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zoom RSS 映画評「禅 ZEN」

<<   作成日時 : 2010/06/20 16:37   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2008年日本映画 監督・高橋伴明
ネタバレあり

高校では世界史クラスに入った僕も、空海、最澄、法然、親鸞、一遍、道元、栄西、日蓮といった日本仏教各宗派の開祖たちの名前は中学時代に懸命に憶えたもの。最近彼らの表した著作等を古いものから読んでいるので、高橋伴明が道元の一生を描いたこの伝記映画を観るのはグッドタイミング・・・と言いたいところだが、残念ながらまだ道元の「正法眼蔵」まで読み進んでいないのであった。

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道元(中村勘太郎)が真の教えを求めて渡った中国(宋)の宗教事情は悪化しており、やっと師と仰ぐべき曹洞宗の天童如浄に巡り合って印加を受け、1228年帰朝し日本で曹洞宗を開く。従来の宗派と異なり現世での幸福を求め、ひたすら無心になって座禅を組む只管打座(しかんたざ)を主教義に、二人の弟子から始め、比叡山の圧力を受けて備前に逃れ後に総本山・永平寺となる寺を開く。

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という道元の僧侶としての人生行路に、彼に救われて遂には帰依する遊女おりん(内田有紀)の物語が加えられている。言うまでもなく、おりんを登場させる目的は抽象的な宗旨・教義を具体的に説明する為つまり内容に解り易さと親しみ易さを与える為である。
 例えば、重病の子供を助けてほしいと懇願する彼女に「身内に死んだ者のいない家から豆を貰えば病気を治すことができる」と助言する挿話がある。人は死を避けられないという方便である。これは本来釈迦にまつわるもので、釈迦は「豆」ではなく「辛子」と言った。原作者(大谷哲夫)と脚本も書いた高橋監督のうちどちらの発案なのか解らないが、おりんはその説話のヒロイン、キサーゴータミーの翻案的人物に違いない。もしそうなら道元を随分持ち上げた感じがしますぞ。

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弊ブログは宗教ではなく映画の良し悪しを判断するところだから、道元の宗旨については問わないものの、鎌倉仏教の開祖らしく極めて庶民的な立場で宗教を考える姿勢には小市民として共感を覚えやすい。

一方、偉人の伝記映画として業績中心に描く正攻法で、人間・道元を見つめようというアングルを付け切れていない為に近年の伝記としては些か物足りなさを覚え、結果的に曹洞宗の宣伝のように感じられるのが余り有り難くない。

懐かしい「知ってるつもり?!」大長編版みたい。

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禅 ZEN/中村勘太郎、内田有紀
公開直前になっての主演俳優の結婚カ?報道は映画宣伝のためのネタな気がしてならないんですけど、以前から観に行こうとは思っていたので予定通り鑑賞デス。 ...続きを見る
カノンな日々
2010/06/20 18:23
禅 ZEN
曹洞宗の開祖・道元の一生を描いた作品。主演は本作が映画初主演となる中村勘太郎、更に道元を支える3人の僧・寂円をテイ龍進、俊了を高良健吾、懐奘を村上淳が演じている。中村勘太郎は言うまでもないが、弟子役3人も地味なれど実力派。 ...続きを見る
LOVE Cinemas 調布
2010/06/20 21:07
『禅 ZEN』
-----あらら、まさか連休中にこの映画を選ぶとは。 これはちょっと意外だニャあ。 「うん。普通だったら後回しにしそうなところだよね。 でもいくつかの偶然が重なって、 この映画にしたんだ」 ----その偶然って? 「ほら。お正月のバス・ミステリーツアー。 その二日目にプログラミングされていたのが 永平寺への初詣だったんだ」 ----あ〜っ。あのフォーンを寒い中、 置いてきぼりにしたときね。 「それは仕方ないじゃない。 さすがにフォーンを高速バスには乗せられないよ。 で、この永平寺というのがビック... ...続きを見る
ラムの大通り
2010/06/22 22:43

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
どんな宗教でも開祖は立派な人間が多いのですが、弟子の時代にもろくも崩れますね。

18日で終了しましたが・・・
五木さんの『親鸞』の上巻が無料で公開されていたんですが読まれましたか?
ねこのひげは、出版社の戦略にはまって下巻を買いそうです。(^^ゞ
ねこのひげ
2010/06/20 18:27
ねこのひげさん、こんばんは。

宗教もそうですし、朝廷や幕府もせいぜい三代目まで、後になるとダメになりますね。

>五木さんの『親鸞』
うちは東京新聞なので、連載中に読みました。ただ、少しずつ読むというのは全体の主題を把握する時に余り芳しくない感じがあります。
親鸞の人間的な苦悩がよく感じられる内容でしたね。

>出版社の戦略
なるほどなるほど。
オカピー
2010/06/21 00:41

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