟ピーター・フォンダに冷たく扱われたのに腹を立てて手代に命じてその馬小屋に火を放つが、豈計らんや、馬を助けようとした従弟も死ぬ。しかるに、彼の魂が乗り移った黒馬が悲嘆にくれる彼女の前に現れ、彼女は馬に取り憑かれる。
 監督はジェーンの恋人だったロジェ・ヴァディムで、彼らしい耽美趣味を大いに発揮する一編。中世という設定なのに彼女の衣装が時々同じコンビによるSFエロ映画「バーバレラ」もどきになるのが特に面白い。怖いというよりは幻想的な怪奇劇である。

第二作は唯一原作も知っている「ウィリアム・ウィルソン」。舞台は近代。
 テーマは欧州でファウスト伝説と同じくらい流布しているドッペルゲンガーで、名前も同じウィリアム・ウィルソン二人がジキルとハイドのような別個の二人物として対峙、善なる方が悪なる方に殺されるが、相手は実は自分であった為に悪なる自分も死ぬ羽目になる。
 演ずるのはアラン・ドロンで、緊迫感とムードの醸成に優れたルイ・マルらしさという点で不満が残るが、ドロン・ファンには楽しめる一編になっている。ブログ友達の“時代の情景”のトムさんによれば、アラン・ドロンという俳優の二面性を顕す作品として象徴的に見ることができ、その点に注目して観れば尚更楽しめること請け合い。ブリジット・バルドーがお付き合い的共演。

最後は一番評判の良いフェデリコ・フェリーニ監督作品で、舞台は現代。
 楽屋裏暴露やサーカス趣味など「甘い生活」(1960年)以降表現されてきた彼の趣味性を色々と盛り込んだ一編で、途中の三分の二くらいまでは一向に怖くなく、寧ろフェリーニがやりたいことをやってるわいとニヤニヤさせられるが、イタリアに招聘された英国俳優テレンス・スタンプがお土産のフェラーリに乗ってからは少女の姿をしている悪魔が本格的に活躍し始めて、恐怖が醸成されてくる。
 お話の構成としてはイタリアに着いた時から悪魔に魅入られているようで、“カトリックではないのでイタリア人が描く悪魔像とは違う”とご本人が仰る(笑)ように綺麗な悪魔である。それ故に恐怖は余計に増幅されるという仕組みで、退廃に耽ってきた男らしい因果応報ものと言うこともできる。

夫々を比較するのも良いが、ポーらしい幻想性が終始一貫しているのが大いにヨロシク、作品全体がオムニバス映画として良く出来ている。

タモリが案内役を務める「世にも奇妙な物語」は本作に影響されたタイトルでしょう。

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世にも怪奇な物語
約40年前の! ...続きを見る
映画と暮らす、日々に暮らす。
2013/03/28 11:39
『世にも怪奇な物語 第2話 影を殺した男(William Wilson)』@〜もう一人の自分 ド…
 好むと好まざるに関わらず、自分がもうひとりの自分を必要な場合とはいかなる場合でしょうか? 二重身=ドッペルゲンガーとは自分自身がもう一人の自分を見たり、存在すると確信したりしてしまうことで、分身体験などともいわれ、多重人格とは区別されているようです。 そして、これらの現象事例の多くには劣等感コンプレックスの問題があるのではないかといわれているそうです。 コンプレックスの結果には現時点の自己自身に満足できずに、別の高次の人間になりたいという願望を生み出す要素があります。元来はその願望は人間の成長... ...続きを見る
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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
この映画は好きですね。
怪奇というより幻想的ですね。
ミステリーとファンタジーの兼ね合いが絶妙です。
何回も見てます。

タモリさんの『世にも奇妙な物語』は影響というより、タイトルと構成は、もろパクリでしょう。(笑)
星新一さんの短編などを原作として使用して、なかなかいいです。好きな番組のひとつです。
視聴率など気にしないで、こんな番組を作ってほしいですね。
ねこのひげ
2013/03/28 19:05
ねこのひげさん、こんにちは。

僕も10年に一度くらいは見ていると思います。
面白いですね。

>星新一さん
小学校から中学校にかけて大半の作品を読みましたが、「ネチラタ事件」というショートショートがお気に入りでした。
いつも見ているわけではないですが、この作品名が目に入ったこの回は観ました。映像版も面白かった。
オカピー
2013/03/28 22:17
*オカピー さん*

「ザ・ガール …」でコメント返しを
ありがとうございました!
オカピーさんも同じ世代で更には
WOWOWの長期加入者でいらっしゃるとのこと。
たいへんうれしいです!!

