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zoom RSS 映画評「マーガレットと素敵な何か」

<<   作成日時 : 2012/11/24 10:59   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2010年フランス=ベルギー合作映画 監督ヤン・サミュエル
ネタバレあり

世界でいちばん不運でしあわせな私」(2003年)という恋愛ファンタジーを作ったヤン・サミュエル監督としては、同じようにファンタスティックに作りながらもヒロインの扱いには現実味が増している印象を受ける。しかし、依然小手先の感は拭えない。

40歳のキャリアウーマン、ソフィー・マルソーが、公私共々のパートナー、マートン・チョーカスと最終的には社長を目指して頑張っているある時、元公証人の老人ミシェル・デュショーソワから自分が7歳の時に未来の自分に向けて出した手紙の束を渡される。それを開くことで彼女は封印してきた辛い少女時代を思い出す。父親に出奔され、母親と弟で生活苦に喘ぐ一方で初恋の少年と味わった僅かに楽しい日々・・・故郷で公証人と会って別の手紙も受け取り、初恋の人は勿論不和になっていた弟とも久しぶりに再会、自分自身の人生を歩む気持ちになって行く。

本来の名前マルグリットを英語風にマーガレットと呼ばせ、エリザベス・テイラーやエヴァ・ガードナー、マリア・カラス、マリー・キュリーにサッチャー首相といった各方面で大きな足跡を残した強くて偉大な女性たちを自分を鼓舞するツールにしてきたヒロインの人生は、その実、他人の模倣に明け暮れ無理をして息が詰まりそうである。「夢は大きすぎるほど良い、忘れることがないから」ではあるが、社長になるといった成功は型通りの人生でしかない。

初恋の少年は長じて少年時代の延長で土地を掘る職人になっていた。最終的にどうなるか解らないにしても、彼女が今居るべき場所は、少女時代に少年が掘った穴からパンを投げ込むことで遥か彼方に暮す貧しい子供たちを救えると信じたアフリカの不毛の大地である。そしてその反対側には息子を連れて穴を除き込んでいる弟がいる。かくして二人は30年前の自分たちを取り戻し、めでたしめでたし。

大人の童話として一応格好になっているものの、自分自身になるというテーマが、彼女の現在働いている仕事の内容が具体的に解らない為に有機的に働いて来ない。全体の内容から判断して土地開発に絡む仕事のような感じだが、過去の穴掘りときちんと絡み合っていない為砂漠で終わる幕切れがピンと来ず、寓話として観客を十分満足させることができていないのである。

「ソフィアの夜明け」ならぬ「ソフィーの夜明け」でした。

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映画「マーガレットと素敵な何か」
2010 仏 ...続きを見る
しづのをだまき
2012/11/24 19:01

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
オカピー様お久しぶりです。TB有難うございます。私も終りがピンと来ませんで人に聞いたら、「あれは井戸掘りであろう、途上国のためのボランティアでは」ということでした。幼い時の志をある意味はたしたのでしょうか。ソフィー・マルソーはお好きですか?
Bianca
URL
2012/11/24 19:10
Biancaさん、お久しぶりです。

途中で「プラント」という言葉がありましたから、土地開発に絡む業界に勤めていると推測した上で、事務系管理職でなく、原点である現場作業に配置転換したのだと僕は思いましたが、そこら辺りの連続性がきちんと図られていないので、ピンと来ないんですよね。

ソフィー・マルソーは、フランス人にしては親しみやすいタイプですが、同世代女優ではダイアン・レイン派です(笑)。
オカピー
2012/11/24 22:01
ソフィーの夜明けというよりソフィーの黄昏というべきか・・・・
ちょっときついか・・・(^^ゞ

むかしはかわいかったですな〜007に出てきたときはびっくりでした。
海外の人って・・・なんで老けるのが早いのだろうか?
ねこのひげ
2012/11/25 06:42
ねこのひげさん、こんにちは。

一応、ヒロインの設定に合せたわけで(そんなの解っているよ、という声が聞こえそう)・・・(笑)
同世代のダイアン・レインもある時点で急激に老けましたね。彼女、他の女優みたいに無理な美容はやっていない感じがします。

>007
あれっ、出てましたっけ。
僕の中ではごく近作を別にすると、ロジャー・ムーア以降の記憶は殆どないんだなあ、007は(苦笑)。
オカピー
2012/11/25 22:14
ピアース・ブロスナンが007を演じた『007ワールド・ノット・イナッフ』であります。
ねこのひげ
2012/11/26 04:14
ねこのひげさん、こんにちは。

情報、有難うございます<(_ _)>

ブロスナンは割合良かったと思ったけど、長続きしませんでしたね。
オカピー
2012/11/26 19:54

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