プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「ハムレット」(1948年版)

<<   作成日時 : 2013/01/16 09:51   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 2 / コメント 4

☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1948年イギリス映画 監督ローレンス・オリヴィエ
ネタバレあり

「ハムレット」はウィリアム・シェークスピア四大悲劇の中でも人気が高い。シェークスピアに対し比較的冷淡な日本文学界に対しても、太宰治が戯作「新ハムレット」、志賀直哉が「クローディアスの日記」を書くなど、面白い現象を起こさせている。

さて、僕が調べた範囲では、1900年に決闘場面だけをフィーチャーした最初の映画版以来翻案を含めて70回前後の映画化が世界各国(珍しいのはガーナ版)で行なわれているが、ローレンス・オリヴィエが監督・主演したこの1948年版が決定版と言って良いであろう。もっとリアリズム重視のソ連版も甲乙つけがたい秀作と思いつつ、オリヴィエを筆頭に俳優陣の口跡が圧倒的に素晴らしい本作を決定打としたい。時代を近世に移したケネス・ブラナー版は余り買っていない。

中世デンマークの王子ハムレット(オリヴィエ)は、父王を毒殺して母を后に迎え王位を継承した叔父クローディアス(ベイジル・シドニー)に復讐せんと発狂したふりをして機会を探るが、その間に挟まれた忠臣ポロニウス(フェリックス・アイルマー)を誤って殺したことから、愛するオフェーリア(ジーン・シモンズ)を発狂死に追い込み、彼の息子レアティーズ(テレンス・モーガン)の復讐対象になって、大惨事に発展する。

「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」等有名な台詞の多い余りにもお馴染みのお話なので梗概は上記程度で十分であり、ハムレット型性格については映画評の枠で収まる話でなく、分析する必要もないだろう。

さて、オリヴィエは同じシェークスピアの映画化でも、前作の史劇「ヘンリィ五世」で使った絢爛たるカラーを捨て、悲劇の厳粛にふさわしいモノクロ映像で撮っている。
 全編セットで撮り、人物の動く箇所や動き方に応じて部分的には精密な、部分的には簡素な背景を使い、工夫を凝らしたライティングと移動撮影により単調さを回避して映画らしさを出そうと努めている。

それは原作を生かしつつ場面の取捨選択を慎重に行なっている点にも表れているが、その一方で演劇的感覚も残す狙いが明らかに見えている。口跡(所謂台詞回し等)はシェークスピアたる所以を残す為に演劇的であるし、動作の中でも王妃の寝室でのハムレットと母后の所作は演劇的であり、二人を軽いハイアングルで捉えるカメラは幽霊たる王様のものであると同時に観客の視線にダブるように設計されている。簡素な背景もその手段の一つであろう。演劇的である映画は時に批判されるが、シェークスピアをこう撮って批判される理由はない。

「マクベス」と「リア王」に食指を動かされた黒澤明監督が「ハムレット」に興味があったか否か。それが問題だ。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
ハムレット(ソ連版)
     朝、布団からムックリ起きて一番先にすることは   みなさまは、なぁ〜〜〜に? 大きなアクビかな?(笑) ...続きを見る
映画と暮らす、日々に暮らす。
2013/01/17 07:21
人間失格 |太宰 治
人間失格太宰 治 刊発売日 2012-09-27「無頼派」「新戯作派」の破滅型作... ...続きを見る
あれ欲しい
2013/02/02 15:04

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
これは、何度かテレビで観たし、例の500円のDVDも買いました。
舞台ぽっさの残った映画でありますね。
現在公開中の『レ・ミゼラブル』も舞台風に作った映画で、ほとんどセリフなしのミュージカル映画で、見事な作品でありますよ。

『ラストスタンド』は、趙凶悪犯が、国境を越えようとシャワちゃんが保安官をしている国境の町に向かっているという連絡がはいり・・・
予告を見ると、「歳だな、くたびれるぜ」なんて言わせてますから、軽いアクション映画というところですかね。
「4月に日本に行くぜ。よろしく!」とカメラに向かって言ってました。
ねこのひげ
2013/01/17 06:36
いつもたくさんのTBございますのに
本作はまたどうしたことでしょう。
オリビエはさほどご贔屓じゃないなどと
勝手なことほざいておりますそれもソ連版
ハムレットの拙記事持参しました。
3年ほど前ですね、プロフェッサーも
コメント下さっておりましたですね〜^^

話ちがうのですが
ブライアン・フォーブス「雨の午後の降霊祭」
(1964年)初見しましたがなかなか好印象で
ございました。プロフェッサーはご覧に?
vivajiji
2013/01/17 10:38
ねこのひげさん、こんにちは。

僕は映画館で観た時に不覚にも少々眠ってしまいました。
今回も少々眠ってしまいました。
つまらなくないのに何度観ても途中で眠くなる映画があります。一種の呪われた映画と申しますか、たまたま眠い日に観たのか解りませんが(笑)。
「レイダース」もそうなんですよ・・・何故か。
衛星放送では二回目かな。前回は多分NHK、今回はWOWOW。

>『ラストスタンド』
「真昼の決闘」じゃん(笑)。
シュワちゃんだから無理かもしれないけれど、西部劇のムードが欲しいなあ^^
オカピー
2013/01/17 22:11
vivajijiさん、こんにちは。

>TB
新しい映画でないので、仕方がないでしょう^^

>3年ほど前
あの頃は元気だったなあ、と思います。
姐さんの記事も覗いてはおるのですが、最近は忙しくてなかなかコメントもできません。
どうもすみません。

>ブライアン・フォーブス「雨の午後の降霊祭」
東京時代に映画館で観ました。
(東京にいて)観られて良かったなあ、と思った秀作でした。
また明日にでも昔書いた映画評を読んでみます。
オカピー
2013/01/17 22:38

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「ハムレット」(1948年版) プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる