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zoom RSS 映画評「あしたのパスタはアルデンテ」

<<   作成日時 : 2012/08/29 10:50   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2010年イタリア映画 監督フェルゼン・オズぺテク
ネタバレあり

近年どうも映画の水準が下がり続け、今年に至っては例年年が明けて発表する【一年遅れのベスト10】に入る資格がありそうなのが未だに数本程度。ここ二カ月は殊更ひどく、☆☆★、☆☆☆のオンパレードで、☆☆以下もいつも以上に出している。
 そんな中でこのイタリア喜劇は決して傑作と言えるレベルではないし、苦手な同性愛がモチーフになっているので、素直に喜べないが、映画として大分まともな部類と思う。

南イタリアの老舗パスタ会社を経営する一家の次男坊リッカルド・スカマルチョがローマから帰省、経営の一端を担っている兄アレッサンドロ・プレツィオージに、自分が父の希望する経営学部ではなく文学部を卒業して小説を書いていること、ゲイであること、それを家族揃っての夕食会で発表することを打ち明ける。
 ところが、兄は先手を打つように「自分はゲイである」と告白し、因循姑息な父親に言われるがまま家を去ってしまう。激怒の余り父親が倒れ、告白するチャンスを失った弟は、しばし共同経営者の娘ニコール・グリマウドと共に会社の主戦として働く羽目になり、その間もローマから彼の恋人を含む“友人”たちが押しかけ、煩悶する。

という物語が、数十年前家族の為に愛する人の兄との強制結婚を受忍した祖母イラリア・オッキーニの若き日の結婚式場までの路程(文字通り歩いている場面)を挟みながら展開されるわけだが、この若き祖母の路程は“他人の幸福の為に人生の道を選んではいけない”という通奏低音として機能し、老いて糖尿病を患う彼女が綺麗に化粧をして好きなお菓子を食べに食べて(好きだった人に会いに)死への旅路に立つという幕切れにより、主題に変じて幕を閉じる。

主人公が食事会で遂に作家を志しているので会社を継がないことを宣言する終盤の一幕での出来事は彼の心情に気付いて陰ながらバックアップしてくれた祖母に対する恩返しのように感じられ、彼の決意に満足しかつ励まされての老婦人の末期のようであり、この相互慰藉の関係はなかなか感動的である。

いつものように主人公が祖母に起されてみるとその祖母がお菓子に囲まれて死んでいることが判明、ここから葬儀を経て時空が交錯する結婚披露の大団円へとなだれ込み、祖母の愛した若者が時空を超えて彼女の娘の一人と踊るなど、ややフェリーニ的な感触のある扱いながら「凄いなあ」という感想より微笑ましい後味をもって終了する。さすがに頑固な父親も兄息子の経営陣復帰を認めるしかあるまい。

個人的には、ゲイの4人組が騒がすシークエンスは余り趣味が良いとは思えないが、それ以外のしっとりしたムードは良い場合のイタリア映画例えばヴィットリオ・デ・シーカ、エットーレ・スコラのそれを感じさせ、捨てがたい。

料理の知識はごく限られている小生。アルデンテの意味も知らなかったです。

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人生も家族も終わらない〜『あしたのパスタはアルデンテ』
 MINE VAGANTI ...続きを見る
真紅のthinkingdays
2012/08/29 21:09

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ねこのひげは、料理を作るのも趣味なのであります。
本を片手に作ると、けっこううまいものが作れますよ。
アルデンテがどうのこうのというのは、日本人くらいなもので、イタリアの田舎では博多のうどん並にやわらかいパスタが出たりします。
具がトマトのみなんてのもあります。

しかし、イタリアは食にこだわりがありますな〜
マルコ・フェレーリの『最後の晩餐』という映画では、セックスと食べ物で自殺をする話で、美しくもグロテスクな映画でありましたが。

さっこん、化け物(ゲイ)が大量にテレビを賑わせておりますが、やっぱり美女がよろしいですな。
ねこのひげ
2012/08/30 05:23
ねこのひげさん、こんにちは。

実は、家人に教わって、この間からツナとキャベツ等の入ったスパゲティを作るようになりました。

>イタリアの田舎では
えっ?
行かれたことがあるのですか?
ぼかぁ、欧州はないんですよね。

>『最後の晩餐』
映画館と衛星放送で一回ずつ観ました。
まずイタリアでしか作れない映画で、ある意味昨今のグロテスク映画を超えるものがありましたね。ああ、恐ろしい(笑)。

>化け物(ゲイ)
性同一性障害という病気が認識されてから、かなり大手を振って歩けるようになったと思いますが、欧米ではあれほど露骨にその種の人がTVに出ることはないというイメージがあります。実際は知りませんが。
アジアはタイ映画の「アタック・ナンバーハーフ」なんて観ても解るように、笑い物にして楽しんでいるところがありますよね。
本人たちも一種のお笑いタレントとして楽しんでいる感じがあるから、良いのでしょうけどね。どちらにしても通常のオカマさんは気持ち悪い。
オカピー
2012/08/30 15:22

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