プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「シルビアのいる街で」

<<   作成日時 : 2012/11/12 11:36   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 2

☆☆★(5点/10点満点中)
2007年スペイン=フランス合作映画 監督ホセ・ルイス・ゲリン
ネタバレあり

一般的な要素から評価できない映画がある。スペインのホセ・ルイス・ゲリンが発表したこの作品など正にその典型である。大衆映画ファンを標榜する僕は、一方でベルイマンやトリュフォー、ヴィスコンティ映画夫々の美しさを右脳的に堪能できる部分もあるらしく、右脳的に得た感覚を左脳的に分析・表現することも少なくない。しかるに、前述した三人がそれが比較的うまく出来るタイプであるのに対し、本作は一般的映画的標準を基に評価を下すことを拒絶する作品と言って良いと思う。

ストラスブールに宿泊した画家志望の青年グザヴィエ・ラフィットが、ホテルから出て腰をおろしたカフェで様々な女性を眺めてはスケッチ帳にデッサンを描く。やがて6年前に知り合ったシルビアと思しき女性ピラール・ロペス・デ・アジャラを発見して、彼女の後を必死に追いかける。

このシークエンスは延々と30分くらい続くが、感覚的に近いのはアルフレッド・ヒッチコックの傑作「めまい」(1958年)でジェームズ・スチュワートがキム・ノヴァクの運転する車を追い掛けるシークエンスで、それを何気ない町の描写を挿入して大幅に引き延ばしたと思えば当らずとも遠からず、同様に観客を陶酔させるものがある。その陶酔感は、実は現実風景をルーズにそのまま写しとったものではなく、同じ登場人物を繰り返し登場させたり、計算されたタイミングで人を通行させることで醸成されるものである。しかし、僕の感覚ではさすがに長すぎて陶酔を越えた末に酩酊状態になって後半飽きて来る。

結局、電車の中で会って話してみると他人の空似と判明、翌日からシルビア若しくは昨日知り合った彼女を求めてまた美しき女性を眺めることになる。

欧州映画にはたまに見られるタイプとは言え、ここまで総合芸術である前に、部分的に絵画的であり、音だけを意識させる映画は余り記憶にない。実験映画若しくは限りなく芸術映画に近い商業映画と言うべきだろうか。

採点は一般的お薦め度として一応付けておいただけで、映画芸術的側面からは気分によって☆★分くらい変わる可能性すらあることをお断りしておきます。

眠れない夜に見ると良いかもね。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
シルビアのいる街で/グザヴィエ・ラフィット
昨年、観たかったのに観そびれてしまった映画の一つです。せっかくの劇場鑑賞の機会が巡ってきたので観に行くことにしました。なんでもこの映画の監督さんはスペインで名匠ヴィク ... ...続きを見る
カノンな日々
2012/11/12 21:29

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
むかし、延々とおなじシーンを流し続ける映画というのがありました。
8時間だったか・・・12時間だったか・・・
実験映画という触れ込みで舌が・・・あの映画はどうなったかな〜?
ねこのひげ
2012/11/13 06:58
ねこのひげさん、こんにちは。

「セプテンバー11」というオムニバス映画の中で、メキシコのイニャリトウ監督が全編真っ黒の映画を作っていました。正に芸術映画でした。

>延々とおなじシーンを
実験だか芸術だか知りませんが、最後まで観た人はいないんじゃないですか?
いくらアングラでも、それは拷問です^^;
オカピー
2012/11/13 22:19

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「シルビアのいる街で」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる