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zoom RSS 映画評「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」

<<   作成日時 : 2009/08/05 11:54   >>

ナイス ブログ気持玉 3 / トラックバック 17 / コメント 6

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2008年アメリカ映画 監督スティーヴン・スピルバーグ
ネタバレあり

近年スティーヴン・スピルバーグの不幸は「解り易い娯楽作を提供する監督だ」という理解に基づく過小評価である。「A・I」も「宇宙戦争」も見た目以上に複雑で深遠な要素を内包した秀作若しくは佳作であったが、お話の表面的理解に留まった為にその一端にすら触れずに駄作扱いされ「スピルバーグ衰えたり」の声を聞くのは残念でならない。
 それ以上に、映画を評価する上で一番大事な語り手としての天賦の才能がその為に無視さえされることが残念だ。本作も悪い評判が微かに聞えてきたが、カット割りなどの才能はそう簡単に衰えるものではなく、見通しの良い展開やスムーズな編集はさすがと感心させられる。

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お話は前作から19年後(製作が19年後なので)の1957年冷戦時代、ソ連の諜報員ケイト・ブランシェットに脅されて、インディ・ジョーンズ(ハリスン・フォード)が彼女率いる部隊を10年前発見された謎の物体を納めた箱のある場所へ案内するところから始まり、そこから辛うじて逃げ出した先は核実験の現場、鉛で覆われた冷蔵庫に隠れて辛うじて難を逃れると、今度はFBIから共産主義者扱いをされ、休職の身へ。そんな時突然現れた若者シャイア・ラブーフから旧友である博士ジョン・ハートの拉致を告げられた為、二人は博士が連れ去られたらしい南米ベルーはクスコに飛び、再びケイトの一味と遭遇。
 彼女はハート博士が発見したクリスタル・スカル(水晶の頭蓋骨)は手に入れたものの、博士は頭がいかれて役に立たない為ジョーンズの力を借りて、そのパワーを発揮させようとする。

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というのが大まかなストーリーだが、僕が興味を引かれたのはまずこれらのお話が全て現実に起きた事件、若しくは存在するものから現実社会のパロディーとして着想され構成されている点である。ネバダの核実験場、50年代の赤狩り、47年のロズウェル事件、ナスカの地上絵、オーパーツとして有名な水晶のどくろ、宇宙人の人類への英知伝授説、等々を全ていっしょくたにしてスピルバーグのSF旧作と結びつけたくなる幕切れへと雪崩れ込んでいく。
 馬鹿馬鹿しいと言ってしまえばそれまでだが、オーパーツなどに興味のある僕はなかなか上手い具合に各々を結びつけたものだと結構ニコニコだった。

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旧作時代から「ガンガ・ディン」などへのオマージュを頻繁に行って映画マニアぶりを発揮していたスピルバーグだけに、勿論古い映画へのオマージュも満載。解り易いところだけでも、エロール・フリンばりのちゃんばらシーンが出てきたり、「ターザン」があったり、人食い蟻のシークェンスでは「黒い絨毯」もどきがあったり、ラブーフの登場場面が「乱暴者(あばれもの)」のマーロン・ブランドーそっくりに仕立ててあったり、見ていて嬉しくなる箇所が少なくない。

冒頭の文章の繰り返しになるが、スピルバーグは一連の連続活劇風アクション場面においてカメラワークや編集を自家薬籠中の物のように扱っている。こういう場面処理の的確さでは現在活躍している他の有名監督の追従を許さないし、ましてCM・PV・製作者上がりではとても真似ができない。

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ハリスン・フォードの動きも2年前の「ファイヤーウォール」よりはよろしく、思ったより安心して見ていられる。

