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zoom RSS 映画評「再生の朝に−ある裁判官の選択−」

<<   作成日時 : 2012/07/29 17:10   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2010年中国映画 監督リウ・ジエ
ネタバレあり

1990年代盛んに公開されるようになった中国映画の一作により、(かつての)中国においては窃盗で死刑になるのは当たり前ということを教えられた。特に国や共産党に直接関わるお金ならなおさらで、恐らくはした金の横領で死刑になった人がいるのではないか。自由主義の感覚では弁済できるものにそんな厳しい処罰は到底考えられないが、そこがお金を共有財産と考える共産主義体制との違いということになる。

本作はそうした窃盗への死刑が大分緩和されることになった1997年が背景である。

裁判官ニー・ターホンは娘を交通事故で失い妻が心を閉ざすに至って無気力になり、自動車二台を盗んだ修理工チー・ダオに死刑の判決を下す。厳密に言えば有罪を決め、別途委員会で量刑等を決めるらしいが、いずれにしてもニーが第一責任者である。
 チーは控訴するが、ここに死刑が翻っては困る人物が登場する。町の有力者たる実業家ソン・エイシェンこれなり。囚人の臓器提供を決めた確たる法律がない為腎臓を病んでいる彼は死刑囚の処刑後に腎臓を貰う手続きをしているのである。
 チーは二審でも死刑で、母親が承知であることを確認した上で腎臓提供(実際には売買)にサインするが、ここで悩み始めたのがニー裁判官。というのも判決を下した9月の時点では死刑に相当する罪だったものが執行される10月から窃盗罪への罰が軽減されていることを知っていたからである。娘の事故死で気力を失っていた彼が悩んだ末にある結論を出す。

“ある”などとぼかすまでもなく“結論”は推して知るべしで、結局人間真実一路を貫けば自ずと再生への路が開ける、といことにつき、こういう邦題になったのでありましょう。

最近の中国映画は立派な映画先進国の貫録が出て来て、無用に感情的な場面を用意せず淡々と進めて行くことで、却って観客に強く訴求する。中国の観客のレベルが上がって来たのであろう。

若手リウ・ジエの第2作という本作も正にそうした態度が認められるが、その一方で、中国が文革時代とは違う民主的な国になっていますよ、という宣伝を見せられている気がしないでもなく、素直に誉められないところがある。そうでもしないとなかなか撮影許可が下りないのだろうが。

少々早い父の四十九日法要を今朝行ない、納骨して参りました。小生の再生の朝でありました。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ホンコンや上海では、愛国教育をめぐって反対デモが起きているそうですし、南シナ海では、三沙市などという市を作って実効支配を狙ってますから、民主化というのは嘘でしょうな。

四十九日でありましたか、ご苦労様でした。

『リンカーン弁護士』というのは、アメリカの高級車リンカーンを事務所代わりにしている弁護士の話で、原作者のマイクル・コナリーによると、じっさいに車をオフィスにしている弁護士がいるそうです。
地味な映画なので、プロデューサーも監督もいまのハリウッドでは当たらないだろうから、本当に映画の好きな人が見てくれればと思っていたそうですが、ヒットしたので驚いたそうです。
なかなか面白い映画ですし、主演がマシュー・マコノヒーなのでいずれ日本でも評価が上がるでしょう。
かな?
ねこのひげ
2012/07/30 04:48
ねこのひげさん、こんにちは。

>民主化
強欲な人たちですからねえ。
チベット、ウイグル、内モンゴル、その他そろそろ解放させてあげたいものです。
20年前、事情があったにせよ、ソ連でさえかなり独立させました。依然ロシア連邦共和国内に小さな共和国がたくさん残っていますが、それぞれに温度差があって独立に関心のない国もあります。

>マシュー・マコノヒー
初期の頃結構お気に入りでした。
役柄が広がったのが良し悪しで、個人的には依然ほどご贔屓にはしていないんですが(笑)。
でも良いですね、彼は。
オカピー
2012/07/30 19:18

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