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zoom RSS 映画評「アンノウン」

<<   作成日時 : 2012/04/10 09:29   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2011年イギリス=ドイツ=フランス=日本=アメリカ=カナダ映画 監督ハウメ・コジェ=セラ。
ネタバレあり

ネタばれをポリシーとする(笑)当方としては些か書きにくい作品であるが、前半に限ればアルフレッド・ヒッチコックの「北北西に進路を取れ」とスタンリー・ドーネンの「シャレード」という半世紀前の傑作二作を併せて割ったような感じである。開巻直後は「引き裂かれたカーテン」もどき。

植物学者のリーアム・ニースンが妻ジャニュアリー・ジョーンズ同伴で学会出席の為ベルリンを訪れる。忘れ物を取りに単身空港へ戻る途中で交通事故に遭うが、美人タクシー運転手ダイアン・クルーガーの働きで一命を取り留めたものの四日間の昏睡から目を覚ました時記憶が定かでなくなる。
 強引に病院を出て90%程度戻った記憶を頼りに向った先で再会した妻に「見知らぬ人」と言われ、エイダン・クィンが夫であると証言した為にっちもさっちも行かなくなり、東欧からの不法移民である為姿を消していたダイアンを探し出して証拠を集めようとするうち、怪しい二人に襲撃される。

主人公が他人と間違われて怪しいグループから狙われる「北北西」に対してこちらは自分が“他人”になった挙句に謎の二人組に襲われ、帰宅したら夫に失踪され家の中が空っぽになっていた挙句に夫の意外な正体が判ってヒロインが呆然とする「シャレード」に対してこちらは妻から他人と言われて自分の頭の中が空っぽとなりやはり呆然としてしまう。どう、ちょっと似ているでしょ? 
 勿論現在の映画だからかの二作品のように単純に主人公たちを信じる代わりに、寧ろ主人公の頭や作者の観客に対するトリックを疑ったりしなければならない面倒臭さがあるが、興味を引き続ける展開であることは確かである。

この後はアガサ・クリスティ―の「アクロイド殺人事件」ほどは吃驚しないものの、あっと驚く仕掛けもある。中盤、植物学者の主人公がカーチェースをする場面があり、運転が上手くてしかるべきタクシー運転手のダイアンが助手席にいるなど首を傾げたのだが、これも伏線であることが解る。

彼に協力を依頼される老人ブルーノ・ガンツが東独の秘密警察出身だったり、ダイアンがボスニアからの不法移民だったり、事件がバイオテクノロジー絡みの上に中東の王子まで登場するという社会派みたいな要素も一応2010年代に作られた作品らしいということに将来なるであろう。但し、実質的にはバイオテクノロジーの部分はヒッチコックの言うマクガフィンみたいなものだから、そうした部分を過剰に評価するのは勿論無粋である。

監督は怪作「エスター」を監督したハウメ・コジェ=セラ。ヒッチコックのように本人が好きなのかどうか知らないが、どうもサスペンス御用達の監督になって行く模様。

ヒッチ・ファンにおかれては、「北北西」「カーテン」以外にもあれやこれや似ている作品があるので、「あれに似ているなあ」などと考えながら楽しんで観てね。

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2012/04/10 22:24
アンノウン(2011)◆◇UNKNOWN
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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
おはようございます。
>「あれに似ているなあ」などと考えながら楽しんで観てね。
そういう楽しさで観てみようかしら。
こういう展開って案外多いですよね。
ジム・カヴィーゼル主演のこちらは「unknown アンノウン」も目ざめれば記憶喪失で誘拐されたのは誰で、誰が犯人なんだってのもありましたねぇ。この辺りレベルの作品かなって思って観ていない。
やっぱり北北西なんかは面白い。どこといって凝ってrわけではなく、とってもシンプルな展開なんですけどねぇ。シンプル・イズ・ベストの極意ですかねぇ(笑)
シュエット
2012/04/10 10:42
シュエットさん、こんにちは。

細かく検証していくと、相当ご都合主義なんですが、こういうサスペンス自体が近年多そうで少ない(ようでやはり多い?)ので、ニコニコ観ておりました。
でも、やはり「北北西」のようにあれほど単純にしてあれほど面白い映画はちょっとないですよねえ。あの作品は正に神様の神業でしたよ。

>「unknown アンノウン」
そう言えばありましたねえ。
「ソウ」の影響下で作られた作品で、努力している部分もありましたが、弱点も多い作品でした。うん、あの作品よりはオーソドックスな作りなのでシュエットさんも少しは楽しめるかもです。
オカピー
2012/04/10 11:58
リーアム・ニーソンは、美男というわけではないし、迫力があるというわけではないし・・・・どこかアリゾナあたりの田舎町にいそうな人物・・・という印象ですが・・・
でも、なにかきになる印象を残す俳優です。
で、ついつい見ちゃいますね。

ミステリーといえば、遅い昼食を食べながら見ていた「カオス」というミステリーアクション映画のが拾いものでした。
ジェイソン・ステイサムとウェヴリー・スナイプスが出演というので見ていたのですが、観た記憶がないな〜と思っていたら、アメリカではDVDのみで、日本での公開は銀座シネパドス他だったそうです。
これだけの俳優が出ても地味な公開をする事もあるんですね。
ねこのひげ
2012/04/11 04:43
ねこのひげさん、こんにちは。

>リーアム・ニーソン
アリゾナあたりの田舎町にいそうですね(笑)。
その一方、彼の代表作と見なしてよいであろう「マイケル・コリンズ」で主人公を演じたので、やはりアイルランド、北アイルランド(出身地)のイメージも僕は強く持っています。
最近アクションづいてきたのは何故でしょう?

>「カオス」
既に5年ほど前に取り上げています。
点数は6点ですが、「サスペンスやアクション映画のあるべき姿」と結構誉めていますね。下にURLを付記しておきますので、興味がございましたら、ご笑覧を。

http://okapi.at.webry.info/200710/article_23.html
オカピー
2012/04/11 09:17
先日観ました。観ている途中で気がついた。以前に観ていた作品だと(笑)
でも結論なんかもとっくに忘れているから(その程度の作品だったのでしょうけどね)、話の展開も面白く結構楽しめました。
しかし、記憶喪失をテーマにしたこういう作品は「ボーン・アイデンティティ」以降は新鮮味が無くなってしまった感ありですねぇ。
しかし、リーアム・ニーソンも結構なお年のはずだけど、こういうアクション映画にもご出演とは、俳優業も大変ですネェ。オカピーさんも頑張らにゃ〜(笑)それからあのガタイ。ブルーノ・ガンツと並んだときには、ガンツさんがほんと小さく見えた。
シュエット
2012/04/17 09:24
シュエットさん、こんにちは。

ヒッチコックでも「北北西」はすぐに話を忘れてしまう。飛行機の場面とか最後の省略エンディングは憶えていてもね。
同じ傑作群でもそこが他のヒッチ映画と違うところなんですが、どうして憶えられないかと言うとそういう風に作ってあるから。要はマクガフィンだらけで、お話が意味を成していない。でも傑作なんだなあ、これが。

本作も「北北西」とまでは言わないまでも、そういうタイプの作品でしょう。

>ニーソン
何故か突然アクション俳優みたいに(笑)。
さすが、アイルランド系、でかいですね。

僕ですか? 色々ありましてちょっと疲れ気味です。
映画を観て一筆書くくらいなら何年でもできそうですけどねえ(笑)。
オカピー
2012/04/17 19:24

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