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zoom RSS 映画評「サガン −悲しみよ こんにちは−」

<<   作成日時 : 2010/07/04 15:13   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2008年フランス映画 監督ディアーヌ・キュリス
ネタバレあり

僕が本格的に小説を読み始め映画を観始めた1970年代初めフランソワーズ・サガンは我が邦でも大人気だったが、未だに彼女の作品を読んでいない。「悲しみよこんにちは」「ある微笑」「さよならをもう一度(ブラームスはお好き)」「別離(熱い恋)」の映画版を観ているだけである。

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1954年18歳の時に発表した「悲しみよこんにちは」がセンセーションを呼んで時代の寵児になったサガン(シルヴィー・テスチュー)は舞い込んできた莫大な財産を賭博や取り巻き連中との豪遊で使い果たし、新作に対する兄の酷評にショックを受けて交通事故を起こし、その治療で痛み止めとして使ったモルヒネの常習性に悩んでコカインに手を出し、二度の結婚に失敗して一人儲けた息子との信頼関係構築を果たせず、モデル出身の女友達ペギー・ロッシュ(ジャンヌ・バリバール)の死後晩年は病気と孤独に苦しめられる。

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これだけ自滅的で波乱に富んだ人生だから映画としては比較的長いと言えども122分ではどうしても駆け足的になって掘り下げが不足し、結果物足りなさを覚えるのはやむを得ない。フランスで観られた180分バージョンはもう少しじっくり解り易く作られているのだろう。
 二人の夫よりもペギーとの人生をぐっと長く扱うアイデアはサガンの両性愛を強調する目的なのかもしれないが、やはりオリジナルの長さで判断したいものだ。

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その彼女との付き合いの始め、泥酔したサガンが「歩くこともできない」と言いながらペギーに支えられてホテルの廊下を歩くショットは彼女の後半生のアレゴリーになっていて印象的。

その後半生は122分版でもじっくり描かれ、特にペギー亡き後孤独に苛まれる一連の場面にはしんみりさせられる。「『悲しみよ こんにちは』は世界の事件だったが、(中略)その死は彼女だけの事件だった」が彼女自身が考えた墓碑銘とは、余りに悲しい。

平凡でも“のんきな父さん”で居られる僕の方が幸せだなあ。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
サガンー悲しみよ こんにちはー
18歳で鮮烈なデビューを果たし、数々のスキャンダルに彩られた伝説的な作家フランソア・サガン。その愛と孤独とはーーーー。 「ノウイング」の前に、京都シネマにて鑑賞しました。「ディア・ドクター」は連日満員状態です。京都ではミニシアターのみの上映ということで、なかなか鑑賞できず・・・。その前に17日で終了になる、「サガンー悲しみよ こんにちはー」を鑑賞してきました。 サガン世代じゃない私だけれど、彼女が有名なフランスの作家だということは知っている。でもどんな生い立ちで、どんな人生を歩んできた人なの... ...続きを見る
銅版画制作の日々
2010/07/04 23:51
09-193「サガン −悲しみよ こんにちは−」(フランス)
その死は私だけの事件  デビュー作『悲しみよ こんにちは』が世界的なベストセラーとなり、わずか18歳にして時代の寵児となったサガン。以後、次々と小説を発表する一方、その華麗な交友録で私生活にも注目が集まっていた。あり余るほどの富を手にした彼女は桁外れの金額でギャンブルに興じ、奔放な恋を謳歌する。  そんなある日、スポーツカーを運転していて事故に遭い九死に一生を得たサガン。その後22歳で編集者のギイ・シェレールと結婚するが、それはほどなく失敗に終わってしまう。(「allcinema」より... ...続きを見る
CINECHANの映画感想
2010/07/10 01:51
「サガン〜悲しみよ こんにちは〜」
SAGAN 2008年/フランス/122分/PG-12 at:梅田ガーデンシネマ 監督: ディアーヌ・キュリス 脚本: ディアーヌ・キュリス/マルティーヌ・モリコーニ/クレール・ルマレシャル 撮影: ミシェル・アブラモヴィッチ 出演: シルヴィー・テステュー/ピエール・パルマード/ジャンヌ・バリバール/アリエル・ドンバール/リオネル・アベランスキ/ギョーム・ガリエンヌ/ドゥニ・ポダリデス フランソワーズ・サガン。 18歳で書いた「悲しみよこんにちは」で一躍フランス文学界の寵... ...続きを見る
寄り道カフェ
2010/07/22 09:10
mini review 10486「サガン -悲しみよ こんにちは-」★★★★★★☆☆☆☆
18歳で文壇に華々しいデビューを飾り、生涯を通して自由人であった小説家の人生を追う人間ドラマ。破天荒な言動で世間を騒がせつつも、実は孤独で繊細(せんさい)な彼女の真の姿に迫る。まるでサガンの生き写しのような主人公を演じるのは『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』のシルヴィー・テステュー。その親友を『ランジェ公爵夫人』のジャンヌ・バリバールが演じている。華やかな社交生活の裏に隠された、彼女の人間的魅力のとりこになる作品だ。[もっと詳しく] ...続きを見る
サーカスな日々
2010/09/18 18:09

