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zoom RSS 映画評「スラムドッグ$ミリオネア」

<<   作成日時 : 2010/03/14 14:59   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 16 / コメント 10

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2008年イギリス映画 監督ダニー・ボイル
ネタバレあり

好きで良く見ていた「クイズ$ミリオネア」。250万円(第12問)くらいまではほぼ常識問題で大体正解したが、さすがに500万円以降の三問では知識として知っていたのはさほどなかった。それでも推理で1000万円(最終第15問)まで当てたことは何度もある。視聴率稼ぎの為に回答者が芸能人オンリーになった時「先はないな」と思ったところ案の定半年で放送が打ち切りになった。そもそもオリジナルは英国の人気番組で、今回観たインド版も音楽が日本のものと同じなので、コンセプト全体で放映権を売っていることが判ったのが収獲。

という次第で、番組のムードを完全に知っていたことが本作が大いに楽しめた理由の一つと言って間違いないだろう。

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インド、スラム出身なのに「クイズ$ミリオネア」に出演して次々と正解を出した為にインチキの疑惑をもたれて警察の尋問を受けることになった若者ジャマール(デーヴ・パテル)が、何故正解を出せたのか各問題と関連の深い少年時代からの経験を語ることになり、その回想が場面になって展開していく。以下の如し。
 イスラム教迫害の中で母親を失った経験に始まり、その時知り合った少女ラティカや兄サリームと逃避行を続けるうちに、子供を使ってあくどい金を稼ぐグループに捕まってひどい目に遭い、命からがら逃げ出す。が、兄がラティカを放り出してしまったことから、ジャマールのラティカへの淡い恋慕は綿々と続くことになる。

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インドの宗教対立や階層による差別を背景にちらつかせながらメインに扱われるのは実に古典的な純愛ドラマで、兄(マドゥル・ミッタル)が最後の問題に挑戦する弟のもとにボスに囲われているラティカ(フリーダ・ピント)を送り出した後の壮絶な働きとその弟が正解を出せるのかというサスペンスがオーソドックスなカットバックで展開する辺り1930年代のうまいハリウッド映画を観ているようである。幕切れこそ違え、クイズ版「ロッキー」みたいなもので、ご機嫌になった。序盤の「三銃士」授業風景と合せる為に最後の問題が簡単すぎる結果になったのはご愛嬌と言うべし。

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他方、僕の趣味としてはもっと落ち着いて撮った方が良いのだが・・・と思われる部分があるものの、全体的にバランスが取れているので無理に変える必要を覚える程でもない。エンディング・クレジットの部分はインドのマサラ映画風であると同時に、イギリス製ミュージカル「ジョアンナ」(1968年)の幕切れを参考にした感じもする。