本作は先月3/17の「あなたの映画館」で
OAされたものをご覧になられたのでしょうか。
実は・・・
これ、私がリクエストしました

小学生の高学年の頃かに初見して
とっても印象に残った作品でした。
大人になってからもなぜか時おり観たくなる…
そんな不思議な魅力を持った作品です。

今回リクエストしたのは「ブラック・スワン」と
第2話の「影を殺した男」が重なってくるような?
その辺りをチェックしたかったのと
大好きなテレンス・スタンプの
“イっちゃってる演技”を再見したかったのが
主なリクエスト理由でした。
が、HDDに録画したものの未だ観直してなくて(笑)

WOWOWオンライン上ではmis@のHNにて
レビューを書かせていただいています。
もしよろしければ拙いレビューも
冷やかして下さいませ。

これからちょくちょくお邪魔させていただきますね。
こちらこそ
どうかよろしくお願いします
小枝
2013/04/03 00:06
小枝さん、こんにちは。

>先月3/17の「あなたの映画館」
その通りでございます。
放映がある度に観てしまう作品です。
今世紀になってから或いは初めてかもしれないですね。
今回はブルーレイで永久保存版を作りましたので、ハイビジョンの高画質で随時楽しめます^^)v

>私がリクエスト
おおっ!
僕も観直したい旧作をたくさん抱えていますが、「どうせないだろう」と消極的態度を決め込んでおります。しかし、ちょっとやってみようかなあ^^

>「ブラック・スワン」
あの作品は途中から終幕を除いて全て幻想だろうと僕は思っています。
「影を殺した男」はウィリアム・ウィルソンがもう一人のWWと出会うところから幻想なのかもしれませんね。欧州で流布しているドッペルゲンガー伝説をベースにしていますが。

>テレンス・スタンプ
「コレクター」「血と怒りの河」など魅力的な男優ですよね。
本作のラリった英国俳優は確かに面白いキャラクターでした。

昔のブログ仲間が次々とリタイアしていく中、同志に出会った気分に舞い上がる気分でした。
近いうちにそちらにコメントを残しに出かけますので、少々お待ち下さいませ<(_ _)>
オカピー
2013/04/03 19:51
オカピーさん、ご無沙汰しておりました。それから、新年おめでとうございます。約1年ぶりに自分ブログを開くことが出来ましたよ。「公」は忙しく(こちらは以前からなのですが)、「私」で酷い目にあっていたもので・・・。ブログどころじゃありませんでした。現在でも状況に大きな変化はないのですが、気持ちには若干余裕が出てきました。
さて、わたしのブログ紹介ありがとうございました。この作品は私としてはドロン名作品の上位に位置づけたいと思っておりますので、オカピーさんの8点はうれしいですねえ。確かにバルドーはもっと活かして欲しかったですが・・・。それから、世評の多くはフェリーニの3話目がダントツの高評価のようですが、私は1話目、2話目も全くひけをとっていないと思うんですがね???一般的な世評には、いつも不満が残っています。
トム(Tom5k)
URL
2014/01/01 17:33
トムさん

いやあ、お久しぶりです。
以前もお忙しいと仰っていたので、そう思っておりましたが、私ごとが加わっていたのですね。

私ごとと言えば、僕も年末400万円を詐取されたことが判明しまして、精神的に死にそうになりましたし、現在別の不安も生じて大変な時期にあるのですが、幸い生活をするお金は残っておりますので、時が解決するでしょう。

でも、不思議とブログはやめる気にならない。文章を作っている最中は大概悪いことを忘れているから。事件についても公表することで楽になれる気もしましたし。

監督の個性が出ているという意味ではフェリーニ⇒ヴァディム⇒マルという順になるかと思いますが、ドロン贔屓ということを別にしてもマル作も悪くはありませんでした。僕は“マル”をつけたのですが(笑)。
ヴァディムもこの後のどの長編よりも良いです。
オカピー
2014/01/01 20:15

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