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zoom RSS 映画評「グッド・ハーブ」

<<   作成日時 : 2012/12/02 11:48   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2010年メキシコ映画 監督マリア・ノバロ
ネタバレあり

メキシコはアメリカにも近く少なからぬ映画が製作されていると思うが、公開作はそれほど多くない。但し、出身者として優秀な人を大分輩出している。

シングルマザーのウルスラ・ブルネダはラジオ放送局のパーソナリティーで、息子コスモ・ゴンザレス・ムニョス君と二人暮らし。ある時古代ハーブの権威である母親オフェリア・メディーナを訪れると「自宅の鍵が夕べ入って来た男に盗まれた」と可笑しなことを言った為に診察を受けさせる。アルツハイマーと言われたオフェリアは施設で物のように扱われるのを良しとせず、自ら研究するハーブを色々試すが、年齢が比較的若い為に進行が早く遂には寝たきりになってしまい、ウルスラは辛い決心をする羽目になる。

日本でも何本も認知症を扱った映画が作られているが、そのどれもが本人や家族が直面する辛い現実を具体的に実際的に描いている。ところが、女性監督マリア・ノバロ(ノヴァロ)は、ハーブの効能紹介をシークエンスの切り替えに使い、友人たちが奏でる幽玄な音楽を現実音として積極的に用い、死んだ母親と電話で話す開巻シーンや隣人が死んだ孫娘に触れられるシーンなど夢幻的なムードを織り込んでいる。

かくして本作が描こうとしたと僕が思うのは、病気に対応する人々の現実的な姿ではなく、寧ろ病気により試される人の魂の交流である。死んでいく友人に天国で孫娘を探して欲しいと頼む隣人にその孫娘が愛おしむように触れる。また、娘は母親に生きて惨めな様子を見させるより天国での尊厳を優先する。それが開巻直後の死者との電話という形で表れる。
 法律的には彼女の行為は犯罪だが、作者はその際感じている筈のヒロインの悲痛を必要以上に強調せず、犯罪そのものにはまるで無頓着である。本作が現実をベースに生死を越えた魂の交流を描こうとしていると僕が思う所以がそこにある。

少々解りにくいところがあるし、余り面白いお話とも言いにくいが、独自の境地が映画的に興味深い。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
別の視点から見ようという試みでありましょうね。

認知症は本人にとってもつらいですが、周りも大変です。
オヤジに「あなた様は、どなたでしょうか?」と言われた時はショックでした。
ねこのひげ
2012/12/03 05:43
ねこのひげさん、こんにちは。

わが両親は幸いそうした傾向がありませんでした。
母親など最後まで僕もビックリするくらいの記憶力の持ち主でしたねえ。
父親は、得意だった計算力が家を離れて半年余りで急に落ちましたが。
オカピー
2012/12/03 20:57

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