気取らず大衆映画として見せようとした方向性が宜しく、実にウェルメイド。

アカデミー会員のファイナル・アンサーは【作品賞受賞】でした。めでたしめでたし。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
スラムドッグ$ミリオネア
人生,それすなわち,ネバーギブアップ!   ...続きを見る
Akira's VOICE
2010/03/14 15:13
09-125「スラムドッグ$ミリオネア」(イギリス)
その答えは運命が知っている  インドの国民的人気番組“クイズ$ミリオネア”。この日、ムンバイ出身の青年ジャマールが、次々と難問をクリアし、ついにいまだかつて誰も辿り着けなかった残り1問までやって来た。  ところが、1日目の収録が終わりスタジオを後にしようとしたジャマールは、イカサマの容疑で警察に逮捕されてしまう。スラム育ちの孤児でまともな教育を受けたこともないジャマールがクイズを勝ち抜けるわけがないと決めつけ、執拗な尋問と拷問を繰り返す警察。  ジャマールは自らの無実を証明するため、... ...続きを見る
CINECHANの映画感想
2010/03/14 15:38
スラムドッグ$ミリオネア
運じゃなく、運命だった。 製作年度 2008年 製作国 イギリス/アメリカ 上映時間 120分 映倫 PG-12 原作 ヴィカス・スワラップ 『ぼくと1ルピーの神様』(ランダムハウス講談社刊) 監督 ダニー・ボイル 音楽 A・R・ラーマン 出演 デヴ・パテル/マドゥル・ミッタル/フリーダ・ピント/アニル・カプール/イルファン・カーン/アーユッシュ・マヘーシュ・ケーデカール/アズルディン・モハメド・イスマイル/ルビーナ・アリ {/book_mov/}テレビ番組「クイズ$ミリオネア」に出演し... ...続きを見る
to Heart
2010/03/14 16:01
『スラムドッグ$ミリオネア』 ('09初鑑賞52・劇場)
☆☆☆☆☆ (5段階評価で 5) 4月30日(木) TOHOシネマズ西宮OS スクリーン9にて 15:00の回を鑑賞。 ...続きを見る
みはいる・BのB
2010/03/14 16:06
『スラムドッグ$ミリオネア』
(原題:Slumdog Millionair) ...続きを見る
ラムの大通り
2010/03/14 16:35
「スラムドッグ$ミリオネア」
夢のような物語・・躍動感がありました ...続きを見る
心の栄養♪映画と英語のジョーク
2010/03/14 20:23
スラムドッグ$ミリオネア/デヴ・パテル
この映画の事を知っただいぶ前から観るのをスゴク楽しみにしていたんですが、世間的にはアカデミー賞受賞でかなり話題作になっちゃいましたね。映画鑑賞前の情報入手はほどほどにしておきたいんのに、おかげでTV番組で紹介されることも多くってネタバレ避けるのに苦労しちゃ.... ...続きを見る
カノンな日々
2010/03/14 21:19
ファイナルダンサー!〜『スラムドッグ$ミリオネア』
 SLUMDOG MILLIONAIRE ...続きを見る
真紅のthinkingdays
2010/03/14 21:33
スラムドッグ$ミリオネア☆★SLUMDOG MILLIONAIRE
  運じゃなく、運命だった。 4月20日、MOVX京都にて鑑賞。待ち焦がれていた本作「スラムドッグ$ミリオネア」をようやく鑑賞しました。 第81回アカデミー賞最多8部門受賞という驚異的な受賞とあって、MOVX京都も大勢のお客さんでした。しかも、MOVXディということで1000円、これは見逃せない絶好のチャンス。前売りチケットが1500円だったので購入せず、この日を狙っていましたよ! これだけの受賞がなければ、シネコンでの上映もなかったでしょう。名前の知られているキャストは出演していません。... ...続きを見る
銅版画制作の日々
2010/03/14 23:47
mini review 09412「スラムドッグ$ミリオネア」★★★★★★★★☆☆
『トレインスポッティング』『28週後…』など多彩なジャンルで観客を魅了する、鬼才ダニー・ボイルの最高傑作といわれる感動的なヒューマン・ドラマ。インドを舞台に、テレビのクイズ番組に出演して注目を集めたある少年が、たどってきた生い立ちと運命の恋をボリウッド風の持ち味を生かしながらつづっていく。主演はこの作品でデビューし、数々の映画賞を受賞したデヴ・パテル。底知れないパワーと生命力を感じさせる人間讃歌に息をのむ。[もっと詳しく] ...続きを見る
サーカスな日々
2010/03/15 00:54
『スラムドッグ$ミリオネア』
今年のアカデミー賞で演技部門以外の賞を総なめにしていた『スラムドッグ$ミリオネア』。惹きこまれる魅力を持っている作品でした。 ...続きを見る
Cinema + Sweets = ∞
2010/03/15 23:09
★「スラムドッグ$ミリオネア」
今週の平日休みはららぽーと横浜で2本。 オスカー8冠の作品を見逃すわけにはいかないでしょう・・・ でも、平日だけどもっと混んでるかと思ったら、そうでもなかったね。 広いスクリーンだったけど、1本目の「マックス・ペイン」と同等の入りかなっ。 ...続きを見る
★☆ひらりん的映画ブログ☆★
2010/03/16 02:31
スラムドッグ$ミリオネア
Slumdog Millionaire (2008年) 監督:ダニー・ボイル&ラヴリーン・タンダン 出演:デヴ・パテル、フリーダ・ピント、マドゥル・ミッタル、アニル・カプール 2008年度アカデミー賞において、作品、監督など計8部門で受賞した作品で、インドのスラム街で孤児として育った学のない青年が、何故、クイズ番組で高額賞金を得ることができたのかを描く。 まず、思ったのは、最後の問題が三銃士って、クイズが優しくないですか? そのレベルだと、それまで医者や弁護士など学識豊かな人でも最終問題に到... ...続きを見る
Movies 1-800
2010/03/21 02:07
「スラムドッグ$ミリオネア」
SLUMDOG MILLIONAIRE 2008年/イギリス・アメリカ/120分/PG-12 at:梅田ガーデンシネマ 監督: ダニー・ボイル 共同監督: ラヴリーン・タンダン 原作: ヴィカス・スワラップ『ぼくと1ルピーの神様』(ランダムハウス講談社刊) 脚本: サイモン・ビューフォイ 撮影: アンソニー・ドッド・マントル 音楽: A・R・ラーマン 出演: デヴ・パテル/マドゥル・ミッタル/フリーダ・ピント/アニル・カプール/イルファン・カーン ...続きを見る
寄り道カフェ
2010/03/26 14:23
「スラムドッグ$ミリオネア」プチレビュー
今年度のアカデミー、作品賞を受賞した作品です。 作品賞になった映画は常にチェックしなくてはと、 使命感に駆られて劇場に足を運びました。 ...続きを見る
気ままな映画生活
2010/03/28 08:42
スラムドッグ$ミリオネア
スラムドッグ$ミリオネア / SLUMDOG MILLIONAIRE ...続きを見る
RISING STEEL
2011/03/10 17:33

