プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「山桜」

<<   作成日時 : 2011/04/19 17:46   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 7 / コメント 2

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2007年日本映画 監督・篠原哲雄
ネタバレあり

近年大人気の時代小説家・藤沢周平の短編「山桜」を篠原哲雄を映画化した作品。

最初の夫に先立たれた後磯村家に嫁いだ野江(田中麗奈)が、小役人ながら父子共に蓄財にしか興味がなく姑が冷酷極まりない一家に馴染めない或る日、叔母の墓参からの帰路再婚前に「母一人子一人の家で苦労が多いだろう」と縁談を断った手塚弥一郎(東山紀之)と出会い、掛けてくれた優しい言葉に心が動かされる。
 そんな折手塚は出自を笠に強権的な農政で農民に塗炭の苦しみを強いている元凶の上役(村井国夫)を斬殺して入牢、藩主が江戸から帰国するまで沙汰待ちとなる。その前に野江は墓前の日に手塚が折ってくれたように折った山桜を携え、母親(富司純子)が一人暮す手塚の家を訪問する。

原作にも明確な結末がない模様で、弥一郎の処分がどうなるか曖昧なままで終わる。このお話の主題はく野江が幸福を求める為に自分の意志を発揮するようにまでの紆余曲折を描くことにあるようだから、余韻を出すという目的とは別に、この構成には問題がないだろう。また、終盤の展開や台詞から考えて弥一郎は“沙汰無し”に終るのではあるまいか?

本作の一番の弱点は、弥一郎の刃傷沙汰までの描写が映画文法的に些か心許ないことである。彼はある一家の祖母と孫娘が困窮の末に死んだことを粗末な墓を見て知る。彼は以前孫娘におにぎりを分けたことがある。しかし、その間の一家の困窮は観客にのみ知らされ(ているようにしか見えず)、弥一郎が家族をどのように観ていたか中抜け状態になり、説得力が些か薄くなっているのである。僕は映画文法や映像言語、視点の首尾一貫性という観点で映画を見るのでどうしても気になってしまう。

ただ、僕はこれを採点には加味しなかった。ここまで巧みに醸成されている日本的情緒を素直に味わえば良いと思うからである。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(7件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
山桜
公式サイト。 藤沢周平原作、篠原哲雄監督、田中麗奈、東山紀之、篠田三郎、壇ふみ、富司純子。 まるで書道か墨絵のように簡素で、直截で、タネも仕掛けも何もない江戸時代後期の ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2011/04/19 17:52
『山桜』
□作品オフィシャルサイト 「山桜」□監督 篠原哲雄 □原作 藤沢周平(「時雨みち」) □脚本 飯田健三郎、長谷川康夫 □キャスト 田中麗奈、東山紀之、篠田三郎、檀ふみ、村井国夫、富司純子■鑑賞日 6月8日(日)■劇場 109CINEMAS川崎■cyazの満足度 ★★★★... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2011/04/19 20:34
山桜/田中麗奈、東山紀之
藤沢周平作品の映画といえば下級武士を描いた物語を楽しんできたわけだけど、この作品は田中麗奈さん演じる女性が主人公の物語だそうです。でも劇場予告編はヒガシのインパクトが ... ...続きを見る
カノンな日々
2011/04/19 22:21
mini review 10500「花のあと」★★★★★☆☆☆☆☆
『蝉しぐれ』『武士の一分(いちぶん)』など数々の時代劇作品の原作者として知られる藤沢周平の同名短編小説を、『青い鳥』の中西健二監督が映画化。江戸時代の東北を舞台に、ひそかに思いを寄せていた武士が自害したことを知り、その原因となった相手に敵討ちを果たそう... ...続きを見る
サーカスな日々
2011/04/20 22:06
『山桜』
テアトル映画のメンバーズカード「CLUB C」に入っていて、メンバー限定のプレゼントで当選した田中麗奈と児玉清のトークショー付の上映回を無料鑑賞するために、新宿のテアトルタイムズスクエアに行ってきました。 ...続きを見る
Cinema + Sweets = ∞
2011/04/25 00:37
独断的映画感想文:山桜
日記:2008年6月某日 映画「山桜」を見る. 2008年.監督:篠原哲雄. 出演:田中麗奈(磯村野江),篠田三郎(浦井七左衛門),檀ふみ(浦井瑞江),北条隆博(浦井新之助),南沢奈央(浦井勢津),富 ...続きを見る
なんか飲みたい
2011/04/29 11:26
山桜
2008年 100分 監督:篠原哲雄 出演:田中麗奈 東山紀之  篠田三郎 檀ふみ 富司純子 北条隆博 南沢奈央 高橋長英 永島暎子 村井国夫  樋浦勉 千葉哲也 安藤一夫  綱島郷太郎 江藤漢斉  山田洋次監督が「たそがれ清兵衛」で先鞭をつけて以来、小説を映画化する例が相次ぐようになった藤沢周平の人気時代小説。本作は、短編集「時雨みち」に収録された珠玉の同名作を、篠原哲雄監督が映画化したした、すがすがしい一作。これが時代劇初挑戦となった田中麗奈が、風雪に耐え... ...続きを見る
RE940の自作DVDラベル
2011/10/12 21:11

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
「山桜」というタイトルではありませんが、藤沢作品の映画化について、思ったことをつらつら書いてみたものです。
kimion20002000
URL
2011/04/20 22:08
kimion20002000さん、こんばんは。

いつもながら読み応えがありました。
オカピー
2011/04/22 14:57

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「山桜」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる