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zoom RSS 映画評「セラフィーヌの庭」

<<   作成日時 : 2012/02/22 10:30   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2008年フランス=ベルギー=ドイツ映画 監督マルタン・プロヴォスト
ネタバレあり

画壇には素朴派と呼ばれる一派があるという。印象派といった流行した画風を指すものではなく、画業を専業としない人々を指すそうで、その意味では未来永劫続く一派である。
 そうした素朴派として知る人ぞ知るフランスの女性画家セラフィーヌ・ルイの後半生を描いた伝記映画で、資料ではセザール賞を7部門受賞しているが、セザール賞と近年のカンヌ映画祭のセンスは僕と合わないから、それはどうでも良い。

20世紀初め。セラフィーヌ(ヨランド・モロー)は太った中年の家政婦で、肉の血や教会の油を掠め植物から採取した色素を使って独自の絵具を作り、万華鏡のような強いタッチの静物画を描く。

彼女は宮崎駿アニメのヒロインのように、動植物の声を聞く天性の才能を持つ。自然=神という図式通り、セラフィーヌも神から絵を描くように啓示を受けたという。言わばジャンヌ・ダルクの画家版みたいなもので、世間の観念を超越したところにある。

彼女の絵に驚いたドイツ人画商ウーデ(ウルリッヒ・トゥクール)の尽力は第1次大戦や世界恐慌で順調には行かず、結局彼女が天使を招いたという個展が開かれないことを知って彼女の精神は崩壊し、そのまま1942年78歳で他界する。

貧乏なら貧乏なりの生活をするし、一時的にお金が入る時期には考えられない程浪費するなど我々凡人には到底理解できない、正に神に選ばれた人ならではの行動が大変興味深い。

監督は初めて観るマルタン・プロヴォストという人だが、映画としての作りはオーソドックスで、映像は美しい。特にセラフィーヌが施設の扉を開けて一本の大木に向って歩いて行くラスト・ショットは構図的に抜群。それ以上に秀逸なのがヨランド・モローの演技で、フランス映画人の底力を見る思いがする。

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?????????S駻aphine
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LOVE Cinemas ??
2012/02/22 14:02
セラフィーヌの庭
 お話もさることながら、とにかく映像がきれいなことったら! ...続きを見る
映画と暮らす、日々に暮らす。
2012/02/22 14:18

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
いま盛んにテレビで宣伝している『アーチスト』もフランス映画で、無声映画からトーキーへの変換の時代のハリウッドを描いて評判のようです。
スコセッシーの『ヒューゴの不思議な発明』も映画の創世記のフランスを描いたイギリスの作品で、両方ともアカデミー賞候補にあがってます。
あちらの映画界に変化が見られるようですね。
ねこのひげ
2012/02/23 06:24
ねこのひげさん、こんにちは。

1970年代前半30年代を描いた映画が大量に作られたのを思いださせる現象ですね。

>『アーチスト』
CMで観る限り、その当時の映画を観ているような見事な再現ぶりで、断然興味が湧いている作品です。
尤も、例によってWOWOWに出るまで待つのですが(笑)。

>スコセッシ
なのにイギリス映画とは・・・。
とにかく、今月のWOWOWのラインアップを観ると、ハリウッド映画の凋落ぶりは激しい。欧州映画は日本でヒットこそしませんが、なかなか充実していますね。
オカピー
2012/02/23 22:00

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