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zoom RSS 映画評「少年と砂漠のカフェ」

<<   作成日時 : 2010/04/29 16:15   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2001年イラン映画 監督アボルファズル・ジャリリ
ネタバレあり

アボルファズル・ジャリリは高く評価されていると聞くが、どうも感心しない。

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アフガン少年キャイン(キャイン・アリザデ)が道路沿いにあるカフェを経営するイランの老人ハン(ラーモトラー・エブラヒミ)に住み込みで雇われる。アフガンからの不法移民を取り締まる警官(アハマド・マハダヴィ)が頻繁にカフェを訪れ、一度は捕えるが、ハンの妻のごり押しに少年を釈放せざるを得ない。やがて新しい道路ができて、カフェに繋がる道路を封鎖することになった為、主人の指示により新道路に鋲を撒く。

日本で公開されたこの監督の一番新しい作品「ハーフェズ ペルシャの詩」は作り方もさることながら背景が解らない為にチンプンカンプンに終ったが、本作も段階を踏んで説明をしていくという商業映画では常識的な手法を全く取っていない為に解らないところが多すぎる。例えば、次の如し。

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少年が運賃を払うことができず「ハンが来るまで待ってくれ」と言う。結局ハンを待たずに何とか交渉は終わる。通常の映画なら次の場面でハンが登場して少年と話しをすることで、人物関係が説明されることになるが、本作でハンが本格的に登場するのは幾つかのシーンを挟んで不法移民を調べに来た警官に応える場面で、しかも彼が誰であるか説明されない。頭を働かせればその男がハンであると解るものの、もう少し何とかならないものか。

今度は少年が老婆を病院に連れて行く。しかし、この老婆はそれ以前に少年と一緒にいる情景がないものだから誰なのか全く解らず、後の話からハンの妻であることが判る。

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といった具合に人物関係の把握も後手後手に回る。説明を最小限にして行間を読ませるのは良い映画になる条件の一つではあるが、何から何まで推理しないと話が解らないようでは困る。
 タイトルに使われている【砂漠のカフェ】にしても一向にカフェらしい描写がない。近くでエンジンが故障したり、ガス欠を起した人を助けるのが仕事みたいでござる。

子供を守ろうという視線に立脚した反戦的モチーフがあることは前後の脈絡もなく不意にインサートされる周辺の描写や少年の話から十分伺え、反体制的なムードも感じられなくはないが、フィルムの繋ぎ方がこう無手勝流では多数の鑑賞者に感慨を催させることは難しい。少年が文字通り東奔西走しているショットしか印象に残らない、と言っても大げさにあらず。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
海外の映画にはこういうことがありますね。
評判を呼んでいる映画だというので、見に行ったら・・・・
頭にきて、途中で帰ってしまってタイトルも忘れましたが・・・・
デンマークかスウェーデンの実験的映画とかいう前評判の高い作品だったんですが・・・
シロウトに毛がはえた程度の作品で・・・
ガッカリ(ーー;)
ねこのひげ
2010/04/30 04:28
これは映画情報も全く知らず、邦画タイトルで、なんか「バクダッド・カフェ」のイラン版&少年版? ってともかく録画してあって、まだ観ていない。
>「ハーフェズ ペルシャの詩」
この監督の作品なんだ〜。こっちはムード先行の中味がついてこん…印象があって観なかった映画だし、いまもって別に観なくて地団駄踏むという映画でもなさそう。
最近は、公開映画が、見てくれよくって栄養価の少ない最近の野菜と同様みたいで、だからでしょうかねぇ、血湧き肉踊るような骨太映画とかあたりみないとすっきりしないのでお家シネマでも過去作品のそんなのとか、クラシカルな作品の行間に感情が込められた作品とか観てる。でないとこっちの栄養も損なわれそうで(笑)
シュエット
2010/04/30 11:18
わかりやすい映画はつまらないと思うのですが、
推理しないとだめなくらいまったくわからないのはもっと嫌ですね。
佐川和代
URL
2010/04/30 12:41
ねこのひげさん、こんばんは。

>デンマークかスウェーデンの実験的映画とかいう
ドグマ95の作品かなあ?

>シロウトに毛がはえた程度の作品で・・
本作のようなフィルムの繋ぎを大衆映画でやったら二度と作らせてもらえなくなるでしょうね。
それが監督のスタイルだからと言って許すから変な映画が増えていくんですよ。内容が難解なのと、作り方がまずくと訳が解らないのは区別しないとねえ。
オカピー
2010/04/30 21:50
シュエットさん、こんばんは。

最近はセミ・ドキュメンタリー方式で作ると、【芸術的】と高評価される傾向がありますが、大体が長回しだったり即興演出だったりして、こんなものを誉める必要があるのかい、てな作品が多いです。
ジャリリ監督はドキュ・ドラマなどと言われているようですが、要はセミ・ドキュメンタリーの言い換えで、ぼかあ、金を取ってこういうのを見せてはいけないと思うなあ。
オカピー
2010/04/30 22:03
佐川和代様、こんばんは。

その通りですね。
全く頭を使わせない映画はつまらないですが、
内容ではなく作り方が悪くて頭をフル活動させなければならない映画は困っちゃいますね。
オカピー
2010/04/30 22:06

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