といった次第で、旧作群には大分及ばないが、ここ数カ月の間に観た冒険映画の中では唯一本当のプロによる作品という印象がある。

スカルの(スカルノ)王国と言っても、インドネシアの話じゃない。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
温故知新の大冒険!   ...続きを見る
Akira's VOICE
2009/08/05 12:04
インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
まさか、このシリーズまでこんなに年月経ってから続編が作られるとは思わなかったなァ。テレビでの放送を何度も見てるせいか吹替のイメージのほうが強いんですよね。昨日『魔宮の伝説』観たいけどハリソン・フォード、若ッ(笑)。 ...続きを見る
カノンな日々
2009/08/05 13:51
インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
原案: ジョージ・ルーカス/ジェフ・ナサンソン 脚本: デヴィッド・コープ/スティーヴン・スピルバーグ 出演: ハリソン・フォード/シャイア・ラブーフ/レイ・ウィンストン/カレン・アレン/ケイト・ブランシェット/ジョン・ハート/ジム・ブロードベント ...続きを見る
to Heart
2009/08/05 19:16
『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』('08初鑑賞79・劇場)
☆☆☆☆− (5段階評価で 4) 6月14日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター7にて 13:30の回を鑑賞。先行上映です。 長いこと待ちました。(^-^){%わくわく(チカチカ)hdeco%} ...続きを見る
みはいる・BのB
2009/08/05 20:17
『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』
(原題:Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull) ...続きを見る
ラムの大通り
2009/08/05 21:15
インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
インディ・ジョーンズ・シリーズの第4弾。伝説の秘宝<クリスタル・スカル>を巡る謎を追うトレジャー・ハンティングもの。 監督はスティーブン・スピルバーグ。主演はハリソン・フォード。その他のキャストは、シャイア・ラブーフ、ケイト・ブランシェット、カレン・アレン、ジョン・ハート他。 ...続きを見る
Yuhiの読書日記+α
2009/08/05 23:23
★「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」
先週は風邪気味だったので、公開二週目の「インディ〜」を週末ナイトショウで。 たしか19年ぶりのシリーズ最新作とかで・・・ 60オーバーのハリソン・フォードでアクションは大丈夫か・・・なんて心配されてるけど。。 こういう娯楽大作は見逃すともったいないので、 前売り券1300円払っちゃったけど、レイトショウ1200円の時間帯でも観に行ってしまいました。 ...続きを見る
★☆ひらりん的映画ブログ☆★
2009/08/06 02:06
インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
ドキドキするなぁ〜インディ・ジョーンズに会えるなんて―   *『レイダース/失われたアーク』1936年、旧約聖書に登場するアークの行方を追い、ペルー、ネパール、カイロを駆け巡りナチス・ドイツと対決―*『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』1935年、インドで聖なる石サンカラ・ストーンをめぐり邪教の魔術を操る僧侶と対決―*『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』1938年、ナチス・ドイツを相手に、ベニス、ベルリン、トルコを駆け巡り、父ヘンリーとともにキリストの聖杯を探し求める―     そして1957年... ...続きを見る
★YUKAの気ままな有閑日記★
2009/08/06 08:40
193「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」(アメリカ)
○ーファイル  1957年、アメリカ国内で米兵に扮した女諜報員イリーナ・スパルコ率いるソ連兵の一団が米軍基地を襲撃する。彼女らの目的は、宇宙の神秘を解き明かすというクリスタル・スカル≠ナあった。その捜索のため捕らえられていたジョーンズだったが、隙を見て脱出する。  スパルコの手を逃れたインディは考古学教授として赴任している大学へ戻るが、CIAに目を付けられ、強制休職させられる。そんなジョーンズの前に一通の手紙を手にしたマットという若者が現れる。その手紙には伝説のクリスタル・スカル... ...続きを見る
CINECHANの映画感想
2009/08/07 01:01
「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」
INDIANA JONES AND THE KINGDOM OF THE CRYSTAL SKULL 2008年/アメリカ/124分 at:TOHOシネマズ ...続きを見る
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2009/08/07 09:41
映画 【インディ・ジョーンズ / クリスタルスカルの王国】
先行上映にて「インディ・ジョーンズ / クリスタルスカルの王国」 ...続きを見る
ミチの雑記帳
2009/08/07 16:37
インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国(映画館)
新たなる秘宝を求め、史上空前の冒険が始まる! ...続きを見る
ひるめし。
2009/08/07 22:26
『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』(2008)パロディ満載!アクション控えめ!十分…
 待望の、というにはあまりにも長い歳月が過ぎました。髪の色は白くなり、薄くなり(ウィリスよりはましか…)、お腹には貫禄がつき、筋力は衰えてしまう。しかしドタバタ動き回っていたインディも楽しかったが、66歳を越えてなお、アクション・シーンに果敢に挑むハリソン・フォードもまた、どこかほのぼのして、イイ感じでした。 ...続きを見る
良い映画を褒める会。
2009/08/08 10:06
「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」  (追記)
まさか、またインディがスクリーンでみられるとは・・・。 ...続きを見る
取手物語〜取手より愛をこめて
2009/08/08 23:39
ネバダ・スミスはもういない・・・。   「クリスタル・スカルの王国」に王家の谷を見た・・・。
「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」は、その出来とは別に、4度インディがスクリーンで見られる喜びと同時に、あの遊び心満載の描写が大いに楽しませてくれたのと同時に私に複数の点で非常なる衝撃をあたえた作品であった。 ...続きを見る
取手物語〜取手より愛をこめて
2009/08/08 23:41
インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull (2008年) 監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:ハリソン・フォード、ケイト・ブランシェット、シャイア・ラブーフ 20世紀を代表する映画ヒーロー、インディ・ジョーンズの冒険を描くシリーズの19年振りの新作 序盤の原爆実験を茶化したようなシーンは必要とは思えないし、クライマックスが1作目と似てるなどマイナス要素はあるものの、全体的に見れば、期待を裏切らない面白い作品だった。 年齢を感じさせ... ...続きを見る
Movies 1-800
2009/08/10 01:02
インディ・ジョーンズ クリスタルスカルの王国
今さらですが、インディ最新作です。マリオン役のカレン・アレンが懐かしかったですね。ホントに結婚したら「マリオン・ジョーンズ」になっていたってことですか? ...続きを見る
映鍵(ei_ken)
2010/04/11 20:41

