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zoom RSS 映画評「マルタの鷹」

<<   作成日時 : 2013/03/13 09:52   >>

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☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1941年アメリカ映画 監督ジョン・ヒューストン
ネタバレあり

小学校高学年から高校時代くらいまで本格推理小説はよく読んだが、ハードボイルド小説は「後でいいや」と思ううちに中年になってしまった。で、先年やっとレイモンド・チャンドラーの「さらば愛しき女よ」を読んだばかり。その癖ハードボイルド映画は好きなのだから我ながらおかしなものだ。

本作はチャンドラーと並ぶハードボイルド小説作家ダシール・ハメットの代表作の三度目の映画化にしてハードボイルド映画の決定版的傑作。但し、僕のイメージするハードボイルド映画の典型的ストーリーはフィリップ・マーロウのそれで、文体はともかくお話に冒険小説的要素のある「マルタの鷹」ではない。何十年かぶりの再鑑賞(多分三度目)。

サンフランシスコで、アーチャー(ジェローム・コーワン)と一緒に探偵事務所を経営しているサム・スペード(ハンフリー・ボガート)が、ある女性(メアリー・アスター)から妹を愛人関係にあるヤクザな男サースビーから切り離して欲しいと頼まれるが、調査に当たったアーチャーが射殺され、程なくサースビーも射殺された為、警察から犯人と思われて付きまとわられる。
 しかるに、カイロ(ペーター・ローレ)という謎めいた男の出現から、事件がマルタ騎士団にまで遡る秘宝“マルタの鷹”の争奪に関係していて、女性即ちブリジット・オショーネシーの依頼は勿論全くの嘘であり、元来“マルタの鷹”を欲しがっていたのは大男ガットマン(シドニー・グリーンストリート)で、カイロやブリジットといった代理人がその価値に気付いた為にややこしい事件に発展したことを突き止める。

残念ながらハメット自身の文体を知らないから心理描写と説明を排したとされる原作と比較することは出来ないが、そうした原作への評価と通底する簡潔なジョン・ヒューストンの演出はデビュー作とは思えない鮮やかさである。カイロを倒すまでの一連の描写、ガットマンの部下で殺し屋のウィルマー(「現金に体を張れ」(1956年)で好演したイライシャ・クック・ジュニア)から拳銃を奪う場面の切れ味など唸る外ない。

ヒューストンのデビュー作だから高く評価されている(ある人のご意見)のではなく、栴檀は双葉より芳し、本デビュー作においてハードボイルドらしく感情的な描写を排して当時としては(今の基準でも)異様に速いスピードで展開させた才能によりヒューストンは名監督となっていくのである。事実、終戦直後アメリカでも日本でもヒューストンは戦中・戦後ハリウッド最大の収穫であると言われた。決して後年の作品群によってではない。

配役では、現時点でサム・スペード役に適しているかどうか正確に判断できないが、とにかく時々妙な笑い方をする非情な彼を演ずるボギーには抗し難いものあり。その他配役陣は全般的に好調だが、ブリジットに扮したメアリー・アスターにファム・ファタールとしての決定的な魅力がなく、野球で言えばパーフェクト・ゲームが野手のエラーによりノーヒット・ノーランに終わったような印象あり。

♪スペードのエースが出て来ない、やめられないこのままじゃ♪ わしゃも古いね。

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コメント(4件)

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ペーター・ローレとシドニー・グリーンストリートがいいんですよね。
ボギーは元悪役だったのがこの映画の役にはうまくあってたと思います。
nessko
URL
2013/03/13 12:52
ミステリー、ハードボイルドファンとしては見逃せない映画であり小説であります。
名作の一つでありましょう。
ねこのひげ
2013/03/13 18:55
nesskoさん、こんにちは。

ペーター・ローレは不思議な役者で、どの作品でも面白い。
グリーンストリートも味があったなあ。
ボギーが丁度悪役からスター俳優に変わるきっかけになったような作品ですね。悪役時代の名残りがあるような演技が興味深かったと思います。
オカピー
2013/03/13 22:08
ねこのひげさん、こんにちは。

原作も読まんといかんですなあ。
ハメットでは「マルタの鷹」「ガラスの鍵」「血の収穫」がマストでしょうね。
オカピー
2013/03/13 22:13

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