プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「孔子の教え」

<<   作成日時 : 2012/12/25 11:04   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

☆☆★(5点/10点満点中)
2009年中国映画 監督フー・メイ
ネタバレあり

儒教の祖・孔子の教えを弟子が綴った「論語」は通読した。また、孔子は夏王朝から前漢までを綴った歴史書「史記」において君主、諸侯(公)、重臣以外で主役として扱われている珍しい(唯一の?)人物である。

中国第三王朝・周と姻戚関係にある伝統国ながら小国に甘んじている春秋時代の魯(ろ)に生れた孔子(チョー・ユンファ)は、祖国を牛耳っていた孟孫氏、叔孫氏、季孫氏の三桓氏を周の儀礼に則る手法で弱めようと公室の為に根城を破壊するなど奮闘、定公(ヤオ・ルー)により大司寇(最高裁判官)に採り立てられ強国・斉との交渉において外交官としても手腕を発揮するが、季孫氏の進言により結局祖国を追われ、周辺諸国を放浪する羽目になる。

「論語」を読んだ時に強く印象づけられたのは寧ろこの後半部分の孔子の姿なのだが、映画では前半の文字通りの軍事戦略を含めた戦略家としての孔子が強調され、鑑賞前に予想したものとは大分違うスペクタクルが次々と画面狭しと繰り広げられ、若干違和感を抱かせつつ実際の孔子の生活もこんな感じだったのかなと思わせないでもない。

反面、後半は僕が重要視している放浪時代をダイジェスト的に紹介するだけで、衛の霊公夫人・南子(ジュウ・シュン)との面会が――本作創案の挿話と思うが――僅かに興味深く観られる程度に終始、頗る物足りない。
 因みに、彼女が孔子に教えてほしいと請う“詩”は所謂ポエムではなく、「詩経」のこと。日本人が誤解しがちな対訳だったので、敢えて要らぬ解説をしてしまいました。

その他の人物について、彼の弟子・子路の壮絶な最期は中島敦が「弟子」に描いたものと大差ないように思う。また、本作が(「老子」に則って)孔子の師としている老子については正確な履歴が残っていず、老子は架空の人物、或いは孔子より後の人であるという説を唱える学者も少なくないので、この辺りは各人よしなに理解しておけば良いだろう。

本作の実力や作ったフー・メイ監督には関係のない話で甚だ恐縮だが、最後に愚痴を一つ。
 中国は文化大革命の時に孔子批判をやらかし、後に都合に応じて孔子の思想を復権させた。中国共産党が孔子の精神を引き継いでいるとは一向に思われない為、所謂プロパガンダ作品ではないものの、孔子を妙に崇める本作を見ると(検閲官が何の文句もなしに通したことが想像されて)苦笑が洩れ、「中国共産党よ、儒教を馬鹿にするのもいい加減にしろ」と言いたくなる。

孔子の五十何代目かの子孫という人物がたまに「TVタックル」に出て共産党を擁護しておりますが・・・

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
孔子の子孫は、世界で一番多いそうで、中国には孔子の子孫だけでできた村があるそうです。
墓地には10万に上るといわれる孔一族が眠っているそうです。
世界一の孔子廟もあるそうですが、文化大革命の時、破壊されたそうです。
それが、いま、修復されて観光客を呼んでいるそうで・・・・・
孫文もそうですが、都合のいい時だけ、復権させられても、その思想までは受け継がれていないんでしょうな。
漢の高祖劉邦も儒教が大嫌いだったそうで、その子孫たる漢民族はなにおかいわんやでありましょうな。
ねこのひげ
2012/12/26 06:03
ねこのひげさん、こんにちは。

孔家の家系図の人数は、ギネス・ブックに載っているようですね。

>思想
他の国に礼儀を尽くさない中国共産国体制は、絶対、孔子の考えに反します。

>劉邦
そうでしたか。知りませんでした。
オカピー
2012/12/26 22:28

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「孔子の教え」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる