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zoom RSS 映画評「サラエボ、希望の街角」

<<   作成日時 : 2012/02/08 11:29   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2010年ボスニア・ヘルツェゴヴィナ=オーストリア=ドイツ=クロアチア映画 監督ヤスミラ・ジュヴァニッチ
ネタバレあり

前作「サラエボの花」でなかなか感覚の良さを示したボスニア=ヘルツェゴヴィナの女性監督ヤスミラ・ジュヴァニッチの前作同様に出生地サラエボを舞台に作ったドラマである。

ボスニア紛争から十四年経ち復興目覚ましいサラエボに住むキャビン・アテンダントのズリンカ・ツヴィチシッチは恋人の管制官レオン・ルチェフと同棲中で、彼との子供を産もうとするが、彼のほうに若干問題があり人工授精を試みることにする。しかし、勤務中の飲酒癖が発覚して事実上の首になった彼は、再会した戦友の紹介でイスラム原理主義者が営むコミュニティで暫し働くことになって次第に原理主義に染まっていき、西洋的な自由を謳歌するイスラム教徒の彼女と考えがすれ違い、結局別の道を歩まざるを得ない。

という物語で、彼女が最終的に人工授精を拒んだ時に「アラーの考えに合っている」と言われたことが別れる決定的理由となり、その後妊娠したことが発覚するという皮肉な展開が待っているのだが、彼女は一人で或いは別の男性ときっと立派に育てて行くだろう。

過去に両親を殺された悲劇を持つ彼女の人生模索を、見かけ上とは裏腹に実際には回復半ばに過ぎない国や故郷への思いに重ねたものと理解すべき内容で、かつて多様な民族と宗教が共生していたサラエボは現在イスラム教徒が大半を占め、原理主義者が復興を担っている状態なのだと言う。

女性監督はこの現状を憂い、戦争で弟を失ったヒロインの恋人の苦悩にも幾分かの理解を示しつつ、この男性を通して女性の自由を事実上奪い、戦争を否定しないイスラム原理主義への不安を示す。言い換えれば、故国・故郷の本当の復興は女性の奮闘にかかっているとヒロインのような女性に希望を託していると思われる。

作品としては、前作より完成度が上がっているが、映画的感覚の魅力は下がっている。総じて前作の方を買いたい。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
冬季オリンピックがおこなわれたときは、平和で美しい国だと思っていましたが、紛争が始まったとき、テレビで銃弾や砲弾でボコボコにされたビル群を見たときは、唖然としました。
人間の憎悪の恐ろしさを感じました。
いまは、均衡を保たれているようですが、いつまた再開されるかわからない不安がありますね。
ねこのひげ
2012/02/09 05:15
ねこのひげさん、こんにちは。

>冬季オリンピック
子供の頃からオリンピックは好きで良く見ます。
サラエボは1984年ですから、それから何年もしないうちに紛争が始まって、TVで映される光景には、本当にびっくりしましたね。

高校の世界史で「バルカン半島はヨーロッパの火薬庫」と習いましたが、昔のことと思っていたのに、火薬庫はいつになっても火薬庫なのでした。
人間って嫌ですね。
オカピー
2012/02/09 19:18

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