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zoom RSS 映画評「死者にかかってきた電話」

<<   作成日時 : 2009/11/18 14:55   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
1966年イギリス映画 監督シドニー・ルメット
ネタバレあり

ジョン・ル・カレのスパイ小説第1作をシドニー・ルメットが映像化したスパイもので、配役陣の面白い顔触れにも拘らず日本では劇場未公開に終っている。

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外務省職員の共産主義疑惑を調査した諜報部員ジェームズ・メースンは翌朝その相手が自殺したと聞かされショックを受ける。疑惑は解け、死ぬ理由がないからである。
 早速未亡人のシモーヌ・シニョレを訪問して聞き込みをしている最中に亡き夫君にモーニング・コールが掛かってくる。協力を仰ぐことになった刑事上がりの探偵ハリー・アンドリューズの調べで呼び出しを依頼したのが本人であると知って殺人の疑いを深め、また、自分を追尾してくる車を調べるうちに東欧鋼鉄派遣団という謎の組織が浮かび上がるが、さらに殺人事件は続く。未亡人にスパイの疑いをかけたメースンは戦時中に行ったハガキ作戦により陰で操る大物を誘き出す。

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007の影響でスパイは華麗な活動を行い派手な生活を送っていると思われがちだが、「寒い国から帰ったスパイ」などル・カレの一連の映画化作品のほうが本来のスパイの姿に近いと想像される。
 本作のメースンに至っては見た目もずんぐりむっくり、活動も日本の刑事以上に地道だから、スパイ小説ファン以外に受けるはずもないが、渋いなりに面白味がある。

一つは主人公に一介の社会人として頗るしがない性格を与えていること。もう一つは主人公と細君ハリエット・アンデションとの不和関係を絡めた作劇で、彼女の浮気相手マクシミリアン・シェルの出し入れが上手い。但し、この夫婦をめぐる場面には若干水増し的な描写が観られる。

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シモーヌが逢瀬の場所として利用としている王立シェークスピア劇場にアンドリューズが調査に訪れる場面も冗長だが、終盤同じ劇場で演じられるクリストファー・マーロウ作「エドワード2世」の台詞が関係者の立場や様子とオーヴァーラップするのがなかなか興味深いし、さすがに詳細は言いにくいこのハイライト場面における各出演者の演技が大変素晴らしい。

派手さはないが、ミステリー寄りのスパイ映画のファン若しくは演技重視で観る映画ファンなら一見の価値あり。

「支社にかかってきた電話」なら何でもないんですがね。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
メモっていたにもかかわらず
録画、忘れました。(- -)
また来月あたり放映ありますよね。
メースンにシニョレにシェル、
そしてルメット。私、好きそっ。(^ ^)

今回も最後の一文、効いてます。
vivajiji
URL
2009/11/18 17:14
vivajijiさん、こんばんは。

>録画
ご愁傷様です。

>来月あたり放映
デジタルWOWOWとご契約でしょうか?
BS192chで、12月10日にあります!
ハイビジョンでないのが残念ですけど。

イングマル・ベルイマン組の
ハリエット・アンデション(アンデルソン)や、
この手の英国映画にはかかせない
ハリー・アンドリューズも見逃せませんぞ(笑)。

しかし、内容は本当に地味。
最近の若い人の言い方を借りればTVでも良いくらい。
まあ僕は、内容にTVレベルか映画レベルかというのはない
と思っていますけどね。
あるとしたら、映画レベルの演出か、TVレベルの演出か、
ということですよね。

>最後の一文
サンクスです。<(_ _)>
突然閃きました。
オカピー
2009/11/19 01:23
本作それから「鏡の国の戦争」ジョン・ル・カレ原作の映画化ってことで見ました。記事も書いたんだけどね。その前にこの「冷戦時代のスパイ」特集の一つで放映されたドラマ「CIA ザ・カンパニー」を先に観たんで、結局のところあの時代のスパイ活動って何だったんだろう? 彼らは何を求めて諜報活動をしてたんだろう?って。結局のところ、鏡に映る己を観て、仮想敵国を作り上げ、己の尻尾を追い回していたに過ぎなかった。そして何が残った? そんな空しさが沸いてきましてねぇ。本作や次に記事あげてられる「鏡の国の戦争」なんかみていると、溜息ついてしまう。やりきれないなぁって。そんなんで世界は動いていたのかって。だから内側にいあジョン・ル・カレにしろグリーンにしろ、スパイ小説を書き続けたんでしょうね。私は記事書くのにへたったわ(笑)
前書きが長くなってすみません。
シモーヌ・シニョレの老け役は見事。ソ連のスパイとして二重生活に、人生につかれた一人の女が哀しいくらいに浮かび上がってたわ。
マクシミリアン・シェルの最後。あの場面も切ないですよね。誰も信用するながスパイの鉄則。でもその教え子が敵方で、自分が教えこんだ鉄則で動いていた。この事実は辛いよね。男は組織の中ではここまで自分を殺せるンかしら? 愛国心? ジョン・ル・カレの小説って切なさと空しさとやりきれなさがつきまとうわ。でも、だから好きなんだけどね。
シュエット
2009/11/25 11:28
シュエットさん、コメント有難うございます。

>ジョン・ル・カレにしろグリーンにしろ
イアン・フレミングは「007」のようは華美なスパイ像を作り上げましたが・・・。(笑)

>シニョレ
本作ではまだ太りきってはいませんが、「嘆きのテレーズ」での細面のクール・ビューティーとは別人のごとし。
しかし、うまい。
あの劇場でのシェルとの一幕なんかしびれましたね。

>男は組織の中ではここまで自分を殺せるンかしら?
僕は無理だなあ。(笑)
「寒い国から帰ったスパイ」もしがないスパイ像を描き上げていて、ちょっとゾッとするところがありました。
オカピー
2009/11/25 23:17

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