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zoom RSS 映画評「再会の食卓」

<<   作成日時 : 2012/02/21 11:26   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2010年中国映画 監督ワン・チュアンアン
ネタバレあり

先日観た「トゥヤーの結婚」のワン・チュアンアンが再び“二人の夫”を抱えることになる女性を主人公に描いたドラマで、中国の近代化に対する思いがここでも見え隠れする。

1949年共和党軍に敗れて台湾に逃げた元国民党の軍人たちが40年ぶりに故郷に戻ることを許される。その中の一人が、かつて上海に残した妻リサ・ルーに会いに来たリン・フォンで、実は台湾の妻が死んだ為余生を彼女と過そうと連れ帰るつもりなのだが、彼女にはその後結ばれた元共産党軍兵士の夫シュー・ツァイゲンや三人の子供や孫たちもいてそうスムーズに事が運ぶとも思えない。長男は彼自身の息子だが一番無関心。が、そのことを打ち明けるとリサは積極的に受け入れ、夫までも歓迎する。

我々日本人の感覚からするとこの辺りは理解を越えたところで、中国老人の傾向なのか、それともシューさんがその中でも特別なのかは判然としない。映画の中で何度も言われているように彼が際立って善人であることは間違いない。

とにかくリンさんが一家の家に泊って何度も食卓を囲むうちに自然にお話はそちらの方向に進んでいき、二人が離婚する為に正式に結婚する辺りの騒動は本人たちが真剣なだけにそこはかとなく微笑ましい。

その後シューさんが店先で客と口論になって軽い脳梗塞で倒れる。彼が一番ショックだったのは40年以上も同居しながら彼を愛していないという妻の言葉だろうが、こうなってはリンさんも連れて帰るわけにはいかない。
 結局彼が去った後政府の政策で高層アパートに引っ越した二人に子供たちは会いに来なくなる。ただ一人一緒にいる年頃の孫娘モニカ・モクも結婚すると言うが、未来の夫は二年間の予定で渡米すると言う。

この辺り老人たちを悲しませる中国そして中国人の現状がある。家族の絆も希薄になっている。

基本は望郷を含めた中国高齢者たちの人情にほろりとさせられるドラマだが、その過程で半世紀に及んで体制に翻弄され続けてきた民衆の悲哀がおぼろげに浮かび上がる。勿論中国映画だから露骨に批判はしていないものの、検閲官には感じ取れなくても大衆が敏感に察知しないはずがない。

ワン監督の作品としては「トゥヤーの結婚」のほうが素朴にして力強く、評価したい。本作には意味のないバスガイドのジャンプカットや肩掛けカメラの使用があって若干匠気が顔を出している。

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再会の食卓/団圓
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2012/02/22 01:31

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
日本でも戦争期に亭主や許婚が不明になって、別の人と結婚した後に、日本に男が戻ってきたりという話はよくあったようですけどね。
でも、こういう再会の仕方や対処の仕方は、日本ではあんまり考えられないですね。
国民性の違いかもしれません。
kimion20002000
URL
2012/02/22 01:35
大陸的おおらかさなのかもしれませんね。
日本だとあきらめて帰ろうとするところで、ドラマが生まれたりしますが・・・
『岸壁の母』のモデルで、実際に中国で生きていた息子さんが見つかったけど、中国で結婚していて帰らなかったですね。
ねこのひげ
2012/02/22 07:35
kimion20002000さん、こんにちは。

ちょっとだけ変わった人が出てくる場合、国民性なのかその人の個性なのか判断が難しい場合があり、本作には若干そういうところがありますね。

変わるのは中国だけでなく、日本も日本人も僕が生まれた頃(どころか学生の頃と比べても)とは(個人的には嫌な方に)変わっていますよネエ。
オカピー
2012/02/22 21:55
ねこのひげさん、こんにちは。

>大陸的おおらかさ
そういう面もあるでしょうし、この人が例外的に善人なんでしょうね。

>『岸壁の母』
そう言えば、そんな話もありました。
オカピー
2012/02/22 21:58

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