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zoom RSS 映画評「時雨の記」

<<   作成日時 : 2012/07/26 10:47   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
1998年日本映画 監督・澤井信一郎
ネタバレあり

中里恒子の同名小説を澤井信一郎が映画化した文芸ドラマ。14年前の作品なのでもう旧作に属するが、久しぶりに日本的情緒を堪能させられ、満足致しました。もっと★を進呈しても良いくらい。

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建築会社社員として充実しているようで無味乾燥な人生を送ってきた、現在は専務の渡哲也が20年前関係者の葬儀でちょっとだけ知り合った未亡人で華道師範の吉永小百合を会場で発見して熱情の蘇るのを抑え切れず、強引に連絡をしてきたり鎌倉の彼女の家に押しかけるなどして、精神的に結ばれる。
 が、その頃狭心症を発症した彼は取引先のスペインから帰った後藤原定家が山荘にしていたという常寂光寺の時雨亭(しぐれてい)跡に彼女を呼び出し、仕事を終えたばかりの彼女は駆けつける。

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彼女がなかなか見つからない相手を探して寺の隅で体を押さえて休んでいるのを発見するまでの、雨を交えての一連のシークエンスが圧巻で、二人の精神世界のベースを定家に置いただけのことはあり、正に幽玄な美しさに陶酔させられる。

彼は彼女との生活を庵で過ごす夢を実現する前に彼女の家で急死し、後に息子・原田龍二を連れ訪れた妻の佐藤友美と彼女が対峙する場面も静かなうちに迫力あり。

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刺激性や尖鋭性を求める向きに評価の低い澤井監督だが、1960年代半ば田坂具隆監督「五番町夕霧楼」「湖の琴」、中村登監督「古都」「紀ノ川」、木下恵介「香華」等で頂点に達した感のある邦画リリシズムの伝統を感じさせる彼のクラシックなタッチを僕はご贔屓にしている。

一部に批判のある中年以降の吉永小百合の演技にも胸を打たれた。

いやーっ、日本映画って本当に良いもんですね。では、またお会いしましょう。by 野菊君夫

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
野菊君夫ー伊藤左千夫の『野菊の墓』でありますな。
「たみさん君は野菊のような人だ」でありますね。
千葉県の伊藤左千夫の生家に行かれたことはありますか?
1981年に松田聖子が主演したのを記念した木が植わってます。
映画が公開されたとき、松田聖子の額がデコだったので失笑が漏れましたっけ・・・・
ねこのひげ
2012/07/27 05:37
ねこのひげさん、こんにちは。

>『野菊の墓』
ご明察!
僕の好きな叙情派作品に木下恵介監督の「野菊のごとき君なりき」という名作がございまして、勿論中学生の頃に読んだ『野菊の墓』の最初の映画化。原作の評判を考えると実に遅い初映画化でございました。
で、その松田聖子版を作ったのが本作を作った澤井信一郎監督でして、割合年を取った新人だけどアイドル映画という評価に留めるには惜しい作品と思いました。

>デコ
確かに。
彼女の演技自体も予想よりずっと良かったですが、あのデコが笑いを誘ってしまいました・・・

>伊藤左千夫の生家
いやあ、千葉へは船橋ヘルスセンターくらいしか行ったことないです。
へぇ、そんな木が植えられたんですか。
オカピー
2012/07/27 14:53
澤井信一郎監督は、原田知世の「早春物語」もよかったんですよ。
「野菊の墓」「早春物語」は観ているんですが
薬師丸ひろ子の「Wの悲劇」はまだ観ていないのに気づきました。
そして、薬師丸ひろ子って映画もテレビも全然観ていないことも。
大人気アイドルだったから顔は知っているし、声も悪くない印象があるけど
縁ないんですね。意識的に避けてるわけではないんですが。
nessko
URL
2012/07/29 23:59
nesskoさん、こんにちは。

>「早春物語」
僕も観ていますが、確かに良い作品でしたね。
初期はアイドル主演が続いたので、映画を難しく見たがるタイプの批評家は最初から無視していましたけど、本当は良い監督です^^

>「Wの悲劇」
これも二回観ていますが、劇中劇もあってなかなか面白いです。
是非ご覧になってください。
ひろ子ちゃん演技開眼の作品とも言われているようですが、元来素質があったのでしょう。近年、実写版「鉄人28号」は彼女の演技だけが見どころと言っても良いくらいでした。

昨年亡くなった母が胃がんで警察病院に入院していた時、盲腸で入院してきたことが判明して入院患者の間で大騒ぎになったらしいです。30年くらい前人気絶頂気の出来事です。
オカピー
2012/07/30 18:57

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