プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「スリーデイズ」

<<   作成日時 : 2012/09/17 11:36   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 6 / コメント 4

☆☆☆(6点/10点満点中)
2010年アメリカ映画 監督ポール・ハギス
ネタバレあり

洋画に関して言えば、原則として一応日本公開作であることを確認してWOWOWで放映される作品を観ているが、最近ちょっとものぐさして観た後に調べたら日本未公開作品と解ってがっかりしたという例が続いた。
 勿論劇場未公開作にも良い作品は少なくないし、敢えて知って観る場合もたまにはある。が、出来映えが大したことがないとなると事情は大いに変わって来る。

本作は劇場公開作であることだけを確認し、いざ鑑賞を始め、5分くらいして主人公の教師(短大講師)ラッセル・クロウの細君エリザベス・バンクスが殺人罪で警察に逮捕される場面に遭遇して、「な〜んだ、『すべて彼女のために』のリメイクだったか」と少々がっかりしたというのが正直なところ。
 かのフランス映画を観てからまだ1年余りしか経っていず、映画を評価する時最初の基準となるのは新味があるかないかであるというのが一般的である以上この段階でマイナス3点くらいの感じになった。それ以降はオリジナルをどう改変したかという興味だけになったと言っても過言ではないが、大きく改変されたのは後述する一点だけである。

そんなわけで「ストーリーは『すべて彼女のために』を参照してください」というつもりで読み返してみたら、あの作品では梗概を余り詳しく書かなかったので、念の為書いておきましょう。

クロウは妻の無罪を信じて控訴などの手続きを進めるが、証拠が揃っている為正規の手続きでは埒が明かない。思い余った彼は脱獄を繰り返す男リーアム・ニースンに脱獄を巡る手順とノウハウを教えて貰う。一番重要なのは15分以内に市内中心部を抜け出、35分以内に高速道路料金所をパスすることである。
 以降、拳銃を手に入れ、偽造のパスポートと社会保険番号を手に入れ、事前に改竄したカルテで妻を移送させた病院に乗り込んで二人で脱出、市内中心部を上手く抜け出すが、事前に知人に預けた子供が動物園にいる為35分で料金所を抜け出すことが不可能になる。
 オリジナルと大きく違うのはここ(動物園)だけで、惜しいことにその為に夫婦の感情を描く場面を挿入した故にノンストップ的に進む筈の脱出行が一回中座して気が抜ける。ここに関してはオリジナルのほうがシンプルで良い。

他方、最初に妻の行動を描いて冤罪であることを観客に示してから本論に入って行くオリジナルに対して、このリメイクでは僅かにフラッシュバックで示すだけでその真相は観客にも解らない。この改変はサスペンスを強化する為に用意されたアイデアではなく、夫の妻への思いがそれほど強いことを裏打ちする為に改変されているのである。妻の扱いに関してはリメイクの有利性もあって本作の方が上手い。

幕切れは良い部分と悪い部分が半々で、逃亡に成功した一家の描写はもっと少なくて良い反面、刑事が彼女の証言をもう一度検証してみようとする追加が素晴らしい余韻を醸成する。もう一息のところで証拠品の発見には至らなかったが、官憲の鑑のような人だわいと気分良く観終えることが出来た。

脚色、監督はポール・ハギス。時系列をいじくって観客をまやかした作品として「クラッシュ」(2004年)を世評ほど高く評価していない僕には、彼の旧作群(といっても大してない)より解りやすくて余程良いくらい。とは言うものの、「クラッシュ」も最終的にはそれなりの感慨が持てたので、採点上は本作より良い。

日本人と違ってアメリカ大衆は外国語の映画をまず観ないから、2年でリメイクするなんて馬鹿なことができるわけ。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(6件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
スリーデイズ/ラッセル・クロウ、エリザベス・バンクス
他に『4デイズ』と『5デイズ』という別作品がほぼ同じ時期に日本で公開されるんですよね?これってたまたまの偶然なんですか?この映画は2008年のフランス映画『すべては彼女のため ... ...続きを見る
カノンな日々
2012/09/17 16:27
妻の人生を取り戻すために〜『スリーデイズ』
 THE NEXT THREE DAYS ...続きを見る
真紅のthinkingdays
2012/09/17 20:42
『スリーデイズ』
(原題:The Next Three Days) ...続きを見る
ラムの大通り
2012/09/18 22:56
スリ―デイズ(2010)◆◇THE NEXT THREE DAYS
MOVX京都にて鑑賞。 評価:&amp;rarr;70点  2008年に公開されたフランスのスリラー映画『すべて彼女のために』を、「クラッシュ」「告発のとき」のポール・ハギス監督がリメイク。主演は「ロビンフッド」のラッセル・クロウ。 リ―アム・ニ―ソンも出ているとい... ...続きを見る
銅版画制作の日々
2012/09/19 10:48
『スリーデイズ』
□作品オフィシャルサイト 「スリーデイズ」 □監督 ポール・ハギス □オリジナル脚本 フレッド・カバイエ、ギョーム・ルマン □脚本 ポール・ハギス □キャスト ラッセル・クロウ、エリザベス・バンクス、ブライアン・デネヒー、       タイ・シンプキンス、... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2012/09/23 08:52
『スリーデイズ』 ('11初鑑賞130・劇場)
☆☆☆★− (10段階評価で 7) 9月24日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター5にて 12:10の回を鑑賞。 ...続きを見る
みはいる・BのB
2012/09/23 10:08

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
アメリカ版の『ニキータ』を観たときは、ビックリしましたね。
ストーリーだけならまだしも、構図からなにから、すべて一緒で、ここまでコピーするか?とあきれました。
リメイクでは、多少は変えて欲しいですよね。

奥さんにたいする思いがなければ脱走をさせようとしないでしょうから、ここはよかったし、シブイ俳優をそろえたのもよかったですね。
ねこのひげ
2012/09/18 05:27
ねこのひげさん、こんにちは。

>『ニキータ』
ハリウッド映画の一番のアイデア供給元はフランス映画で、1990年頃から激しくなりましたね。
しかも、ジェラール・ドパルデューやジャン・レノはフランス版と同じ役で出ているのだから、ハリウッド映画人の矜持はどこへ行っちまったのやら(笑)。

>奥さん
フランス版のシンプルさも捨てがたいのですが、観客も真相がよく解らない中での行動だけに却ってその思いが強調されるんですね。
ハギスが脚本家としての腕前を発揮したところだと思います。

話変わって、先日から僕が話しているフジ系列のミッドナイト・アート・シアターは番組名をそのままに形式的には現在まで続いているようですね。
当初の放映スタイルは1990年代を少し過ぎると止めてしまったので、現在の同名の別番組と思って良いわけです。同局がそのスタイルを止めたのはWOWOWが始まった影響でしょうね。スポンサーにメリットがないので、早晩止めざるを得なかったでしょうが。
オカピー
2012/09/18 16:53
そういえば、日本テレビの深夜枠でも『アメリカン・ギャングスター』を前後編に分けて放映してました。
こんど『隠し砦の三悪人』もやるとか?
お笑い芸人の無駄なあがきを観るよりは映画の方がありがたいです。
ねこのひげ
2012/09/19 07:08
ねこのひげさん、こんにちは。

>『アメリカン・ギャングスター』
珍しくそれには気付いていました^^
なるべく原形に近い形で放映する努力は素直に誉めたいと思います。
それにしても民放の衛星放送は映画放映は少ないし、カットも多い。CMは割合少ないですが、何か宝の持ち腐れだなあ。

>『隠し砦の三悪人』
DVDに続いてハイビジョン版保存版をブルーレイで作りました。そんなことならDVD版など作るのではなかった。結局黒澤明監督作品は全て両方とも持っている形になってしまいましたよ。
オカピー
2012/09/19 20:01

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「スリーデイズ」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる