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zoom RSS 映画評「東京公園」

<<   作成日時 : 2012/08/12 21:10   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2011年日本映画 監督・青山真治
ネタバレあり

大作「ユリイカ」(2000年)以降何作か観ているものの青山真治という監督についてはまだその特徴を掴めていない。本作の基底となる部分はごく当たり前のドラマなのであるが、以下に述べるように色々なアングルを付けている為、少々観終わった後解りにくい印象を伴う。

12歳の時に亡くなった母親(井川遥)の影響を受けて写真家を目指している三浦春馬が公園である母娘を撮っているのを見咎めた歯科医・高橋洋から謎の公園巡りをしている彼女(井川遥二役)の行動を追って逐次報告して欲しいと頼まれる。
 後で彼が彼女の夫であることが判明するのは言うまでもないが、布石を幾つか重ねるうちに主人公が身近な人間関係について鈍感なことを示す最初のシークエンスにもなっている。

家に帰ればルームシェアしている友人・染谷将太がいつも彼を待っている。幼馴染の妙齢美人・榮倉奈々は何故かゾンビ映画ばかり見ている。
 ちょっと勘の良い人なら染谷君の最初の登場場面から彼が幽霊であることが解るだろうが、染谷君は鈍感な主人公には見えるが敏感な筈の奈々嬢には見えない地縛霊で、彼女はいつか彼がゾンビとして蘇っても良いようにゾンビ映画を見て鍛えているのだ。

しかし、これはあくまで本流を支える支流であり、本流は三浦君がある時父の再婚相手たる継母の娘たる姉・小西真奈美の言う、人間特に男女は何故結びつこうとするのかという疑問への解答に近づき、将来に自信と希望を見出すまでの姿を描くことである。

ある時奈々嬢から真奈美嬢が彼を男として愛している、と言われた主人公は写真を撮ることで姉の反応を探ろうとした結果それが真実であることを気付きこれをもって二人は恐らくけじめを付けて本当の姉弟になることができ、そしてトレースにしていた美人妻が亡くなった母親にそっくりであることに気付いていた彼は、これを契機に彼女を追う探偵ごっこを止めようと申し出る。彼の一言から歯科医は全ての疑惑を解く。彼女は結婚前の二人の原点を公園巡りで確認していたにすぎないのだ。

三浦君には鈍感で頼りないが故に幽霊の染谷君が見え、彼の成長ぶりを観た幽霊君はけじめを付けて消え、そこへ奈々嬢が現れる。きっと二人の関係は軌道を変えて行くのだろう。

男女が結びつこうとするのは生物学的には種を保存しようという本能がもたらすものだが、考える葦たる人間の場合はそう単純には割り切れない。そこに人間の面白さがあり、人間劇を見る面白さがある。本作のアングルの一つは幽霊だが、もう一つは見つめ、見つめ返されるという人間の行為である。
 生物学的にはこれも相手を求める行為だが、寧ろ人間を撮るという映画故の感興が湧く。小津安二郎のカット割りのようでいてもっとコミカルなバストショットの切り返しとなって表現され、映画的なお楽しみとなっているのだ。早回しをするとその映画的感興が実感できる筈なので、試みられたし。

因みに、「見つめ返される」発言をする酔客として30年ほど前週に三回は聞いた声の持ち主が登場する。大学の後輩にしてこちらが留年した為同級生になってしまった島田雅彦君、彼なり。若い頃から映画に出ていたが、僕が映画で見るのは初めて。変なバイトしていますなあ。

島田君、経済学の答案の貸し、印税の一部で返してくれっ! 【優】じゃなかったから少しおまけするけどさ。

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東京公園/三浦春馬、榮倉奈々、小西真奈美
小路幸也さんによる小説を原作に『サッド ヴァケイション』の青山真治監督が映画化した作品です。青山真治監督は『サッド ヴァケイション』以来の久々の長編作品になるんですね。 ... ...続きを見る
カノンな日々
2012/08/12 21:58
東京公園〜永遠の中のアンモナイト
公式サイト。小路幸也原作、青山真治監督、三浦春馬、井川遥、榮倉奈々、小西真奈美、高橋洋、染谷将太、長野里美、小林隆、宇梶剛士、島田雅彦。カメラマン志望の学生、光司(三浦 ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2012/08/12 22:09
『東京公園』
□作品オフィシャルサイト 「東京公園」□監督・脚本 青山真治 □脚本 内田雅章、合田典彦 □原作 小路幸也□キャスト 三浦春馬、榮倉奈々、小西真奈美、井川 遥、高橋 洋、染谷将太、長野里美、小林 隆、宇梶剛士■鑑賞日 6月18日(土)■劇場 TOHOシネマズ川... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2012/08/13 08:29

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
島田雅彦さんと、同級生ですか・・・むかしから出たがりだったんですね。

たぶん・・・忘れているでしょうね〜
借りというのは、貸した方はしっかり覚えてますが、借りた奴は忘れるものです。
ねこのひげ
2012/08/13 04:52
ねこのひげさん、こんにちは。

Р(エル=ロシア語のR)科の同級生を何人かTVで観ておりますが、勿論島田雅彦君が一番著名。近作は全く読んでおりませんけど、僕は現代文学は苦手だから、初期の作品も余りピンと来なかったなあ。
自己紹介文でも訳の解らん絵の中に“天才”なんてこっそり書いてあったような記憶があります。変人と思いましたよ。

>借り
まして、こちらは留年組ですから。こちらは先輩風をふかしていましたけど、向こうは向こうで馬鹿にしていたでしょうねえ^^;
オカピー
2012/08/13 21:30

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