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zoom RSS 映画評「クリスマスのその夜に」

<<   作成日時 : 2013/01/03 09:54   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年ノルウェー=ドイツ=スウェーデン合作映画 監督ベント・ハーメル
ネタバレあり

ノルウェーにも他に映画監督はいるだろうに、僕の知る限り日本できちんと劇場公開されるのはベント・ハーメルただ一人。その新作は、日本の「大停電の夜に」(2005年)を思い出させる群像劇である。

クリスマス・イブのノルウェーのある街、新しい恋人が出来た妻に追い出されたパウル(トロンド・ファウサ・アウルヴォーグ)は、七か月ぶりに子供に逢おうとその恋人を倒してサンタの扮装をし、束の間の再会を果たす。
 その彼の愚痴を聞く相手である医師クヌート(フリチョフ・ソーハイム)は、旧ユーゴから流れて来た異民族カップルの出産を助け、落ち着き先のスウェーデンに行く為の車を貸す。
 小学生トマス君(モッテン・イルセン・リースネス)は家族との祝いの席を避けて、一年上級の少女ビントゥ(サラ・ビントゥ・サコール)とイスラム教のシンボルの一つ“ベツレヘムの星”シリウスを望遠鏡で眺める。
 カリン(ニーナ・アンドレセン=ボールド)は別れると言って一向に実行しない男が妻といる教会へ赴き、同じマフラーをした妻の横に座る。
 サッカーの英雄だったのにたった一度のミスで選手を止めて遂には文無しになったヨルダン(ライダル・ソーレンセン)は、久しぶりに再会した恋人ヨハンヌ(イングン・ベアテ・オイゲン)に温かい手を差し伸べて貰い、出して貰ったお金で故郷に向かった電車の中で息絶える。

近年の群像劇は、邦画「海炭市叙景」のように準オムニバス構成のものがあるが、圧倒的に多いのは本作のように無理矢理人物を関係づけずにパラレルに進行する形式パターンである。尤も、この形式も、挿話を分割したオムニバス映画ということができる。

最初コソボの場面で始まり、暫くしてトマス君が出て来たので少々混乱したが、このコソボは勿論例の旧ユーゴ出身の夫婦との関連である。少々違和感を残す構成であることは否めない。それ以外に構成上問題はなく、集中さえしていれば(とわざわざ書いたのは本作鑑賞中当方に色々考える問題があって集中できなかったから)スムーズにお話は理解できるはず。

最終的に浮かび上がるのは、人生で大事なのは他人(ひと)との、民族や主義や宗教に関係ない、人間としての交渉であるということである。最初列車から冷たくも追い出されたヨハンヌは最後に昔の恋人との再会で人の温かみを久しぶりに確認できたのに、自ら人生を放り投げた結果は故郷到着寸前のあの残念極まりない死である。人間、やはり没交渉はいけません。

本年は、もっと積極的に人間(じんかん)の中に入って行くぞ。

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クリスマスのその夜に(2010)★☆HJEM TIL JUL
 おうちへ帰ろう! 評価:+5点=65点 作品が悪いわけではありません。ただこのテンポはどうも今の私にはヤバいんです。あぁ〜眠ったらどうしょう(汗)という感じで睡魔と闘いながら鑑賞でした。 ヨーロッパらしい群像劇。ニューイヤーズ・イブの乗りとは違います... ...続きを見る
銅版画制作の日々
2013/01/07 22:18

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
タイトルを見ると甘そうな話だな?と思ってみたら・・・でありました。

北欧ミステリー小説はここのところ立て続けに世界的ミリオンセラーを出しておりますけどね。
かなり残酷な話が多いですけど、独特な雰囲気があります。いずれ『ドラゴンタトゥーの女』のように映画化されそうです。

ハリウッドはあいもかわらず、リメークばかりで、『スーパーマン』何度目だろう?と思っていたら『ロン・レンジャー』も・・・・
あっと言わせるような映画を作れなくなっているんですかね?
ねこのひげ
2013/01/04 05:18
ねこのひげさん、こんにちは。

ハーメル監督作品の中では、最も一般的な作り方だったような気がします。見やすかった。

>北欧ミステリー小説
かつてミステリーと言えば、英仏が強かったんですけどね。
イギリスと言えば、19世紀英国の作家コリンズの超古典「月長石」が町の図書館にありましたので、近いうちに借りてこようと思います。
ティーンエイジャーだった頃は一般的なミステリーに比べて長いので手を出せなかったのですが、最近は長くても平気なので、長年の夢がやっと叶いそうです^^

>ハリウッド
そのうち見捨てます(笑)。
まだたまに良い映画や拾い物もありますが、絶対数が少なすぎますよ。
ハイビジョンでの旧作収集も相当できましたので、後数年で新作は卒業かな。
オカピー
2013/01/04 21:59

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