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zoom RSS 映画評「ジャン・ルノワールの小間使の日記」

<<   作成日時 : 2010/10/13 16:09   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
1946年アメリカ映画 監督ジャン・ルノワール
ネタバレあり

オクターヴ・ミルボーの小説「小間使いの日記」は1963年にルイス・ブニュエルが映像化、上流階級をシニカルに捉えた秀作になっていたが、こちらはジャン・ルノワールが亡命していたアメリカで映画化した日本未公開作品。WOWOWによる今回の放映が本邦初紹介である。

19世紀末くらい、パリ娘のセレスティーヌ(ポーレット・ゴダード)が不器量のローズ(フローレンス・ベイツ)と共にノルマンディーの旧家のメイドに雇われる。家には細君(ジュディス・アンダースン)の尻に敷かれっぱなしの主人(レジナルド・オーウェン)、威張りくさった品性卑しい執事ジョゼフ(フランシス・レデラー)などがいるが、主人は隣人の退役軍人(バージェス・メレディス)と犬猿の仲で始終悶着を起している。
 この辺りはルノワールらしいどんちゃん騒ぎが楽しく、ゆったりとなめるカメラが快いが、一家の病弱なマザコン息子ジョルジュ(ハード・ハットフィールド)が家に舞い戻ってからハリウッド調の甘いお話になってしまう。

ハリウッドのシステム下ではフランス時代のように自分の思うままに作れない為、後半の内容はルノワールには不本意であっただろう。とりあえずお話の続きをば。

セレスティーヌはジョルジュと愛し合うようになるが、母親の強圧に抗しきれない様子にパリに戻ろうとする。事情を知ったジョゼフは自分も退職するから暫く待てと彼女を引き留め、女主人には息子を押しとどめる工作をする代りに銀食器を寄こせと脅迫、それを馬車に載せ、祭に繰り出したセレスティーヌを誘おうとするが、余りの傍若無人ぶりに暴走した町民に殴り殺されてしまう。彼女とジョルジュはパリへの列車に乗って、めでたしめでたし。

メロドラマらしく一通り綺麗にまとめられた終幕にはなっているものの、前半のドタバタとの整合性が全くなく二つの作品を観るような印象が生まれて感心できず、最初からメロドラマ風に作っていればもっと評価できる作品になった筈だ。ドタバタの中に貴族階級の黄昏や没落ぶりが浮かび上がる凄味があったフランス時代の傑作「ゲームの規則」と共通する要素を持ちながら、気の毒過ぎて比較する気にならない。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
あっ、そうか! 「小間使いの日記」はルイス・ブニュエルだったんだ!
「ジャン・ルノワールの」の言葉を見過ごしてしまっていたわ! いいかって見るのをスルーしたけど、ルノワールも作ったんですね。ちょっと観たかったけど…でもジャンヌ・モローの印象が強烈なので、他の女優を持ってきてもかすむでしょうね。そこへきてハリウッドの商業路線を前面に出して来られたら…。
ここんとこ、P様のレビューと得点を観ていると、ちょっと前の公開作品も放映されていて、観にいってないのばかり。点数見てやっぱりなって思う。お疲れ様でございます。韓国映画「母なる証明」も放映され出しましたよね。これは久々に手応えどんの作品だと思いますよ。
本当に最近は劇場に行かなくなった。今週末にまたまた韓国映画で期待できそうな「冬の小鳥」が大阪でも公開。こんな社会情勢の厳しさ、抑圧の強さから来るハングリー感が映画の質と密接に関係しているような。
TBできる作品待ってま〜す。
シュエット
2010/10/19 09:32
シュエットさん、こんばんは。

>スルーした
ルノワールらしい批判的な人間観察は前半だけで、後半はメロドラマと言って良い作り方なので、スルーで良いと思いますよ。
僕としては色々な意味で観ないといけないわけですが(笑)。

>点数観て
それでもかなり甘くしているんですよ。
つまらないか完成度が低いかデタラメかでうんざりしていますが、逆にちょっとしたことでサーヴィスしてしまう。昔の映画を観る時の厳しさで採点をするとあんなものでは済まないです(笑)。

>「母なる証明」
新作邦画が連ちゃんで外れていますので期待しちょります。
ハリウッド大作も碌なものがない。
韓国映画の水準は大したことはないと思います(論より証拠で一般的な映画では観客が入らない若しくは話題にもならない)が、優れた映画の馬力は日本映画の全盛期のような感じで、現在の邦画では太刀打ちできませんね。

>TBできる作品
どうも消極的なもので・・・
ご覧になっていない作品の場合はコメント歓迎です。
最近のコメント欄をご覧になってくださいよ。
寂しい【0の行進】です。TT
オカピー
2010/10/20 00:28

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