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zoom RSS 映画評「007は二度死ぬ」

<<   作成日時 : 2010/04/06 14:10   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
1967年イギリス映画 監督ルイス・ギルバート
ネタバレあり

007シリーズ第5作は日本が舞台である。その余りに出鱈目な日本描写の為に日本では賛否両論渦巻く珍品扱いになっているが、冷静に判断すれば前作「サンダーボール作戦」より快テンポで展開、決して馬鹿にしたものでもない。個人的にも、少年時代自動車マニアだった僕はいつものアストン・マーティンの代りにトヨタ2000GTが見られるだけで嬉しかったりする。

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米ソの有人衛星が何者かにより奪われ、どうもその隠し場所が日本にあるらしいという情報を掴んだ我らが007(ショーン・コネリー)が早速日本へ飛んで、丹波哲郎が指揮をする秘密機関の絶大なる協力を得て“大里”なる怪しげな企業や貨物船を調べるうちに、ある海浜地帯が浮かび上がった為に地元の若い海女・浜美枝と偽装結婚し、カルデラの地下に作られていた拠点に侵入、丹波の部下である忍者部隊と共に敵即ちスペクター一味に立ち向かう。

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日本の出鱈目な描写については国辱などと思わずに英米人の知識の程度を笑ってしまえば却って面白く観られる。パラレルワールドだからと許されてしまう「ローレライ」における長髪の軍人の方が余程出鱈目で、あんな長髪の軍人が認められる国民性ならそもそも戦争になっていないと思うのである。

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さて、1960年代他のスパイ映画が冷戦をストレートにテーマにすることが多かったのに対し、スパイ・アクションの御本家たる007が意外にも最初からテロをテーマにしていたというのは興味深い現象で、「サンダーボール作戦」でも本作でも冷戦が好きなようにスペクターに利用されている。その結果段々規模が大きくなって本作では遂に地球の外にまで出るSF的趣向になっているのがお楽しみで、そんな壮大な物語に時代錯誤的な忍者が出て来るという途轍もないギャップをゲラゲラ笑いながら見るのが一番。

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まだイアン・フレミングの原作に基づいているが、脚色が「ヒッチコック劇場」に優れたお話を提供した短編ミステリーの名手ロアルド・ダールというのも注目したいところ。ルイス・ギルバートが監督として選ばれたのは1959年に「香港定期船」という不出来なアジアものを作ったことと戦争アクションに実績があったからだろうが、意外や小回りの利いた演出で見とおし良好、後年「私を愛したスパイ」という傑作を作ることになる。

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以前は浜美枝が可愛いと思って殆ど無視していた若林映子(あきこ)もなかなかお綺麗で、途中で毒殺されてしまうのがお気の毒(あの殺し方は江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」に似たアイデアだから、フレミング氏若しくはダール氏が拝借したのかもしれない)。スペクター側の美女はカリン・ドールで、2年後のアルフレッド・ヒッチコック「トパーズ」同様これまた無残に殺されてしまう。

日本語で「二度しか生きない」「二度生きる」では締まらないので「二度死ぬ」という邦題にしたのでしょう。

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「007は二度死ぬ」
4作目の「サンダーボール作戦」が、いまいち面白く感じなかったので、どうなるかと思ったら、これは面白かった。 ...続きを見る
或る日の出来事
2010/06/23 06:39

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
故ジョン・F・ケネディ大統領が、原作者のイアン・フレミングにあったとき「007ジェームス・ボンドのファンです。次の作品を楽しみにしてますよ。」と言ったら、イアン・フレミングが「わたしのくだらない作品を読むヒマがあったら政治に専念してくれ!」と怒ったとか・・・・・いう逸話を聞いたことがあります。(^^ゞ
ねこのひげ
2010/04/06 18:29
ねこのひげさん、こんばんは。

さすがのケネディ大統領も形無しですね。^^
お世辞も相手を選びましょうか?(笑)
オカピー
2010/04/07 01:47
まさに! 「サンダーボール作戦」が、たいして面白くなかった私ですが、本作は楽しめました。
若林映子さん、きれいですよ〜。あきこさん、と名前を覚えるのが大変そうですが。(関係ない?)
ギルバート監督、アジアものを撮っていたんですね。ふむふむ。
ボー
URL
2010/06/23 22:40
ボーさん、こんばんは。

「サンダーボール作戦」は要素は揃いながらも鈍重なんですね。
そこへ行くと、こちらは珍奇さが手伝って小気味よく展開、非常に面白い。
結果的に採点は同じにしましたが、厳密に言えばやはり違う。

>若林映子さん
ふーむ、なかなかでしたね。
この間にTVがハイビジョンになった効果があるみたいですなあ。(笑)
オカピー
2010/06/24 00:56

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