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zoom RSS 映画評「暗室」

<<   作成日時 : 2012/09/04 10:12   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
1983年日本映画 監督・浦山桐郎
ネタバレあり

日活(にっかつ)70周年記念のロマンポルノ大作だそうな。確かに2時間を超えるポルノはにっかつに限らずちょっと例がないのではないか。

原作となったのは吉行淳之介の同名小説で、数年前に読んだばかりというのに内容をすっかり忘れている。彼の小説はムードばかり残って内容を忘れるというパターンが多い。

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監督は「キューポラのある街」で鮮やかな監督デビューを飾った浦山桐郎。脚色は石堂淑朗、撮影は安藤庄平という一流の布陣である。

数年前の妻の事故死の後作家として一世を風靡している今はその死が編集者の寺田農との不倫が原因だったのではないかという思いに苦しむと同時に、結婚というしがらみから自由になって、お花の先生・三浦真弓やレズビアンの女性・芦川よしみや愛読者の木村理恵との間で気ままな愛欲生活を続けている人気作家・清水絋治の人生を綴っている。

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吉行淳之介も独自の私小説作家で、この小説若しくは映画の主人公たる作家は相当の部分で彼自身が投影されているはずで、如何に愛欲をテーマにした原作とは言え、十分に一度は濡れ場を入れるといった約束事がある(?)ロマンポルノの枠組みの中では「私が棄てた女」という日本文学の映画化としては最高峰とも言える傑作をものした浦山監督でも吉行淳之介を表現できていない恨みが残る。

原作通りに作らなくても、原作のテーマに沿わずとも、原作のムードが表現できなくても映画として良ければ一向に構わないわけだが、物語より作者自身が強いオーラを発揮する吉行文学の映画化では原作者が投影された、賑やかな女性遍歴の中に孤独を漂わす主人公や人間の交錯に吉行らしさが感じられなければひどく物足りない印象を持つのが人情ではあるまいか。主人公の孤独は僅かに感じられるが、この程度では満足できない。

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最後の一幕で、どうも僕が毎日観ている妙義に似た山が出てくるなあと思っていたら、バス停留所が富岡市の下丹生(しもにゅう)。ということは我が家が一時毎年年始にお参りに行った貫前(ぬきさき)神社の近くではありませんか。あの川は丹生川ということになる。我が家の言わばご近所さまでした。驚きました。

僕の通った小学校では、上毛三山にちなんで、赤城団が赤、榛名団が緑、妙義団が白の鉢巻きを巻いて運動会を闘ったのであります。奇妙なことに、6年の間に妙義団には入ったことがない。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
いい気になって吉行淳之介、読んでいた口です。(笑)
64年「砂の上の植物群」中平康演出は未見。
そうそうたる俳優陣、ちょっと観てみたいですね。
桃井かおりが出た「夕暮れまで」(黒木和雄)の
伊丹十三は、よかったと思いましたよ。
あざとくていやらしくて、そしてちょっと知的。

本作観ましたけれど
主人公はミスキャストですし
「私が棄てた女」は傑作でしたが
生真面目な浦山さんじゃ
この手はいささか〜

かったるくなるような倦怠的色ものは
意外と難しいのですわ。
vivajiji
URL
2012/09/04 13:34
vivajijiさん、こんにちは。

>「砂の上の植物群」
原作は読んだのか読まないのかはっきりしなくなっちゃいました^^;
が、映画版は割合好きでしたね。
フランスのヌーヴェル・ヴァーグの先を行ったご贔屓・中平康だけにかなりスタイリッシュ。だから吉行色を求めると、不満を覚えるかもしれませんが、恐らく吉行を読む前に観たせいもあって違和感なく観られたのだと思います。

>「夕暮れまで」
これもまだ吉行氏を読む前に観たような気がしますが、僕は桃井かおりのかったるい感じが良かった記憶があります。
伊丹十三だったですか。いずれにしても、吉行作品の主人公はいやさしさと知性とを同時に感じさせないとダメですからね。

>「私が棄てた女」
これ震えるくらい圧倒されまして。
誉めてくれて自分のことのように嬉しく思います(皇族の発言みたい)。

>主役
清水絋治はやはり脇役の方が生きるのでしょうね。

>浦山さん
寧ろ東陽一のほうが合っていましたろうか。
オカピー
2012/09/04 22:16
当時、日活70周年記念が、ロマンポルノか?と思ったのを覚えてます。
最初のころポルノを撮るというので、やめた女優も多く、白川和子さんなど処女で、ベットシーンを撮る時、どうしていいかわからず、助監督に足の裏をくすぐって貰って表現したそうです。
日活100周年記念ポルノ『生き続けるロマンポルノ』なんてのが、今年公開されましたね。

ポルノ映画の裏話を語る山本監督は、抱腹絶倒でありました。

それで思い出しましたが、むかし『笑っていいとも』のテレフォンで次のゲストで山本監督を紹介する時、ゲストに出ていた女優(芦川よしみ?)がタモリさんに言われて「わたしわたしよ〜わすれたの?」と甘ったるい声で呼びかけたら、浮気相手だと思った奥さんが怒りだして、山本監督だけでなく、その女優とタモリさんが大慌てになったのがおもしろかったですね。
ねこのひげ
2012/09/05 05:45
ねこのひげさん、こんにちは。

>やめた女優
そうでしょうね。
その当時、ロマンポルノ系の映画に出演した女優が女優賞を獲得したのに腹を立て、「キネマ旬報」と縁を切った長老評論家もいたそうです。しかし、狭量ですな。
双葉さんは性は生に繋がるとして、上手く作ったポルノ映画はエロ・シーンをフィーチャーした一般映画(恐らく五社英雄辺りの映画を指しているのでしょう)よりずっと映画としてまともで美しいと仰っていましたよ。

>『笑っていいとも』
大いに笑えますが、タモリも人が悪い(笑)。
オカピー
2012/09/05 19:12

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