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

この映画で『ジョアンナ』を連想された方、
どれくらいいらっしゃるのだろう?
オカピーさんにいただいたコメント、
ほんとうにうれしかったです。
これからもよろしくお願いいたします。
えい
URL
2010/03/14 22:37
こんにちは。
古典的な作劇なんですけどね、とても気持ちよく見ることが出来ますね。脚本も音楽も編集も、うまいなあと感心してしまいました。
kimion20002000
URL
2010/03/15 00:58
えいさん、こんばんは。

>『ジョアンナ』を連想された方
かつての淀川さんや双葉さんのような物凄い記憶を持っているプロの評論家も少なくなったし、まして一般の方では殆どいないのではないでしょうか。
日本ではミュージカルは人気ないですしねえ。
僕もえいさんが『ジョアンナ』と書かれたことに対し、何か書かずにはいられなかったのでした。^^
オカピー
2010/03/15 01:35
kimion20002000さん、こんばんは。

同じ細工でもこういう正統派の細工は良いですね。
問題をギミックとして人生を回想させるという手法・構成が良いです。
一部の批判派は問題が少年の経験に合いすぎている、なんて現実性に捉われた阿呆なことを述べていますが、何年映画観てきたのと言いたいですよ。(笑)
オカピー
2010/03/15 01:42
土埃の逞しきエネルギーと純愛がうまくミックスされて、かつイギリスとマサラ・ムーヴィがドッキングされた独特の雰囲気。
TBしま〜す!
シュエット
2010/03/26 14:22
シュエットさん、こんばんは。

プロの評論家にもブロガーにも、インド人に対する上から目線の映画というご意見の方がいらっしゃいましたけど、僕はそういう観方こそ上から目線で語っている印象を受けます。
僕も上から目線と言われたことがありますが、それは批評というものを何も知らないナンセンス。とにかく、僕は映画を見降ろして語ったことなんかありませんから。

愚痴はともかく大衆映画として大いに気に入った作品です。^^
オカピー
2010/03/26 17:36
TB有難うございました。
予告編から、なぜ教育をまともに受けていない
主人公がクイズの難題をことごとく正解していくのか
興味があり楽しめました。
過酷な運命、そして一途な愛。
そんな映画でしたね。

今度、訪れた際には、
【評価ポイント】〜と
ブログの記事の最後に、☆5つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!
シムウナ
URL
2010/04/04 19:31
シムウナさん、こちらこそ有難うございました。

仰るとおりですね。
クイズ絡みで進行させた発想が抜群でした。
オカピー
2010/04/05 20:01
これもDVDで先日見ました。

主人公のジャマール 育った環境が大変でした。
ミリオネアに出演したのも ラティカと一緒になりたいと想ったのも "生きるため"だった。

 過酷な生活環境がきっかけで のちにミリオネアで出てくる問題を解く答えを知ってゆくジャマール・・・いや むしろその環境がトラウマになったからこそ 脳裏に問題の答えが焼きついて離れないといったほうが正しいでしょう。
 
カンニング疑惑で拷問されても インチキはしてないと訴え続け・・・苦難を乗り越えたジャマールの雑草根性は筋金入りです。
zebra
2014/02/03 12:28
zebraさん、こんにちは。

インドのカースト制というのは根が深いですねえ。
インド映画ではないですが、貧富の差の背景にカースト制がちらつきます。
オカピー
2014/02/03 21:27

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