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zoom RSS 映画評「マシンガン・プリーチャー」

<<   作成日時 : 2013/03/20 09:54   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年アメリカ映画 監督マーク・フォースター
ネタバレあり

アフリカは各地で内戦若しくは戦争状態で、別の意味でかつて使われていた“暗黒大陸”という呼称を思い出さざるを得ないが、本作は2011年9月に遂に独立を果たした南スーダンにおいて独自の活動をしていた(現在では過去形か?)アメリカ人牧師サム・チルダース氏の人生を描いた実話ものである。

麻薬犯罪に手を染めていたチルダース(ジェラード・バトラー)が出所後も懲りずに荒れた生活をしたある日の経験から、ストリッパーだった妻リン(ミシェル・モナハン)が頼り出した信仰に傾き、始めた建設業の腕前を生かして遂には自ら教会を立てる。
 招聘した牧師が嫌がって来ない為代わりに壇上に立ったのをきっかけに説教師(牧師)になる一方、以前教会で聞いたアフリカの問題に関心を持って南スーダンに出かけて見出した難民状態の子供たちを救おうと、反政府勢力と手を組み、敵対するLRA(スーダン政府の援助を受けている北ウガンダの反政府勢力)と闘いながら、遂に養護施設を建設する。LRAに狙われても平気の平左、知人の資本家に融資を断られると、自分の財産の全てを投げ打って児童の救出・擁護と反政府勢力の抵抗活動を支援していく。

元来銃好きのチルダース氏は暴力でしか解決しない時には暴力を手段とするのを厭わない。極端な平和主義者はかかる人物には抵抗があるだろうが、戦争が嫌いな僕でも両方のほっぺを叩かれるのを良しとするほどお人好しではないので、彼の行動は理解できる。

映画としては彼のスーダンでの活動が中心ながら、それまでの人生が興味深く、スーダンでの活動に嵌り込む余り正気を失った感のある中で愛情を失わずにいる妻と娘ペイジ(ライアン・カンポス、ミドルティーン後マデリン・キャロル)の度量の大きさが感銘的でさえある。勿論、その背景には彼自身が引きつける魅力もあると推測され、落ち着いて娘に電話をかける場面にその一端が伺える。

南スーダンの惨状は「サラの鍵」のユダヤ人狩りや「僕たちは世界を変えられない。」のポルポト派によるインテリ虐殺の愚行にも匹敵し、直接描写は極力避けているがもう勘弁して下さいという気持ちにさせられる。

マーク・フォースター監督としては長回しのところに短いカットを挿入したり、工夫しているところがあるものの、他作ほど際立った演出の面白味がない。

自分のことしか考えていなかった人間が、他人のことを先に考えるようになったのが、奇跡じゃよ。解決に暴力が必要か否かはその次に来る問題じゃろ。

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マシンガン・プリーチャー/ジェラルド・バトラー
内戦状態の続くアフリカのスーダンで子供たちの救出活動に従事するアメリカ人活動家のサム・チルダースの姿を追った実話に基づいて描かれたヒューマン・ドラマです。予告編は目に ... ...続きを見る
カノンな日々
2013/03/20 22:30

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
スーダンやソマリアなどアフリカ諸国の問題は、部族レベルのところに国際レベルでの援助をしたための悲劇だそうでありますがね。

先日、テレビで観たのでは、泥水を飲み水に変える装置でバングラデッシュを援助をしている日本企業を紹介してましたが、最初は小さな村から始め、数年後には、ひとつの企業に仕立て上げ、1000人からの雇用を生み出して、ついには州政府からも州全体を救ってくれるように頼まれてました。
けっして、映画にはならないでしょうが、こういう平和で地味な援助は日本人らしいです。
ソマリアやスーダンにも、この飲み水を作る装置で救いの手を差し伸べたいとその社長は言っておりました。
時間はかかりますが、有効な手段のようであります。

この映画の救い方はいかにも白人的でありますが、長続きするかという疑問がわきますが、早急に救わねばならないときは、暴力も致し方ない所でありましょう。
ねこのひげも、ぶっ飛ばされたら、ぶっ飛ばし返す方でありますから・・・
ねこのひげ
2013/03/21 04:53
ねこのひげさん、こんにちは。

>バングラデッシュ
政治家も高級官僚も大半は自分の利益優先で、本当に日本国と日本国民を考えて仕事をしているとは思えませんなあ。
それに比べ、こうした企業は、最終的には自分の利益にもなるにしても、相手の利益を考えているところが良いではありませんか。

この映画の主人公は独立までこの活動を続けたんでしょうね。映画が完成する前に南スーダンが独立を果たしていれば、最後の字幕は変わっていたでしょう。
しかし、独立した後も完全に問題がなくなったわけではないことは、一部の報道で知りました。なかなか人間は厄介な生き物です。腹がいっぱいになっても満足しないのですから。
オカピー
2013/03/21 20:48

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