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
梅雨が明けた途端に、ギラリと真夏の太陽が…お暑うございますが、お元気お過ごしでしょうか。1ヶ月近くのご無沙汰になるかしら。週末ごとに私事以外で用事があると、途端にブログにしわ寄せが。P様の方は恙無く…
でしょうか。ご自愛ください。
さて本作の私めの感想はといいますと…
<サガンを知るには彼女の小説を読むのが一番だと思うし、観終わったあと、なんでこの映画を撮る必要があったのだろうって、やっぱり製作意図がわからない。>となりました。
サガン演じたシルヴィー・テステューは他にも彼女の出演作を何本か観たことあるけれど、なかなかの女優みたい。
サガンは「悲しみよ、こんにちは」を読むのが一番かと思うナァ。
>平凡でも“のんきな父さん”で居られる僕の方が幸せだなあ。
こう暑いと尚更そう思うこの頃でございます(笑)
先日の休みはWOWOW録画していた「バック・トゥ・ザ・ヒューチャー」3作。やっぱ面白いナァと3本ぶっ通して見ておりました。それからBSで「スター・ウォーズ」シリーズ順放映で、今日は最終の「ジェダイの帰還」ダースベイダーg息子ルークによって闇黒面から救い出されジェダイとして葬られる。ドラマよね〜泣けるよね〜と浸ります!(6本ともDVD持ってるから敢えて観んでもいいのにね)エピソード4にあたる一番最初の公開作品がやっぱ一番面白い。インディ・ジョーンズといい、この頃の作品って何度観ても楽しませてくれますねぇ。楽しゅう映画見るのが一番よろしいナァ(笑)
サガンのフランスからアメリカに話が飛んでしまって…
シュエット
2010/07/22 09:27
シュエットさん、お久しぶりです。

>恙無く

実は4月から6月前半くらいまでは、病院へ駆け込むほどではないですが、不調でして、薬が余りに高いのでどうも時々抜いたのが悪いのだろうと、最近は真面目に飲んでおります。
おかげさまでその後は大分良好で、父親の見舞いと看護に勤しむ日々。

>サガン
そうかもしれませんね。
音楽家や美術家に比べると、作家の伝記映画が割合少ないのはご本人が書いたものを読めば大体のところは掴めるからでしょうか。

>BTTFシリーズ
ふーむ、ブルーレイ・レコーダーを買ってから何でも録画したくなって、特にシリーズ物は3倍で録画(通常録画と区別できないほど画質は良いです)して一枚に収めております。但し、ハイビジョン放送でないのは価値が下がるので、今回のBTTFはスキップ。
「インディ・ジョーンズ」シリーズは昨年DVD化したけれど、ブルーレイとは比較にならず、もはや無価値も同然。あらら。
スピルバーグでは「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」抱き合わせで一枚焼きました。こちらもDVDがパー。誰かにあげようっかな。^^

