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zoom RSS 映画評「その男ヴァン・ダム」

<<   作成日時 : 2009/12/07 10:15   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2008年ベルギー=ルクセンブルク=フランス映画 監督マブルーク・エル・メクリ
ネタバレあり

1990年代初頭「サイボーグ」でお目見えして以来ジャン=クロード・ヴァン・ダムの日本劇場公開作は殆ど観てきた。90年代以降スティーヴン・シーガルと共にB級アクションを引っ張ってきたヴァン・ダム氏も寄る年波でさすがにアクションの切れにも人気にも陰りが見られるわけだが、それを逆手にとって作ったのが本作で、皮肉にも今までの作品の中で一番面白い。

映画スターとして鳴かず飛ばずとなったヴァン・ダム(本人)がベルギーの故郷に舞い戻り、離婚した妻との間で親権を巡る裁判を担当する顧問弁護士に送金する為に立ち寄った郵便局で強盗事件に巻き込まれるが、外からはヴァン・ダムの犯行と誤解される。

外部、続いて内部という違った角度から同じ場面が二度繰り返されるという序盤の趣向はもはや珍しいものではないし、内田けんじの「運命じゃない人」のような細工もないので文字通り同じ場面がリピートされる感じがして決して褒められる出来ではないが、割合手際は良いし、芸術志向とは縁もないと思っていたヴァン・ダム主演の映画で見られるという意外性もあってそれなりに楽しく見られる。

内部では三人の犯人が人質を取っているのだが、中の一人がヴァン・ダムの大ファンだった為にアクションを披露することになる場面や、ライバルのシーガルに役を取られた云々などと語られる自虐的な楽屋落ちネタがあって、アクション映画好きなら楽しめる内容と言えそうだ。

ただの楽屋落ちに留まらず、ハイ・ポジション気味のカメラが突然下がってやや仰角に捉えたヴァン・ダムが映画スターとしては落ちぶれ私生活では家族の愛情も引き留められない心情を吐露する、ユーモアとペーソスが上手く配合された長回しや「映画ならああなる場面が実際にはこうなる」という終盤の演出がメタフィクション的で益々面白い。

惜しむらくはラストが余りに凡庸。いっそのこと、フランソワ・トリュフォーの「終電車」のようにカメラを引いていくと撮影所(舞台)だったと判明する洒落た幕切れにでもすれば傑作と言いたい気分にもなっただろう。

次の作品は「ヴァン・ダム、ばんざい!」というタイトルにしましょう。

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2009/12/07 10:56
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2009/12/07 15:11
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09-09「その男ヴァン・ダム」(ベルギー・ルクセンブルク・フランス)
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
こんな映画に出演したからには、もう俳優業引退か、アクション封印か、いずれにせよ、ハリウッドとは、おさらばしたのかと思っていましたが、次回作は「ユニバーサル・ソルジャー3」というのが、面白いです。
hash
URL
2009/12/08 00:43
hashさん、こんばんは。

あくまで実生活のパロディーだったのでしょう。
ウッディー・アレンは、コミカルな私小説(自画像)で、そこが違うわけですね。
オカピー
2009/12/08 01:17

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