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zoom RSS 映画評「人生万歳!」

<<   作成日時 : 2011/09/01 11:17   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2009年アメリカ映画 監督ウッディー・アレン
ネタバレあり

毎年一作ずつコンスタントに作品を発表して先日「ウディ・アレンの夢と犯罪」を観たばかりというのにまたも観ることになったウッディー・アレン御大の作品でござる。アレンは多分全部観て来たと思うが、本作は「アニー・ホール」系列作品の気の抜けた作り直しみたいな感じなので、面白いと言えば面白い、手詰まり感があってつまらないと言えばつまらない。一応お話をば。

ノーベル賞を受賞せんかと言われたほどの初老の物理学者ラリー・デーヴィッドは頭脳明晰すぎる余り他人が阿呆に見えて仕方なく厭世的になって自殺も試みるが失敗、職を失って妻に逃げられ、子供にチェスを教えて身銭を稼いでいるが、ある時アパートの前で南部から出て来たという十代の少女エヴァン・レイチェル・ウッドを泊めてやったのがことの始め、知能格差があることから却ってお互いが気に入って結婚してしまう。
 そこへ突然宗教かぶれの古風な彼女の母親パトリシア・クラークスンが現われ二人の関係をかき回すが、彼の友人が彼女のスナップ写真を気に入ったことからこの母親は心の奥にしまいこんでいた奔放な血を目覚めさせ男二人に囲まれる日々を過ごすようになる。さらに今度はこれまた因循古俗の父親エド・べグリー・ジュニアが現われるが、妻の変身に混乱した挙句に実はゲイであることをカミングアウトしてしまう。
 で、エヴァン嬢は結局母親から紹介されたハンサム俳優と結ばれ、またまた自殺未遂したデーヴィッドは占い師と運命的な出会いをする。

母親が登場する辺りから舞台劇的な感じが顕著に漂って来るが、舞台劇と言えば画面に向かって登場人物が語りかける、という異化効果を狙った、第四の壁を破る手法が大胆に取り込まれている。これは旧作「僕のニューヨークライフ」で試みたのをもっと本格化した感じだが、ちょいと使いすぎて鼻白むところあり。

主人公は人間嫌いで厭世的、例によってアレンその人を投影したような人物像だが、色々シニカルに考えている割に軽薄なところもあって素直に運命論を受け入れ、完全に納得したわけではないがとりあえずは現状で行ってみようという諦観的な境地のハッピーエンドを迎えるという次第。アレンの現在の心境なのでしょう。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
人生万歳!と叫べたことのほとんどないねこのひげとしては、ウディー・アレンは、こういうのを見ると、ナルシストであるな〜と思いますですね。

モントリオール映画祭で原田監督の『わが母の記』が審査員特別グランプリを受賞しましたが、たぶん観ることはないでしょうね。というか観ることが出来ないです。劇場で見たら号泣しそうで・・・・・
こちらももうすこしで一回忌なので、片付けることが出来なくて放置していたオフクロの部屋の片付けをソロソロしなければと決心したしだいです。
ねこのひげ
2011/09/02 07:32
ねこのひげさん、こんばんは。

>人生万歳!
このハッピーエンドも多分に逆説・諦観的なところがあるでしょうけどね。やけくそでも良いから言えたら良いなあと思います。
こういう私小説の映画版みたいなのをこれほど大量に作った映画作家は、日本人を含めて他に例がないですね。日本の物書きには大量にいますが。

>『わが母の記』
家族の、特に母親が重要な役で出てくる作品は涙なしに観ることができませんねえ。
さる五月に「恍惚の人」を再鑑賞しようとしたらいきなり老人(森繁久弥)の妻が・・・でして、泣けるというより気持ち悪くなって観るのを断念しました。今なら観ることはできるでしょうが。

>片付ける
そういうことでもないとなかなかできませんね。
我が家も新盆の為に大分片づけました。こちらは田舎なので、親類と隣近所の寄り合いがあって部屋を広々としないとどうしようもないので、やむを得ずという感じですが、良い機会ではありました。
二階も物凄いことになっているので、気温が涼しくなってくる9月後半くらいから本格的にしかし少しずつやろうかなと思っています。
オカピー
2011/09/02 17:35
こんにちは。
本当にアレンの現在の心境をちょいっと戯画化しながら、素直に出していると思います。
すげえというよりは、まあ毎年1作品、職人アレンに付き合っていきたいな、と思っています。
kimion20002000
URL
2011/11/15 23:14
kimion20002000さん、こんにちは。

幾らハリウッド系ではないとは言え、アメリカでこれほど私小説風の映画を撮り続けた作家はアメリカ映画史上他に類がないですね。
欧州にはフェリーニとかトリュフォーとかいますが。
オカピー
2011/11/16 17:48

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