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zoom RSS 映画評「新宿アウトロー ぶっ飛ばせ」

<<   作成日時 : 2012/12/24 11:01   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
1970年日本映画 監督・藤田敏八
ネタバレあり

藤田敏八(監督)と原田芳雄+梶芽衣子(主演)のトリオとしては一種のアナーキー映画「野良猫ロック 暴走集団’71」の直前にこしらえた作品。製作は日活だが、配給は既に大映と合体して起したダイニチ映配が行なっている。

この時代の日活映画、と言うより藤田監督や長谷部安春監督の映画には、日本的けだるさの中にフランス映画やイタリア映画のムードを感じさせるものがある。
 本作の場合は、「黄金の七人」辺り即ち60年代半ばから70年代初めに仏伊映画に相当多く用いられたスキャット映画音楽の起用がその一因で、そのせいか本作の渡哲也=原田のコンビぶりに洋画風の香りが漂う「ルパン三世」を感じる人もいるようだし、僕自身はどなたかも指摘している「冒険者たち」(1967年)が脳裏をよぎった。これでどちらかが死んでいれば余計にそういう感じになるが、全体を支配しているムードがそこはかとないコミカルさであるが故に鑑賞後の印象は「冒険者たち」から遠くなり、五右衛門のいない「ルパン三世」に近づく。

しかし、両者と全然違うのは、以下に述べる梗概を一読すればお解りになるように、犯罪そのものに夢と冒険がないことである。麻薬取引即ちこれなり。余りに花と潤いがなく、つまらない。

出所したばかりの渡を、やや年を食ったチンピラ風兄ちゃん原田がジープで追いかけ、結局横浜から新宿へ連れ出し、以前彼と関係のあった芽衣子譲と再会させる。原田は財閥の御曹司なのに麻薬仲介に手を染め、その金で出した飲み屋のマダムに彼女を雇っているのだが、彼女の昔話から渡を知ったというのが経緯である。

彼は沖雅也をリーダーとする若い愚連隊との取引に穴を開けた為に彼らから常に追い回されている状態。二人は悪徳弁護士を経て或る暴力団がネコババしたことを突き止め、愚連隊たちに手伝わせる形で暴力団に殴り込みをかける。

ジープや愚連隊の乗るホンダの大型バイク(CB750など)を使うことで現われる無軌道青春映画的な軽妙さが藤田作品らしいが、これで犯罪がもう少し洒落ているとなかなか嬉しい作品になった可能性はある。特にヘリコプターでふらふらと去って行く幕切れのオトボケ感が良いだけに惜しい。

後期日活映画らしく歌謡曲(昨年亡くなった日吉ミミの「男と女のお話」)は出てくるが、歌謡曲映画の要素はなくなっていた。尤も、藤田監督は、この後かぐや姫のヒット曲をベースに「赤ちょうちん」「妹」といった四畳半フォーク的青春映画を作るので、歌謡曲映画の伝統は1970年代半ばまで事実上続いていたことになる。

去年は原田芳雄、今年はわが父と同じ頃地井武男が亡くなり、さすがに本作関係者にも故人が多い。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
犯罪に夢がない・・・・・たしかに!
『ルパン三世』が犯罪者でありながら、そこに夢とロマンがあるからでありますな。
これでは、本当の犯罪者と変わりなし。

このあたりの邦画は劇場では観とりません。
おなじ金を払うなら洋画という方でありました。
ねこのひげ
2012/12/25 07:15
ねこのひげさん、こんにちは。

この頃犯罪は麻薬ばっかりでしたし、麻薬で設けた金で何をしようという目的もなく、これではつまらない。
やはり犯罪では人を傷つけない泥棒が一番良いです。

当時は圧倒的に洋画です。邦画のどん底時代で、日活も大映も実質的に崩壊しました。
オカピー
2012/12/25 21:26

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