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zoom RSS 映画評「私の愛、私のそばに」

<<   作成日時 : 2012/05/28 11:00   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2009年韓国映画 監督パク・チンピョ
ネタバレあり

一部の人の意見とは逆に、韓国大衆映画の水準は日本映画に遅れること数十年である。殊に難病ロマンスと言えば、作劇的には大正時代の邦画程度だが、本作は大部洗練されている。
 何より良いのは、法律家を目指す主人公キム・ミョンミンが最初からALS(筋萎縮性側索硬化症)なる難病、俗に言うルー・ゲーリック病を患っているということを明言していること、即ち意外性で勝負する程度の低い作劇ではないことである。

主人公は母親の葬儀で、葬儀社に勤めている幼馴染の美人ハ・ジウォンと再会して恋に落ちる。彼を何としても死なせないぞと意気込む彼女の影響もあり、キム青年は中国での手術を受けて一時は手足の動きが良くなるものの、根本的な治癒には程遠く次第に衰え、それと共に彼は彼女を遠ざけようと思うようになる。口で言うように疎ましくなったのではなく、彼女の幸福を考えてのことである。結局彼女は指輪を渡した後こと切れた彼を丁寧にあの世へ送り出す。

実は主人公のように自分では何もできなくなった老父が現在肺炎と併発した感染症と闘病中であり、縁起でもない作品と思い途中で観るのを止めようと思ったが、逆の目が出ると信じて観続けた。

さて、意外性で勝負しない以上本作の眼目は二人特に看病する側の思いを描き上げることになり、難病ロマンスと片付けるには勿体ない態度と言っても良い。監督パク・チンピョは「ユア・マイ・サンシャイン」(2005年)でも同じような節度を保ち、それなりに評価したのを思い出した。
 本作も前半は明朗ながら、後半のシリアスさをわざとらしく強調する為の手段として前半ドタバタを持ってくる韓国の水準的難病ロマンスとは一線を画している。が、多少その気(け)がなくもなく、前述作に劣る。周囲に似た環境の患者を幾人か配し、それぞれの家族の反応を描き込みロマンスを越えてリアルなドラマとして味わいを出しているだけに勿体ないところ。

しかし、大部屋ながら常に家族がいて一種の共同生活のようになっているのは韓国ならではの情景で興味深く、ヒロインが葬儀屋の娘で葬儀社に勤めていて、愛する人を送る幕切れは否応なく我が邦の秀作「おくりびと」を思い出させ、構成では大分劣りながらも、じーんとさせる。

この映画の後はルー・ゲーリックの伝記映画「打撃王」を見よう。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
私の愛、私のそばに/キム・ミョンミン、ハ・ジウォン
『ユア・マイ・サンシャイン』のパク・チンピョ監督が贈る韓国お得意の難病モノのメロドラマです。治療法の見つからない難病を患う男性とその妻の愛の軌跡を描いていく物語です。 ... ...続きを見る
カノンな日々
2012/05/28 11:04
私の愛、私のそばに/? ?? ? ??
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の男性とその妻の出逢いから死別までを描いた感動ドラマ。主演の一人キム・ミョンミンはこのために20キロにも及ぶ減量をし体を作ったという。妻役を務めるのは『TSUNAMI-ツナミ-』のハ・ジウォン。監督を『ユア・マイ・サンシャイン』のパク・チョンピが務める。 ...続きを見る
LOVE Cinemas 調布
2012/05/28 15:31
私の愛、私のそばに(2009)★☆CLOSER TO HEAVEN
                                 してあげたいことが、たくさんあったのに。ありがとう ごめん 愛してる 京都みなみ会館にて鑑賞。 ルー・ゲーリック病とは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)だったんですね。調べたところ、ル―・ゲ... ...続きを見る
銅版画制作の日々
2012/05/29 22:05

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
大正時代。まさに!
日本人にとって、そこが新鮮で受けたのだという話を聞きました。

同じ東洋系の顔をしながら、日本とは違う生活形態が観れるというのもうけるのでしょうな。
ねこのひげ
2012/05/29 05:19
ねこのひげさん、こんにちは。

韓国映画に比べて邦画がどうのこうのというご意見が多いですが、邦画のほうがずっと洗練された感覚で作られているのが実際。
突出した監督の突出した作品は確かに近年力強さに欠ける邦画に比べて凄いインパクトを与えてくれるものの、どう考えてもそれは例外。

>大正時代
韓流ファンには怒られそうな表現ですが、正直な感想であります^^
何で難病映画の前半をあそこまでドタバタにしないといけないのか僕には理解不能ですね。今でなくても、邦画なら明朗ではあってもドタバタにはしないでしょう。

>日本とは違う生活形態
似たところもありますし、全然違うところもありますよね。
韓国映画に限らず、映画を観る楽しみの一つですね。
オカピー
2012/05/29 21:18

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