プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「しんぼる」

<<   作成日時 : 2012/12/30 10:28   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 5 / コメント 2

☆☆(4点/10点満点中)
2009年日本映画 監督・松本人志
ネタバレあり

“いまさらジロー”な作品で済みません。メリットはネタばれしても多分もう誰にも叱られないこと。

ダウンタウンの番組やそのメンバーたる松本人志の出ている番組を5分以上続けて観たことがないので、彼のお笑いタレントとしての才能・傾向と彼の作る作品との関連性は全く不明だが、個人的な趣味から言わせて貰えれば第一作「大日本人」のほうが作ったモチヴェーション(内的要求)が垣間見える分だけこの第二作より楽しめた。

メキシコのプロレスラー一家の描写から始まり、ニワトリの羽を介してドアもない真っ白な部屋に松本がただ一人閉じ込められている本編に入って行く。本編と言っても、全く面白くないメキシコの場面もその半分近くは優にあり、この二つをどういう風に結び付けて行くのかと関心を持って観続けるのが普通の人の感覚であろうが、なかなか繋がって来ず、相当じりじりさせられれる。

さて、白い部屋の壁からやがて天使の急所が現れ、数多に出現したそれをスイッチのように押し下げると相互に余り関係性のない物品が数々と出てくる。出て来た寿司を食べ終った後醤油が出てくるのを筆頭にギャグが幾つか紹介されるが、余りの馬鹿馬鹿しさにたまに笑える程度。

やがて彼はあるスイッチを押すと外に出る矩形の穴(出口)が出来ることを発見、穴に入るには他のアイテムが幾つか必要であることに気付き知恵を絞って遂に穴をくぐり抜け、その先にあるドアを開けることにも成功したものの、その先は行けども行けどもドアの連続である。そんなことを繰り返すうちに辿り着いた別の部屋にあるスイッチを押すとメキシコのレスラーの勝利に結び付く変化が同地に発生、それはアメリカやロシアにも起こる。無数のスイッチはどうも世界に何かを起す起爆装置らしく、修行と実践を経た彼はやがて昇天(して神様と化)する。

全体的に一人合点と言って差し支えないものの、終盤はどうも「2001年宇宙の旅」(1968年)を意識した気配が濃厚。「2001年」で人類は新人類に進化して終りを告げるのに対して、こちらの松本氏は神様に昇進するらしい。
 そもそもこの変な模様のパジャマを着た松本氏は人間ではなく、神様予備軍という解釈をして初めて一貫したお話になる感じで、もしそうでないのなら作者の一人合点もここに極まれりの感が強い。

松本氏が部屋から出ようと悪戦苦闘するのは「CUBE」を思い出させるが、人間でないならどうでも良いし、人間であっても死の恐怖がないから生活感情を共有できない。

映画の結構、起承転結を言えば各要素のバランスが出鱈目。確かに、実験映画であるとすれば、我々の生活感情やドラマ的バランスを言うのは、木によって魚を求める愚である。しかるに、本当にこれを実験映画若しくは前衛映画と称して良いものか。白い部屋におけるコント的な描写を見る限り僕はこれをその種の映画と認めるに躊躇せざるを得ない。

第三作「さや侍」は新年が明けてから、スケジュールが空いた時に観ることにする。

有名人だからそれなりに集客力はあるのだろうけど、第二の北野武になるのは難しそう。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(5件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
しんぼる
スベッてる話。 ...続きを見る
Akira's VOICE
2012/12/30 11:09
しんぼる
公式サイト。松本人志監督、主演。これほど何のためらいもなく「これはひどい」と断じられる映画はないのではないか。一人コントすら退屈で全然おもろない。 ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2012/12/30 11:19
すいっち〜『しんぼる』
 乾いた大地に舞い上がる砂埃。轟音とともに一台のピックアップ・トラックが やってくる。ここはメキシコの町。一方、男(松本人志)は目覚めると、真っ白な 壁に囲まれた部屋にいた・・・。 ...続きを見る
真紅のthinkingdays
2012/12/30 14:41
しんぼる/松本人志
松本人志監督の長編映画第二作です。前作に引き続き今作も予告編からは内容がさっぱり見えてこない怪しげな感じですよね。真っ白の部屋に黄色のパジャマを着た松っちゃんがいて四 ... ...続きを見る
カノンな日々
2012/12/30 15:25
『しんぼる』
「いやあ。まいったまいった。 いったい、この映画、みんなどういう紹介しているんだろう?」 ----あらら。頭抱えちゃって。 これって松本人志の『大日本人』に続く監督第二作だよね。 前作は確か、試写会が行なわれなかったけど、 今回は観られたわけだし、お話できるんじ... ...続きを見る
ラムの大通り
2012/12/30 23:12

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ニュースで、フランスの映画博物館で、松本人志特集をやって全部の映画を上映したとか言ってました。
「えっ?特集を組むほど映画を撮っていたっけ?」でありましたが、フランスでは評価が高いんですかね?
フランスでは、浮世絵以来の伝統で、日本文化に対する評価が高いようですが・・・
小遣いで作った、安っぽいかっこづけの映画としか思えないですがね。
『CUBE』1作目は面白かったですね。

先ほどまでガイ・リッチー監督の『スナッチ』を観とりました。
ギャング同士の堂々巡りの妙でありますな。
ブラピは、汚れ役が好きですね〜
ガイ・リッチーは、貴族出身で、エドワード1世の子孫なのに、コクニーを気取るへそ曲がりのところが映画にもよく出てますね。
ねこのひげ
2012/12/31 04:52
ねこのひげさん、こんにちは。
今年はたくさんのコメント、有難うございました。
来年も相変わらず宜しくお願い致します<(_ _)>

>松本人志特集
三本だけでしょ?
フランスの人は作者の背景を知らずに、つまり、偏見を持たずに特集を組んだりするところが良いです。
僕が見た二本は一種の実験映画なのでしょうけど、自分は映画好きでないと言っているらしい人の作った映画において、何を見たら良いのか解りませんよね。

>『CUBE』
これ、「ソウ」シリーズの生みの親と思っております。
「ソウ」は理屈っぽい上に人体損壊度がひどいので嫌い。精神状態が悪くてずっと保存してある最終作は、状態が良くなりそうな来年後半に観て区切りをつけたいと思っています。

>ガイ・リッチー
僕は不器用な監督と思っています。
「スナッチ」のような作品を撮らせると面白いものを作るけど、一般ドラマになると全然下手でお話にならない。
ガイ・リッチーだから金持ち男(駄洒落)だけかと思ったら貴族でしたか。

それでは、今年はこの辺で。
来年もお越しを楽しみにしております。こちらからも遊びに行きたいと思います。
オカピー
2012/12/31 11:01

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「しんぼる」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる