プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「リーサル・ウェポン」

<<   作成日時 : 2013/01/26 09:36   >>

ナイス ブログ気持玉 3 / トラックバック 3 / コメント 8

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1987年アメリカ映画 監督リチャード・ドナー
ネタバレあり

ダーティハリー」シリーズも1983年に一旦終了し、(僕の印象で)刑事映画に一時の勢いがなくなって来た頃現われたのがこの刑事アクションの秀作だった。僕の同僚が出張で空いた時間に見たと言っていたのも記憶している。
 恐らくこの作品に刺激されてブルース・ウィリスの「ダイ・ハード」が翌年作られたのであろう。どちらもシリーズ化されて刑事映画の消えかけた炎に再び火が付いた。同じ1988年には「ダーティハリー」シリーズも5年ぶりに復活する。しかし、同時に弊害もあり、刑事映画=バディものといった傾向が生まれ、その副産物が「バッド・ボーイズ」シリーズに見られるようなだらだらと続く駄弁である。勿論、アニメを筆頭に、アメリカ映画における駄弁の流行はクェンティン・タランティーノからの影響が無視できないわけだが。

高層ビルから裸女が飛び降りて死ぬという事件が発生、部長刑事のダニー・グローヴァーが捜査することになるのだが、妻を交通事故で失って以来自殺願望に取り憑かれた麻薬課の刑事メル・ギブスンの面倒を半ば見る形で相棒を押し付けられコンビで調べて行くうちに、死んだ女性がベトナム時代の戦友の娘で、どうもその時代から麻薬に手を染めていた元軍人たちが麻薬取引に絡んでいることが判り、順調に解決に向かって行った為、悪党側がグローヴァーの娘を人質にして形勢逆転を試みる。

本作が面白くなった所以は、家族のある温厚な刑事と妻も希望も失って自殺願望のある刑事という組合せに尽きる。自殺願望が生かされていないという御仁もいらっしゃるが、とんでもない。死んでも良いと思っているから思いきった行動が取れていることは十分すぎるくらいに描写されているし、家族のある至福に浸っている刑事とのコントラストが鮮やか、行動を共にするうちにギブスンの方は自殺願望が消えていき、温厚なグローヴァーは死を恐れない相棒のペースに巻き込まれていくわけである。その互いへの接近即ち相棒愛は、終盤二人で一緒に発砲するワン・ショット(偶然洒落になった)でよく理解できるように設計されている。

その間に抜群の拳銃の腕前を持つ二人が派手なガンプレイを繰り広げたり、カンフーを意識した白兵戦をやってのけるのだからつまらない筈がない。最後のゲイリー・ビュシーとの白兵戦の意味が薄いなど、細かく指摘していくと瑕疵がないわけではないが、めまぐるしいだけで眼がくらみそうな昨今の作品と違ってシーンやシークエンスごとに映画的な余韻がたっぷりあるのが嬉しい。但し、「ダイ・ハード」のほうが時代に耐える新しさ・面白さがあるのではないか、という気はする。

リチャード・ドナーは職業監督らしく、個性は薄いが、きちんとした仕事ぶり。

人間凶器。そこには狂気も入っているのでござる。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
ナイス ナイス ナイス

トラックバック(3件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
フレンチ・コネクション
  あっ、本作をしゃべくる前にちょっと待ってね。^^      コンビ刑事もの3本借りてきたのよ。 ...続きを見る
映画と暮らす、日々に暮らす。
2013/01/26 13:21
ついつい鑑賞してしまう刑事もの〜「リーサル・ウェポン」
本作は公開当時、劇場で見たのも含めその後、20回以上みてますが、好きですね、この作品。 ...続きを見る
取手物語〜取手より愛をこめて
2013/02/14 20:24
映画評「ナイス・ガイズ!」
☆☆☆★(7点/10点満点中) 2016年アメリカ映画 監督シェーン・ブラック ネタバレあり ...続きを見る
プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
2018/02/02 19:36

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
ドナーさん、4作すべてお作りになってらしてね。
律儀な方なんでしょう、きっと。^^
1作目がやはり一番楽しめましたかしらね。

「人間凶器」といえばそんなコミック本、
中学か高校生だった頃の息子に強制的に
読まされました。誰の遺伝子か(断じて私ではない)
格闘技好きの息子が何とかしてその方面、私に開眼
させようと画策したのでしょうが
さっぱり効果なしという・・・(- -)^^
唯一「寄生獣」というコミックだけは
面白かった記憶が。(全くバトルものではない)

ところで、本作を
まだ載せてらっしゃらなかったんですね〜
意外でございました。(^ ^)
vivajiji
2013/01/26 13:51
初めてタイトルを聞きました。
おもしろそうですね。
レンタルしてみようかなぁと思います
starfield
URL
2013/01/26 19:17
vivajijiさん、TBとコメント有難うございます。

シリーズ物ではこれだけ残っちゃいましたね。
特に理由はないのですが、きちんとした形で再鑑賞できるチャンスがなかっただけと思います。
やはり一作目が断トツに面白いと思います。
二作目以降も安定して楽しめますけど、敢えて観なくても後悔はしない程度の出来と思いますです^^

>コミック本
ふふむ。
そんなに簡単に開眼しませんて(笑)。
同じ兄弟でも、兄貴はコミックとアニメしか読んだり観たりせず、当方はほぼ真逆。
僕がいくら兄貴にこの本は面白いと言っても読まないし、兄貴が逆のことを言って仮に読んでもそう面白いとは思わない。
僕は明らかに母親に似ました。
オカピー
2013/01/26 23:01
このシリーズは、回を重ねるごとに、二人の掛け合い漫才のようになっていきましたけどね。
自殺志願者を突き落して一緒に落ちるところなど驚かされました。
ダニー・グロウヴァーの娘がメル・ギブスンに惚れて、ダニー・グロヴァーが焦るとか、黒人と白人が逆転していて面白かったですね。

きのうの記事の『ジャックと豆の木』で思い出しましたが、3月22日に実写版が公開されます。
『ジャックと天空の巨人』とかいうそうです。
『スノーホワイト』に続き、ハリウッドは、童話ブームなんですかね?
ねこのひげ
2013/01/27 05:37
starfieldさん、初めまして。

人の好みはそれぞれですが、かなりの人が面白いと思うと思いますよ^^
オカピー
2013/01/27 19:23
ねこのひげさん、こんにちは。

>掛け合い漫才
そうでしたね。
WOWOWでは全作放映しましたが、第2作〜第4作は吹き替え版だったので無視。オリジナル音声でも保存は第1作だけで良いかなあ。

>『ジャックと天空の巨人』
これの映画版は観たことがないですが、原作が有名なものは一種のリメイク・・・ということになるのしょうね。
シェークスピアは未だに年間数本は映画化されていますから。尤も、現代版などオーソドックスでないものが圧倒的に多いわけですが。
オカピー
2013/01/27 19:28
プロフェッサー、こんばんは。

大好きな作品です。おっしゃる通り、ちょっと元気のなかった時期に久々におもしろい刑事ものでした。何回鑑賞したことか・・・。

やはり1作目、そしてコンビ、そう、コントラストがいいんですよね。銃にしてもかたや6連発のリボルバー、かたや当時は斬新だった15連発のオートのベレッタ。
「男たちの挽歌」のが先ですが、ハリウッドではこの作品からでしょうね。ベレッタを多様しはじめたのは。15連発という描写上の理由と特に「ダイハード」はブルースが左ききですからね。

これからも何度も鑑賞し続ける刑事ものです。
イエローストーン
2013/02/14 20:32
イエローストーンさん、こんにちは。

初めて観た時相当面白いと思いましたねえ。
「ダーティハリー」が3辺りからやや落ちてきて、他にめぼしい刑事映画もない時期だっただけに余計面白く感じたのでしょう。
文字通り二人のコンビネーションがよろしく、これは何回も観る価値がある作品ですね。

銃器についてはイエローストーンさんほど詳しくないですが、何気なく変化には気づいていたようです^^
オカピー
2013/02/15 20:36

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「リーサル・ウェポン」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる