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zoom RSS 映画評「ラブレター」(1981年)

<<   作成日時 : 2012/08/28 14:57   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
1981年日本映画 監督・東陽一
ネタバレあり

1970年代初めに映画ファンになった思春期、僕は全く邦画を見なかった(現在と違って当時邦画を観るローティーンの映画ファンなどまずいなかった)から、関根恵子と言えばTVドラマ「新・だいこんの花」(1972年)の清純さを思い出す。
 映画では「高校生ブルース」「おさな妻」など割合センセーショナルな作品に出ていたことを後に知るが、1972年当時僕と大して変わらない17歳とは思えない大人びた雰囲気があった。その9年後26歳の時に出演したにっかつロマンポルノが本作である。その意味において映画で彼女を知った人にはそれほどでもなかっただろうが、映画デビュー当時をよく知らない僕はちょっとショックだった(結局観なかったが)。

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原作は実在の詩人・金子光晴の愛人・大川内令子から聞いた話を江森陽弘が小説にした「金子光晴のラブレター」。僕は金子の「鮫」という詩集を読んだことがあるが、荒々しさに魅力がある詩人で、本作における詩人の言動からもその一端が伺える。

詩人志望の加納有子(関根恵子)が30歳も年上の憧れの詩人・小田都志春(中村嘉葎雄)に囲われて6年、現れては消える日々が彼女を憂鬱にする。入籍しても本格的に同居するわけでなく、無理に堕胎させられた為に精神を病んだ頃、本妻(先妻)から除籍された戸籍謄本が送られ、療養先で治癒したと思った矢先に隣の離婚夫人(加賀まり子)から都志春の逝去を知らされ、駆け付けた彼の家から死に顔を見られないまま追い出され憂愁に沈む。

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実際の金子は79歳まで生きているし、背景も詩人が彼女と知り合った戦後ではなく製作当時に変えられているが、本妻(というより最初の妻・森三千代)も奔放だった為金子が入除籍の繰り返したのは本当らしい。やくざの如き刺青の件も恐らく実際にあったことなのだろう。彼の詩に感じられる野趣と共通するものがあるのだ。

金子光晴の伝記的要素への興味を別にすれば、後妻になったことがあるとは言え事実上の二号(妾)の日蔭たる者の憂鬱を延々と描いているだけで大して感興が湧かず、既に「サード」や「もう頬づえはつかない」といった一般映画で名声を得ていた東陽一が監督するには弱いが、ロマンポルノの特徴とも言える安っぽい雰囲気が割合希薄なのは東監督が各場面をそれなりにきちんと撮っているからである。

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今回のWOWOW放映版は比較的激しくかつ展開上余り重要でないと思われる部分を2分ほどカットした81分版(その2分もわざわざカットする程のものではないと想像される)で、脚本は「ツィゴイネルワイゼン」を書いた直後の田中陽造。

原作者・脚色者・監督者の名前全てに“陽”が付く割りに陰鬱な作品になっていると苦笑いしました。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
関根恵子さんは、波乱万丈の人生ですな〜
とうじの女性週刊誌に、10歳の時にいとこのお兄さんにレイプされて北海道から東京に逃げてきたと書いてあって、ビックリしましたけどね。
本当かどうかはしりませんが、あれだけの美人だからなと呼んで思ったのを覚えてますよ。
そのあとに、作家と東南アジアに逃避行したりで、テレビを賑わせておりましたが・・・・
「高校生ブルース」「幼な妻」・・・・・・女性は居直るとすごいもんだと感心しました。
ねこのひげ
2012/08/29 04:22
ねこのひげさん、こんにちは。

週刊誌のあくなき探究心(笑)には恐れ入るところもあるし、針小棒大化して語る為「いい加減にしろよ」と思うこともしばしばですが、【火のないところに煙は立たない】ということもあるので、まんざら嘘でもないのでしょう。
気になったので(笑)wikipediaに当たってみましたが、全く触れていませんでした。

>作家と東南アジアに
こちらはwikiによりますと、1979年ですね。
ということは貧乏アパート暮らしでTVを持っていなかった頃なので、最初から全く知らなかったか、忘却の彼方へ行ってしまったのか、いずれにしても記憶にございません(笑)。

「だいこんの花」のイメージが強くて“ロマンポルノ出演”に吃驚しましたが、彼女のフィルモグラフィーを紐解けば、どちらかというとそういう色っぽいのが多かったらしいので、彼女のデビュー当時既に大人だった映画ファンからすると、何でもなかったのですね。
ビックリして損しちゃった(爆笑)。
オカピー
2012/08/29 14:19

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