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zoom RSS 映画評「ジョニー・マッド・ドッグ」

<<   作成日時 : 2011/08/16 09:36   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2008年フランス=ベルギー=リベリア映画 監督ジャン=ステファーヌ・ソヴェール
ネタバレあり

アフリカの諸国で内戦が絶えないと新聞やTVのニュースなどで聞く。本作が扱おうとしているのはそうした内戦の中で利用されている少年兵についてである。背景についての詳細は一切触れられていないが、リベリアが製作国の一つになっているのでリベリアが舞台と考えて良いだろう。

反政府軍に所属してジョニー・マッド・ドッグと呼称されている少年(クリストファー・ミニー)は、隊長に言われるまま、出会う市民を政府側と決めつけ、男性なら子供でも殺し、若い女性ならレイプする日常に明け暮れている。

が、そんな彼も足のない父親を救うのに懸命な少女ラオコレ(デイジー・ヴィクトリア・ヴァンディー)は見過ごしたり、別の場所であったもう若い女性は勝手に自分の恋人にして連れ回る。自分が気に入ったものに関しては傷つけたくない人間性が顕在化する。強奪したブタに愛着が湧いてしまう別の少年兵も同様である。

彼らから解るように、少年兵たちは洗脳され命令に忠実なだけで、強い信念を持っているわけではない。カンボジア内戦を描いた「キリング・フィールド」でもそうだったように少年の純粋さを大人が悪用して動かしているだけである。いざ、政府が転覆して新たな体制になると、それまでの上官は手のひらを返して少年兵を一介の市民と見なして冷たく扱う。市民となったマッド・ドッグは弟を殺したとしてラオコレに傷め付けられる。

少年兵はかくも憐れなものだという主張をモチーフにし、少年兵経験者を出演者に起用したドキュメンタリー・タッチにはなかなか迫力がある。
 が、背景がよく解らず想像で観る部分が多く、その上監督ジャン=ステファーヌ・ソヴェールがドキュメンタリー出身のせいか展開の連続性を欠いて劇映画としての興趣に富むとは言いにくい。その為もあって勿体なくも義憤にかられるようなことがなく、単に後味の悪さだけが残ってしまう。しかし、そういう印象を与える一番の要因は我々の生活感情から余りに遠いお話だからであろう。

ご覧になった方が少なそうですなあ。

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ジョニー・マッド・ドッグ◆◇JOHNNY MAD DOG
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銅版画制作の日々
2011/08/16 23:36

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
純粋というか無知ゆえに利用される少年の悲劇を描きたかったのでしょうね。
いまだにソマリアやアフガニスタンでも起きてますが・・・・
『父親たちの星条旗』や『火垂るの墓』でもそうですが、国に振り回される悲劇で、観るに耐えません。
ねこのひげ
2011/08/17 06:25
ねこのひげさん、こんにちは。

時に、純粋と無知は同義語になることがありますね。
僕が少年兵という存在に言葉を失ったのは、「キリング・フィールド」ですね。この作品はカンボジア内戦の悲劇を描き上げた秀作で、少年兵そのものは要素の一部に過ぎませんが、子供たちがよい大人たちに問答無用に暴力を奮う場面に戦慄したものです。

1960年頃植民地時代を終えてからアフリカで内乱・内戦が起きていない瞬間はないだろうと想像されますね。
少年兵は内戦にしか使えないんですね。

外国との戦争であろうと内戦であろうと、背景にあるのは欲特に所有欲。
ジョン・レノンは♪Imagine no possessions...と歌いました。possessionsは財産といった意味ですが、僕は所有欲と翻訳したいところです。
所有欲なかりせば・・・
オカピー
2011/08/17 17:33

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