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zoom RSS 映画評「SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム」

<<   作成日時 : 2012/05/31 10:25   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2010年日本映画 監督・入江悠
ネタバレあり

前作で「ラップは音楽である前に文学であると思っている」と述べたら、見当違いの見識を披露されるのは困るとクレームが入ってこちらが困った。作品に低い評価を付けていちゃもんが入ることはままあるが、こういうケースは全く初めてであった。
 僕はラップが押韻を筆頭要素としているからそう言ったまででそう深い意味があったわけではないから当惑したものの、音楽としては嫌いであると言ったのが癪に障ったのか。
 いずれにしても、この第2作のサブタイトルにきちんと文学用語たるライム(韻)という言葉を使っていることからも解るようにラップが立派な文学的要素を持っている上に、wikipediaにはラップの起源はアフリカン・グリオ(アフリカの伝承文学)である可能性があると指摘されている以上、ラップが文学であるということが見当外れの見識である謂われは少しもない。日本の琵琶法師による「平家物語」、能や浄瑠璃など多くの古典が文学であると同時に音楽であり、ラップがそうであって何故悪いか、何故見当違いなのか全く解らない。ブロックパーティーで生まれたから文学でない、などという方が余程的外れな見識ではあるまいか。
 例えばロックの歌詞も玉石混交、程度が高いボブ・ディランなどはそのまま韻文として高い評価を受けるに値するが、個人的にはミーハーに受ける程度の低いものであっても文字で書かれたものは全て文学である。日本でも北原白秋、西条八十なと有名な詩人が数多くの童謡の歌詞を書いているではないか。

閑話休題でござる。

入江悠監督が埼玉は深谷(映画では福谷と架空の名前に変えられていた)を舞台に食えないラッパー志願を描いて好評を得た前編を受け、その主人公IKKU(駒木根隆介)とTOM(水澤紳吾)が彼らの英雄たるタケダ先輩が伝説のライブを行なったという駒瀬川を目指して群馬県にやって来るところからお話を始めている。

僕は群馬県人だからこの辺り非常に関心を持ってしまうが、駒瀬川なんてものはないし、彼が最初に知り合うラップ志願の27歳の女性アユム(山田真歩)が父親(岩松了)が経営するコンニャク屋で働いているから下仁田かなと思ったが、或る人は藤岡市辺りではないかとの説を出している。いずれにしても群馬南部で、川は下仁田にも藤岡にも流れている鏑川かもしれない。どうせなら本当に群馬で撮って欲しかったなあ。

で、二人の埼玉ラッパーに影響されたアユムが高校時代にグループを組んでいた4人を呼び出して再スタートを切ろうとするが、ライブハウスもなく、同級生のミッツー(安藤サクラ)が母親の捨てた旅館の借金に追われるなどして資金も集まらず、結局諦める。が、母親の三周忌にIKKUやミッツーらが押しかけてその本音を次々とラップで語り出す。

というお話で、文字通り社会の底辺でくすぶる連中がラップに人生を賭けようとする前作のお話をそのまま女性版に替えただけで新味は不足気味だが、頗るリアリティーがあって採点以上に胸を打つものがある。

こういう四畳半っぽいお話はフィルムで撮った方が感じが出るんだけどねえ。

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SR サイタマノラッパー2 〜女子ラッパー☆傷だらけのライム〜/山田真歩
前作の『SR サイタマノラッパー』は劇場では観る機会がなくて以前にDVDで鑑賞。このパート2は観に行こうかなと思ったら結局観そびれてしまい、こちらもDVDでと思っていたら再びチャン ... ...続きを見る
カノンな日々
2012/05/31 11:00
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2012/05/31 11:47

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
僕はこのシリーズはとても好きなんですね。
現在、三作品目が上映中ですね。
楽しみにしています。
kimion20002000
URL
2012/05/31 11:48
kimion20002000さん、こんにちは。

kimionさんの仰るように、「男はつらいよ」のようなシリーズになるかもしれないですね^^
オカピー
2012/05/31 21:04
先日、フィルムが消えていくために、映画館も消えているというのをNHKでやっておりました。
フィルムをコピーして映画館に送るためには1本あたり20万円かかるそうで、デジタルにすると、その費用がいらなくなるので、映画製作会社はデジタルに切り替えたそうで、さらにデーターを入れたカードですむため、映写技師もいらないそうです。
しかし、地方の小さな映画館では、デジタル化する費用がなくて閉館せざるえないところが続出しているという話です。
ねこのひげ
2012/06/01 05:13
ねこのひげさん、こんにちは。

半月ほど前僕が購読している東京新聞にもほぼ同じような記事が載っていました。
若い人にはフィルムの質感に拘る人が減っているでしょうし、TV視聴者層を取り込んで邦画人気を構築しているだけで、映画人口は実際に減っている現状では、映画館が減っていくのは致し方ないのかもしれません。

一方、WOWOWが毎週紹介している“映画”に拘っている映画館を観ているともう少し“映画”を観たいと思えてきますが。
6,7年前ある人に「十数年後には“映画”はなくなるのではないか」というメールをしたためたことがあるのですが、僕の感覚ではそれは既に始まっているんですよ。
オカピー
2012/06/01 11:19

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