>「スター・ウォーズ」シリーズ
で、当然ブルーレイ待機組です。
こちら雷の大量発生地でありまして、雷雨による受信障害を危惧しておりましたが、五日間は無事に終わりました。今日が無事に録画できればブルーレイ化します。神様、お頼み申します。
また、NHKなので、地震等があると字幕だらけになる危険性もありますが、今のところそんな不都合もないようで、こちらも後一日。頼みます。

そんな風に日々を過ごしております。^^
オカピー
2010/07/22 18:22
ブルーレイ。プレステでブルーレイ見れるんですよね。息子がブルーレイ借りてきて観たけどやっぱり画像がきれいですよね。でも我が家ではVHSがまだある。「風と共に去りぬ」なんて2本組。ソ連版「戦争と平和」なんて5本組だったっけ。VHS再生機も後生大事に持っている。だって、ブルーレイになるのってたいていハリウッド映画でしょ? 古いヨーロッパ映画なんてDVDにもならずVHSだけってのもあるしね。骨董的になりつつある。でもVHSのざらついた不鮮明さって小さいときの映画館のスクリーン観ているみたいでなんか捨てがたいんですよね(とかなんとか口惜しみ?…笑)
>「スター・ウォーズ」シリーズ 当然ブルーレイ待機組です
さっき用心棒さんのブログお邪魔したらエピソード6のサブタイトル「ジェダイの帰還」に拘っていて、彼の中では「ジェダイの復讐」なんだって。許せないのが新シリーズのアナキン役のヘイデンがオビワンとヨーダの横にいる事だって!ブルーレイは当然「ジェダイの帰還」だし、アナキンもいるよね(笑)
でもなんだかんだいってスターウォーズいいよね。「ブレードランナー」なんかもブルーレイだと映像がさらにいいだろうね。
いいおもちゃができたわね。夏の暑さも跳ね除けてP様の今年の夏は録画してせっせとブルーレイにいそしむ日々ですナァ。
私はDVD
シュエット
2010/07/23 15:38
シュエットさん

>スター・ウォーズ
聞いて下さいよ。
神様にお願いしたのに、何と6日目にして雷でおじゃんになってしまいました。うわぁ〜ん。
一応5本をブルーレイ化しましたが、不完全で気持ちが悪い。
ハイビジョンで再放映を頼みますよ、NHKさん。

>VHS
VHSライブラリーは1000本くらいあります。
相当な貴重品もあるでよ。^^

>ブルーレイになるのってたいていハリウッド映画でしょ?
公式版はね。
だから、せっせとハイビジョンで放映された時に作るんですよ、自分で。
来年7月からNHK−BS3はなくなって、NHK−BS1と2がハイビジョンになるので、今まで通りばんばん古い映画をハイビジョンでやって欲しいですが、地上波の代替放映の問題もあるので、そうこちらが願っているように行くかどうか。
保存版はWOWOWがより適しています。ハイビジョンでの本放送の時には地震情報など一切無視しますから。

>「ブレードランナー」
「エイリアン」シリーズ共々これもDVD化したんだよなあ。^^;

>今年の夏
後は雷雨だけに襲われないように願うだけです。
オカピー
2010/07/24 01:46
こんにちは。
あの墓碑はなかなかですね。
日本はほとんど墓碑にその人の何事かを刻む伝統はないですね。
それがまた、民族性なのかもしれません。
kimion20002000
URL
2010/09/19 03:03
kimion20002000さん、こんばんは。

>墓碑
悲しい墓碑銘でもありましたけどね。

キリスト教徒でもない限り墓碑銘というのは聞かないですね。
輪廻転生の考えと関連性でもあるのでしょうか。
オカピー
2010/09/20 00:02

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