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
おはようございます。
>スカルの(スカルノ)王国と言っても、インドネシアの話じゃない。
朝からこんなオヤジギャグに遭遇するとは!(笑)
劇場で観にいって先日もWOWOWで観たけど楽しかったわ。
なにせ第一弾を劇場で観てからのファンなもので、なんだかんだ言っても観にいくし、身贔屓してしまう。
>僕が興味を引かれたのはまずこれらのお話が全て現実に起きた事件、若しくは存在するものから現実社会のパロディーとして着想され構成されている点である。
確かに。そして、パロディってるんだぞ!分かってるか!などと野暮な演出しないのがレベルでございますね。それよりもなによりも劇場公開では大いに楽しませてもらいました。でもハリソン・フォードの息切れはみていてお気の毒だったけど…。でもその分ケイトとかジュニアが頑張ってくれて、やっぱりこのシリーズって何回みても面白いし、スピルバーグ見せてくれるわ。

シュエット
URL
2009/08/07 09:39
シュエットさん、こんばんは。

>オヤジギャグ
いやー、僕の文章は「上から目線」だそうで、「敷居が高い」などと言われもしますし、多少はくだけた表現もしないと、誰も書きこんでくれなくなっちゃうから。^^;

僕も映画館で見た口ですが、贔屓も何も、上手いものは上手いので、正直に語っております。^^

>パロディってるんだぞ!分かってるか!などと野暮な演出しないのがレベル
「宇宙戦争」なんかでもそうですが、メッセージなんかも前面に押し出さない。スピルバーグの品格ですよ。
解る人は解るということを解っているですね。

>ハリソン・フォード
うまくスタントマンを使っているのでしょうが、結構頑張っていました。
2年前の「ファイヤーウォール」がかなり無残だったので不安になりましたが、まあ上出来。スピちゃんの見せ方も上手いんだろうな。
オカピー
2009/08/08 00:11
 こんにちは。
インディを昔から観て来たファンならば、あちこちに張り巡らされた映画マニアのツボに大いに笑わされますが、インディ・シリーズを見るのが最初の人はどういう印象を持たれたのでしょうかね。

 映画って、たくさん見れば見るほど、オマージュやパロディ・シーンに出くわしますので、昔の作品は必見ですね。それを知らないと新作などを観に行って、興味深いシーンが出てきたときに、この監督はオリジナルだ!などと書いてしまい、大恥をかくことにもなりかねませんね。

 ではまた!
用心棒
2009/08/08 10:13
用心棒さん、こんばんは。

 僕のように、現実のパロディーと思って観ることができれば、結構楽しめると思いますけど、見せ方の下手な「ハムナプトラ3」のほうが面白いと仰る方もいらっしゃいますから、世の中解りません。

>パロディ、オマージュ
 旧作に則った箇所も相当多かったですね。これらについては敢えて触れませんでしたが、ジョーンズの苦手な蛇をめぐるシーンなどは受けました。

>大恥
 僕なども結構知らないことはあるんでしょうけどね。
オカピー
2009/08/08 23:21
プロフェッサー、こんばんは。

この作品は、仰るとおり現実社会のパロディとオマージュが多く含まれていますが、きつい風刺でもあったと思います。

当然ながら、そう、いまさら言うことではないですが、映画において説明することはあってはならないと思います。これがわからない奴はそれでいいとの自身と開き直りが必要であると私は思っています。
その意味でも、楽しめそして大いに刺激され、衝撃を受けた作品でした。

では、また。

イエローストーン
2009/08/08 23:36
イエローストーンさん、こんばんは。

>きつい風刺
スピルバーグだから露骨に主張はしていませんが、核実験場の扱いなどはそうでしたね。

>映画において説明することはあってはならない
映画を見るには常識が必要ですし、映画を見れば常識も知識も身に付くことが少なくありません。常識があれば説明的な台詞なんか要らないですね。
そんなわけで、最近ナレーションが世界的傾向になっているのは全く感心しません。特にサスペンス系のそれは、プレイする前に読むであろうゲームの概要みたいな感じなので大嫌いなんです。あそこまでズボラになると映画とも言えないような気がしますよ。
オカピー
2009/08/09 17:11

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