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zoom RSS 映画評「サンクタム」

<<   作成日時 : 2012/11/13 10:25   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2010年オーストラリア=アメリカ合作映画 監督アリスター・グリアースン
ネタバレあり

昔は製作者が他人に任し切れず監督に転ずるというケースが多かったが、映画界のシステムも変わった。「スター・ウォーズ」のジョージ・ルーカス以降大物監督が製作や製作総指揮に回って、配給会社もそちらの名前で宣伝を行なうケースが増えているが、スティーヴン・スピルバーグなど露骨に自分で作りたくないタイプの作品を他人に任せている感じが強く、出来映えも大したことがないのが多いから、映画作家としては自分の名前を出して貰うのは痛し痒しであろう。但し、それで製作資金が稼げれば自分の好みに合った作品をじっくり作れるという特典に繋がることになる。

本作は「アバター」で大いに稼いだジェームズ・キャメロンが今度は五人いるうちの製作総指揮の一人として参加、「アバター」で開発された技術をさらに進化させて作った3D用の作品らしいから彼が音頭取りなのであろう。

パプア・ニューギニアの洞窟で実際に起きた事故をベースにしているということで、地上と連絡を取り合っていた洞窟グループが連絡が不能になった後押し寄せたサイクロンによる鉄砲水に逃げ道を失った為、一行はリーダーのリチャード・ロクスバーが信ずる別の洞窟への道を泳ぎ進むことになるが、この類の映画の定石通り次々とメンバーは減って行く。事故そのものの犠牲者、彼の強過ぎるリーダーシップに不信を覚えて言うことに従わずに命を失う者、減圧症で死んでいく者、等々。
 この冒険には彼の息子リス・ウェイクフィールドも参加していて、家庭を顧みない父権主義的な父親と確執がある。これは他の一部メンバーとの確執とほぼ同種のものである。

本来は一致協力しなければならないサバイバルものでは仲間割れが定石で、上手く作れば劇的効果も上がるが、まずいとこちらの緊迫感が逆に減って行く。本作の場合はややマイナスの口。
 リーダーの判断は長年の経験が培った経験が十分伺われる為素人に過ぎない出資者ヨアン・グリフィスやその恋人アリス・パーキンスンの態度のほうに疑問が湧くし、エキスパートのエキスパートたる所以を知らず勝手な事ばかりほざいている息子に至っては青臭くてイライラ、挙句に父親の判断力の正しさに突然がらりと態度が変わるのは心情的には解るが、映画的には調子が良すぎて興醒める。恋人を失ったにしてもグリフィスが最後に取る行為は全く戴けず、実話と言っても実際にあったわけではあるまい。

いずれにしてもお話の方は「何の変哲もなく凡々たるもの」というのが世間のほぼ共通した意見で、僕も異論はない。

諸事情で映画館で観ることができない僕には全く関係ないが、3D効果について珍しいほど意見が分れている。洞窟の奥行き感は3Dでなければ表現できないという意見があるかと思えば、暗い場面が多く敢えて3Dでなくて良いという意見がある。それも拮抗している感じだから不思議である。僕は常に2Dだからお話の弱さだけが気になった。

監督は長編第2作のアリスター・グリアースン。脚本に沿って撮影を進めているだけという感じで特に強い印象は残せていない。

「ポセイドン・アドベンチャー」の不出来なヴァリエーションと言ったところ。

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Akira's VOICE
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
3D・・・・・・IMAX3Dだと、明るくて、目が疲れないですが・・・
3Dというのは、弾丸や刀が飛び出してくるときは効果はあるようですが、遠近感に関してはあまり効果がないようです。
立体的に見えないですね。

こういうパニック映画では、人間関係を描くのが定番ですが、むしろいかに困難を克服して、いかに脱出するかということに専念した映像を描くほうが、いいように思いますね。
ねこのひげ
2012/11/14 06:40
ねこのひげさん、こんにちは。

3Dは3度目(最初は1950年代、次は70年代)の正直にしてやっと定着したのは、やはり技術の革新があったからでしょうが、基本アイデアは50年代から変わっていないわけです。
3Dで見せるのを前提に作った作品を2Dで観ると、妙なアングルが時々出てくるので「ははぁ」ということになるわけですが、ここまで当たり前になるとそう不自然な見せ方は減ってきました。
普及した理由は、海賊版対策というのは悔しい。おかげで吹き替えが益々当たり前になってしまった。アニメは良いけど実写ではご勘弁ですね。

>人間関係
仰る通りと思います。
「ポセイドン・アドベンチャー」がぎりぎり上手く作ったレベルで、あれ以上描き込むとジャンルが変わってしまう。世の中にはその辺が解ってなくて、人物描写が薄いなどとパニック映画を評する御仁(プロの映画批評家の中にも)がいらっしゃいまして、困りますねえ(笑)。
「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」はその辺りのバランスが絶妙で、傑作になったわけです。
オカピー
2012/11/14 22:06

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