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zoom RSS 映画評「ジャック・メスリーヌ/パブリック・エネミーNo.1 Part.2」

<<   作成日時 : 2010/11/10 14:02   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2008年フランス映画 監督ジャン=フランソワ・リシェ
ネタバレあり

続編というよりはフランス犯罪実録映画の後編である。

USC(特別懲罰刑務所)を脱獄してフランスに戻って来たメスリーヌ(ヴァンサン・カッセル)が旧友と銀行強盗を繰り返した挙句に逮捕されるが、留置所から裁判所へ向う途中トイレに寄って旧友が用意した拳銃を手に入れ、裁判所で判事を人質に逃走に成功する。やがて隠れ家を発見した警視ブルサール(オリヴィエ・グルメ)を歓待、大人しく刑務所に入り、その間に自伝を書き上げる。
 その自伝が本作の原作となっているわけで、本人が劇中で弁護士に語るように全てが現実であるとは限らない。序詞の「フィクション云々」の意味もここで理解できるという仕組みで、この辺はちょっと洒落ている。

この第2部では「暴力脱獄」にも似てメスリーヌと国家権力との敵対関係が強く打ち出され、何度も脱獄を繰り返すという形でそれが具体的に示されるわけだが、今度はフランソワ(マチュー・アマルリック)という犯罪者と手を組んで脱獄する。
 大いに首を傾げさせられるのは接見する女弁護士が彼に共感して拳銃を持ち込むこと。弁護士と言えどもチェックはされるはずで、ここに限らず刑務所の管理が余りに杜撰なのが多少なりともサスペンスを減じさせる傾向がある。フランス的と言えばフランス的。

また、第1部でも書いたように必要以上に揺れる画面は益々気に入らない。

その一方で、アルセーヌ・ルパンを生んだ国の伝統か主人公の変装ぶりは楽しめ、犯罪と脱獄に飽きる頃に女性陣とのお色気を出してくる辺り計算がお見事、それをもたれない程度に留めているのは賢い。

お話はもう少し続いて富豪(「かくも長き不在」のジョルジュ・ウィルソンですぞ!)を誘拐して得た大金でにわかテロリストに変身したり、警察の犬らしいジャーナリストを殺害したりした後第1部の冒頭に戻ってなかなか強烈なサスペンス場面を繰り広げる。

不満も多いが、実録犯罪映画として日本の「仁義なき戦い」と同じくらいの面白さはあるのではないか。

「民衆の敵」と言えばジェームス・キャグニーでしょう。僕も古いなあ。

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ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 ...続きを見る
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ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 2 ...
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LOVE Cinemas 調布
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ジャック・メスリーヌ/パブリック・エネミーNo.1 Part.2
2008年 フランス 134分 監督:ジャン=フランソワ・リシェ 出演:ヴァンサン・カッセル リュディヴィーヌ・サニエ マチュー・アマルリック オリヴィエ・グルメ ジェラール・ランヴァン  フランスなどで大暴れし、民衆(社会)の敵No.1と呼ばれた実在の犯罪者J・メスリーヌの後半生を描く、力の入った前後編の後編。Part.1で起こしたある事件のため、ヨーロッパを追われたメスリーヌ(本人はメリーヌと発音した)はカナダに逃亡するが、そこでも犯罪に手を染め……。1度脱獄し... ...続きを見る
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フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)bPと呼ばれた男 犯罪者は成功者じゃない、だから安らかな死はない  1973年。フランスに舞い戻ったメスリーヌは、銀行強盗を繰り返し逮捕される。しかし、またしても脱走に成功し、フランスでも“社会の敵No.1”と呼ばれるようになる。  そんなある日、メスリーヌ追跡に執念を燃やすブルサール警視によってついに隠れ家を急襲され再び逮捕される。法廷で懲役20年を言い渡され、収監されたメスリーヌは、刑務所の中でフランソワ・ベスという男と知り合い、2人で最... ...続きを見る
CINECHANが観た映画について
2010/11/21 01:18

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
パート1に続いてパート2に参りました。
>不満も多いが、実録犯罪映画として日本の「仁義なき戦い」と同じくらいの面白さはあるのではないか。
ヴァンサン・カッセル堪能で見ておりましたので、内容的には些かの不満はあるというものの、面白かったです。最近のフランス映画には珍しい「仁義なき戦い」ばりの映画でしたよね。
もうハリウッド版ジョニー・デップの「パブリック・エネミーズ」も放映されますね。私は観ないけど(笑)P様のレビュー楽しみにしております。
しかし2代目俳優でもあるヴァンサン・カッセル。軟弱な役から、誠実な役から、凶暴な役まで、父親とは違うキャラクターと個性で独自の道を歩いてますねぇ。日本で言えば三國連太郎と佐藤浩市でしょうか。佐藤浩市もヴァンサン・カッセルほどの活躍の場が…と思います。
シュエット
2010/11/10 17:13
シュエットさん

>最近のフランス映画には珍しい
リュック・ベッソンが脚本と製作に回ってからの犯罪映画は、それまでのフランス映画とは違って華美だけど賑やかなだけの作品が増えてきましたが、一部の監督には良い意味で古い体質が残っているようで、こういうのもたまに観られますね。
ストレートな面白さではハリウッドに譲るもののムードや味わいでは勝るのがフランス犯罪映画なのですから、それを生かさない手はないのですがねえ。

>ジョニー・デップ
勿論観ますよ^^
観た人は圧倒的にこちらが多いですが、映画ブロガーの評価は今一つらしい。

>2代目俳優
目付きが父親のジャン=ピエールに似ていますね。
父親は国際的な大俳優でしたが、息子も大活躍中。
仰る通り三國連太郎と佐藤浩市父子との関係に非常に近いですね。息子(佐藤浩市)の方は現在3番手くらいの手応えのある役が多いですが、父親のような主役での決定的な名作が欠けているでしょうか。
オカピー
2010/11/11 11:24
>「民衆の敵」と言えばジェームス・キャグニーでしょう。僕も古いなあ
「パブリック・エネミーズ」特集でジェームズ・ギャグニーさんの「白熱」が26日に放映されますね。私はアルトマンの「ボウイ&キーチ」が久々に見れるんで
嬉しい。銃弾蜂の巣状態は「俺達に明日はない」のシーンと重なるけど、この作品が好きなんです。 キース・キャラダインとシェリー・デュヴァルの二人がとっても初々しくって。
シュエット
2010/11/12 15:49
シュエットさん、こんばんは。

>「白熱」
20年くらい前にキャグニーの犯罪映画は「白熱」を含め大体観ましたが、今回はハイビジョン放映ですし、また保存版を作らねばならないようです。
「血まみれギャングママ」と「犯罪王デリンジャー」も楽しみ。

>「ボウイ&キーチ」
この頃のオルトマンは群像劇に拘っていなかったですね。「ロング・グッドバイ」も作っているし。
これも保存版だろうなあ^^;
キースの兄貴デーヴィッドが主演した「明日に処刑を…」も割合好きです。
オカピー
2010/11/13 00:15

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