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zoom RSS 映画評「4月の涙」

<<   作成日時 : 2012/03/02 08:51   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2008年フィンランド=ドイツ=ギリシャ映画 監督アク・ロウヒエミス
ネタバレあり

ロシア末期の内戦はショーロホフの大河小説「静かなるドン」でたっぷりと勉強出来るが、その結果できあがったばかりのソ連に煽られてフィンランドで起きた内戦をテーマにした戦争ロマンスである。原作は、レーナ・ランデルの同名小説。

1918年4月赤衛隊の女性リーダー、ミーナ(ピヒラ・ヴィータラ)が処刑の際に偶然生き残り、敵たる白衛隊の准士官アーロ(サムリ・ヴァウラモ)が捕えるが、野蛮な他の軍人たちと違い公正な裁判に掛けようと彼女をボートで運んでいる時に抵抗に遭って無人島に流れ着く。そこで幾ばくか過ごした後、そこへ通りかかった船に救出され、有名な人文学者で作家であるエーミル判事(エーロ・アホ)の許に連れて行くが、リーダーとしての信念を持つ彼女は。千載一遇に巡って来たチャンス即ち孤児の母親の名前を名乗れという准士官のアドバイスを無視して本名を名乗り死刑を宣告されてしまう。

というだけではただの戦争悲劇だが、敵味方の男女二人の恋愛感情に、人文学者なのに判事の名の下に殺戮を命じているジレンマに苦しむ判事の複雑な心境を絡めたことにより、文学的な陰影が生まれなかなか興味深いお話になったと言える。

というのも、この判事は美人の細君を持つものの実は男色家で、彼女を無罪にする為に准尉にしかるべき要求を交換条件として出すのである。その布石として判事がミーナの色仕掛けに全く反応しないエピソードが置かれ、三人の心理模様に感興が湧く次第。

アーロが仕方なく応じたのも無にして判決の際に彼女は本名を名乗るが、幕切れを見ると、これは“無にした”のではなく、或いは彼女なりに考えた策略だったのかもしれない。

アメリカ映画大不作の今月観た欧州映画は殆ど例外なく撮影が優秀で、本作も北欧ならではの景観を利用した構図を含めて立派な画面が連続する。

監督はアク・ロウヒエミス。製作時40歳で、既に幾つも作品を作っているらしい。もっと輸入して欲しいと思わせる実力はあると見た。

フィンランドの内戦は知らなかったです。

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?????K舖ky
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LOVE Cinemas ??
2012/03/02 12:39

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
たしかに、最近はヨーロッパの作品が目立ちますね。
ハリウッドの圧倒的な資金力による宣伝の陰に隠れていただけかもしれませんが。

どこの国も、大なり小なり争いはあるようで、日本の国会の争いごときは、蚤の喧嘩みたいなもんでしょう。
ねこのひげ
2012/03/03 06:03
ねこのひげさん、こんにちは。

>ハリウッド
今月もそれほどではないですが、また来月以降増えてきますよ。TV局絡みの邦画と共に^^;

日本にだって戦国時代はありましたし、もっと近代的に思想で争った戦争と言えば西南戦争なんてありましたね。
戦前、日本の共産党や労働組合は本格的に戦闘するつもりななかったようなので、特高なのは過剰防衛だったのでしょうが、内戦はあっては困ります。
オカピー
2012/03/03 11:35

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