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zoom RSS 映画評「パレルモ・シューティング」

<<   作成日時 : 2013/03/24 10:26   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2008年ドイツ=フランス=イタリア合作映画 監督ヴィム・ヴェンダース
ネタバレあり

アメリカを仕事の拠点にしていたヴィム・ヴェンダースが12年ぶりに本来の拠点である欧州で撮影した、なかなか難渋な幻想映画である。

最初は彼の祖国ドイツはデュッセルドルフが舞台で、主人公は売れっ子写真家のカンピーノ(役名ではなく芸名でござる)。ファッション写真にうんざりし行き詰まりを感じ死と生の間で揺れ動いていた彼が、妊婦モデルのミラ・ジョヴォヴィッチ(本人役で本当に妊娠していた)の要求で彼女を再び撮る為にシチリア島パレルモを訪れ、同地美術館収蔵のフレスコ画「死の勝利」を修繕している美女ジョヴァンナ・メッツォジョルノと知り合い、絵に誘われるように死の矢を放たれた彼は実際に死に損ない、死の幻想に取り憑かれるようになる。

といったお話で、序盤に車を運転中に写真を撮ろうとした為に事故死しそうになるエピソードがあるが、これは実は逆で写真を撮った時に偶然死神デニス・ホッパーを写したものだから、彼の特殊な“才能”に感じ入った(?)死神が寧ろ一時的に彼を助けたと解釈したい。

パレルモに写真を撮りに行った彼が矢を放たれる。即ちシューティングは写真撮影と矢を放たれることを意味する掛け言葉で、かかる洒落っ気は面白く、終盤の死神との対峙場面も明らかにイングマル・ベルイマンの「第七の封印」(1956年)を意識していてニヤッとさせるが、幕切れの応酬によりテーマが死生観というよりヴィンダース自身のアナログ撮影対デジタル撮影への雑感を表白した印象に終わるのはどう評価したら良いものか。序盤でのデジタル写真への細工指示やライカで撮っている女流カメラマンとの遭遇など布石が十分である為それはそれで頗る興味深いものの、“映像に細工できる為に実際を写していない”デジタル撮影を否定も肯定もしていない印象に終わってすっきりしない。

結局死神は彼を当座の死から解放し、彼は修復美女との人生に幸福を見出してチャンチャン。こうして書き綴るうちに、難渋なのか単に散漫に過ぎないのか解らなくなってきた(苦笑)。

個人的に嬉しかったのは、僕がCDを全部持っているヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「サム・カインダ・ラブ」を背景に大分老けこんだリード・ヴォーカル(兼主たるコンポーザー)のルー・リードご本人が観られたこと。歌による幻影とも理解できるが、彼はどのようにも変身できる死神の一様相であろう。

ヴェンダースはやはり1970〜80年代の作品が好きだなあ。

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パレルモ・シューティング
デジタルじゃ心霊写真撮れない? 公式サイト。英題:The Palermo Shooting。ドイツ、フランス、イタリアの2008年作品。ヴィム・ヴェンダース監督、カンピーノ、ジョヴァンナ・メッツォジョル ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2013/03/24 14:42

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
”駿馬も老いれば駄馬にも劣る”なんて言いますからね。
どんな才能がある人でも天才と言われる人でも、年を取るとダメになるみたいですね。

『エイリアン』のリドリー・スコットの『プロメテウス』・・・・期待していただけに、ガックリでしたね。
標準よりはるかに上の作品には違いないんですが、ひつこさと衝撃が無くなっているんですね。
いい作品には違いないけど・・・・なにか?というところです。
ねこのひげ
2013/03/25 03:41
ねこのひげさん、こんにちは。

本作も、ヴェンダースらしいところは随所にありますが、ちょっと漠然としてるかなあという印象。彼はもっと詩的だったんだけどな。

>リドリー・スコット
腐っても鯛というところはあるでしょうね。
まだ観ていないので、何とも言えませんが。

映画より音楽の方が解りやすくて、大体三十半ばくらいで本当に良いものは作れなくなるケースが目立ちます。
オカピー
2013/03/25 21:37

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