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zoom RSS 映画評「スリ」

<<   作成日時 : 2011/10/26 09:35   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1959年フランス映画 監督ロベール・ブレッソン
ネタバレあり

ロベール・ブレッソンの「抵抗」に続く長編第5作は前作と同じように手が重要な要素となっている作品である。

若者ミシェル(マルタン・ラサル)は「非凡な才能を持った人間は法を破ることも許される」という持論を持ち、競馬場でスリを敢行するが、直後に逮捕されながらも現行犯でなかった為に釈放される。電車の中での犯行は上手く行き、警察につきまとわれながらも、スリの達人にテクニックを学んでグループ犯行にのめり込む。母親の死後海外で稼いだ金を使いはたして帰国、競馬場でおとり刑事にスリを働いて現行犯逮捕されるが、生前母親の面倒を見ていて今は刑務所に面会に来てくれるジャンヌ(マリカ・グリーン)という少女と心が通じ合うのを覚える。

娯楽映画的には様々なスリのテクニックを披露されるのが興味深く、一面ではスリをしようとする人間に技術を授けるようなものだが一面ではどうしたらスリを防げるかという勉強にもなる。それはともかく、文学にある程度通じた人ならこの作品が「罪と罰」の殺人をスリに置き換えたものであると観終わった後解るだろう。

僕には彼の持論が社会と正面から対峙できない弱さの言い訳としか感じられず、前作「抵抗」になぞって言えば弱さという牢獄から逃げ出す過程をスリという行為を通して見つめた作品と言うことが出来る。

映画としては極小の台詞と音楽、量的にはそれなりにあるが説明の為には置かれていないモノローグ、クロースアップを多用し無駄を一切排した映像がアンサンブルとなって、神の視点で作られている作品と感じさせ、観ているこちらも厳粛な気分になる。

あんな方法でスリができるかと仰る人がいますが、マジックと同じで別のところに注意が行っていると案外気づかないものらしいですぞ。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
ロベール・ブレッソンを観る@ 「スリ(掏摸)」
PICKPOCKET 1960年/フランス/76分 ...続きを見る
寄り道カフェ
2011/10/26 10:46

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
ご無沙汰しておりました。東北震災のショックからでしょうか。どうにもブログに向う気が起きず、公開映画も寂しい状態で7ヶ月ぶりでございます。先日、柳ジョージの死に、悔やみの言葉の一つでも書かなければでブログもぼちぼち再開いたしました。記事更新やらなにやらで、ようやくこちらにも。
最新記事がブレッソンの「スリ」とは! やっぱり心連絡ついてるんだわぁ!(笑)ブレッソン作品でも「スリ」が一番好き。(ブレッソン作品で「好き」って表現もそぐわない気もするけど…)
こんど大阪の場末映画館で「スリ」と「ラルジャン」がデジタルリマスター上映されるんです。「スリ」はスクリーンで観たい!
8点!ありがとうございました!
では、では、またまた足繁くお邪魔させていただくかと思いますが宜しくお願いいたします!
シュエット
URL
2011/10/26 10:44
シュエットさん、お帰りなさい。

繊細なシュエットさんのことだから恐らくそうだろうなあと思いつつ、二か月くらいで復帰されると思いきや、七か月・・・長かったですよ。

この間僕は四月に母を失い、その死に対して罪悪感を否めないまま、五月に必要もないことをやって税務署が絡む大失態をやらかして何とか見逃して貰って以来、不安にさいなまれて精神安定剤等が欠かせない状態で日々を過ごしておりました。
ここのところちょっと落ち着いていますが、本当に気持ちが晴れるのはいつになるやら見当もつかない状態です。

しかし、シュエットさんが復活して大分元気を盛り返せそうです。

ブレッソンの映画は無駄がないせいか神がかっている感じがするんですよね。宗教が背景に絡んでいようがいまいが神の存在を感じてしまいます。
オカピー
2011/10/26 17:22
オカピーさんの方が大変な時間を過ごされていたんですね。
これで映画でも観たらスッキリするんだけど、最近の映画では余計にトーンダウンしてしまいそう(笑)
先日、ご贔屓の場末映画館で「ナッシュビル」観てきました。カメラが星条旗からゆっくりとあがり大空を映し出し、そしてエンディング。思わずスクリーンに向って拍手してしまったわ。いよっ、お見事!アルトマン!
かつての映画は、胸いっぱいの充実した幸せをくれて(悲惨な映画ですら!)劇場を出たもんですよね。元気をくれた。
「ナッシュビル」をスクリーンで見て劇場出るときの気持ち。これがあるから映画はやめれない…だったんだなってしみじみ思いました。
それでも頑張ってグログ更新しているオカピーさんに敬礼です。
ご自愛くださいね。
シュエット
2011/10/27 13:37
シュエットさん、こんにちは。

自分が情けなくなる日々ですね。
一時は映画を観るのも辛い時代がありました。
先日記事にもしましたが、今後は精神的に悪い影響を与えそうな新しい一部の映画を避け、安心して観られる古い再鑑賞作品を少し増やしていくつもりでおります。

ブログだけは、一昨年のように急に入院などとならない限り、毎日続けるつもりです。
オカピー
2011/10/27 20:58

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