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zoom RSS 映画評「暴力脱獄」

<<   作成日時 : 2010/01/31 11:23   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
1967年アメリカ映画 監督スチュワート・ローゼンバーグ
ネタバレあり

中学から大学くらいにかけてTVの洋画劇場の吹替えの短縮版で2、3度観てお気に入りだった作品。その後始まった衛星放送で完全版を観たはずだが、はっきりしないのでもう一度観ることにした。奇しくも、主演したポール・ニューマンの誕生日である1月26日だった。

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パーキング・メーターを壊したかどでモーガン・ウッドワードが刑務所長を務める刑務所に二年服役することになったニューマンが、ポーカーでの強気、たまご大食いでジョージ・ケネディーを筆頭とする囚人たちの人気を獲得していく。
 ここからがいよいよ本番で、母親ジョー・ヴァン・フリートの死により意味もなく訪れた懲罰に反骨心が芽生えて試みた脱獄に失敗、それを繰り返す度に足の鎖が増えて行く。
 二度目の脱獄過程は娯楽映画的な趣向に満ちて、トイレに行くと称して結んだ紐で木を揺すって看守をだましたり、犬の嗅覚を誤魔化す為に胡椒を撒く作戦など大変面白く出来ている。

最後は手ひどい暴力に屈したと見せかけ、道路工事中に隙を突いてトラックを奪って逃げるが、一緒についてきたケネディーが捕まった為に逃げ込んだ教会を包囲され、窓辺に出た時にいきなり射殺されてしまう。

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脱獄して自由を得るというテーマは昔から人気の素材で、「ショーシャンクの空に」は圧倒的に高く評価されているし、本作もIMDbのベスト250に入る好評ぶりである。

本作の場合は自由獲得の爽快感より主人公の反骨精神が庶民の共感を得ているのはよく理解できるし、現に少年時代には僕も感動したものの、今回観てみると彼の脱獄への動機が抽象的で解りにくく、かつて感じたほど心に訴えて来ない。規則を押し付ける刑務所即ち社会への反発という理由も勿論あるのだろうが、最後の教会の場面で神に話しかけるように、自分の存在理由を確認したいが為に脱獄を繰り返しているようにも見える。いずれにしても具体的とは言えない。

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そこで少し考えてみたいのは、主人公が50個の卵を見事平らげた後の寝姿(上画像参照)が十字架上のキリストにそっくりなことである。教会で神に話しかけているところみると、主人公を現代の殉教者に見せようという意図が明らかにあって興味深いが、余りに文学的すぎる。
 もう一つ、序盤のたまご食いゲームでは囚人たちが随分好き勝手をやっているように見え、結構自由な刑務所であるという印象を与えかねないのは後半の展開を考えるとちょっとまずい。卵⇒膨らんだ腹=母なる存在・・・と関連づけようとした高尚な意図は認められるものの、作劇的にちょっと首を傾げる部分だ。

といった具合に以前感じたほど馬力が感じられない結果となったが、寓意を多分に配した作劇を含めて若者を中心に受けそうな印象は依然強い。

ジョー・ヴァン・フリートとニューマンの親子という配役を見ると「エデンの東」後日談のようでもあります。

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
えー、この映画、TVで再放映していたんですか?!
見逃してしまいました・・・ 涙
ポール・ニューマンの作品の中でも1番か2番に好きで、わたし的には8点ですが、オカピーさんの今回のレビューを拝見していたら、ちょっと自信が無くなってきました。
今観たら、もしかしたら、10代とか20代で観た時とは違う印象を受けるのかなぁと。

でも大学生の頃は、この映画での反骨精神溢れるポール・ニューマンや、「大脱走」のスティーヴ・マックィーン、「華麗なるヒコーキ野郎」のロバート・レッドフォードが自分的”3大反骨ヒーロー”像で憧れました。
ぜんぜん、自分の世代と合っていないんですが 笑
キミ、いつの時代のヒトなの?ってよくツッコミが入ったり。
当時、同世代の女の子達にはブラピやトム・クルーズが人気全盛期でしたので!
RAY
URL
2010/01/31 17:37
純粋の映画貴ブログ様ですのに
「ゆで卵をおいしく〜〜」記事を
ズーズーしくも持参するのは私くらいの
ものでしょうが、本作のゆで卵シーンは
ニューマンのファンでなくとも映画好きで
あれば必ず彷彿とする場面ですよね。

拙ブログにはコメントけっこうでございますよ。^^

ネル・ポッツさんの画像、
さっそく使わせていただきました。
ありがとうございました。
vivajiji
URL
2010/01/31 19:55
RAYさん、こんばんは。

僕もご贔屓にしていた作品なんですが、思っていたより辛気臭いし、動機の曖昧さが結構気になっちゃいましたよ。
それでも力強い作品とは思いますが、ちょっと減点。

>「大脱走」「華麗なるヒコーキ野郎」
なるほど、なるほど。
どちらも大好きな映画です。
「大脱走」は有名なので改めて言うまでもない傑作(既にUP済み)ですが、「華麗なるヒコーキ野郎」は愛すべき快作でして、これはいつか取り上げないといけない作品ですねえ。
これがお好きとは、お若いのにやりますね、RAYさん。
オカピー
2010/02/01 00:43
vivajijiさん、こんばんは。

>「ゆで卵をおいしく〜〜」記事
結論は、“鉄は熱いうちに打て”ならで
“ゆで卵は熱いうちに剥け”ということですね。
勉強になりました。^^)v

>ゆで卵
母親の寓意だったのは今回初めて気付きましたが、
作劇としては疑問でした。
それも今回初めて。
オカピー
2010/02/01 00:56
洋画劇場などでも何回か見ていたなって記憶にあるし、BSでも何度か続けて放映されていましたよね。
Rayさんへのコメントにあったように、今見ると私も「思っていたより辛気臭いし、動機の曖昧さが結構気になっちゃいましたよ。」という感想でしたね。67年という時代を受けてでしょうかしら。動機よりもむしろ脱獄することに意義があるってところでしょうか。そうなると「大脱走」のマックィーンのとにかく脱獄するんだっていうシンプルさがいいなぁ。私の中では「ハスラー」や「スティング」もいいけど「明日に向かって撃て!」の飄々としたニューマンが大好きだし、最後のあのショットが最高だわ。
それと「ロード・トゥ・パーディション」でマフィアの親分を演じたポール・ニューマンが渋くてネェ。これはP様は映画評あげてられますか?
シュエット
2010/02/02 13:09
追記。
それから、今回みていてあまりいいなって思えなかったのは、筋肉ムキムキの絵柄ってあんまし好きではないのもあるかも(笑)。
シュエット
2010/02/02 13:11
シュエットさん、こんばんは。

反骨精神が高い評価の理由の一つであることは間違いないですが、脱獄の為の脱獄になっている気がしますね。作者(原作・脚本・監督)がキリスト若しくその他の殉教者に模そうというモチーフが強すぎます。
「大脱走」は徹底して純粋ですよ。

>最後のあのショット
ストップ・モーションが決まっていましたね。

>「ロード・トゥ・パーディション」
メモの転載の形・・・
きちんと作っていることを認めつつ、ちょっと批判しているような・・・
ニューマンについても全然触れていない・・・
という具合なので。(笑)
オカピー
2010/02/03 00:17

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