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zoom RSS 映画評「最高の人生の見つけ方」

<<   作成日時 : 2009/06/03 14:31   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2007年アメリカ映画 監督ロブ・ライナー
ネタバレあり

多くの方が仰るように「死ぬまでにしたい10のこと」の老人版である。ロブ・ライナーもこういうお話を作って違和感のない年齢になりましたか。

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自動車整備工モーガン・フリーマンと大富豪ジャック・ニコルスンが末期癌に倒れて入院、同室となる。ニコルスンはその病院の経営者でもあるが、愛妻ビヴァリー・トッドや長男アルフォンゾ・フリーマンに心配されるフリーマンと違って心配してくれる家族もない。フリーマンは彼なりに大学を中退して夢を叶えらなかった後悔の念に襲われて死ぬまでにしたいことをリストに書き連ねる。
 「涙が出るほど笑う」「荘厳な景色を見る」「見知らぬ他人に親切にする」といった愚直な願い事を見たニコルスンが「スカイダイビングをする」「ライオン狩りをする」「世界一の美女とキスをする」といった冒険的な項目を書き加え、ニコルスンの無尽蔵の財力に頼って病院を飛び出し次々と夢を叶えていく。

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スカイダイビングとムスタングでの騒動の後は自家用ジェットで国外に出ての大騒ぎ、意図してか偶然か「80日間世界一周」と似たコースで回っていくのが面白い。

しかし、本作の主眼はそうした華美な夢を追ううちに彼らが人生の引き際に真の幸福を見出す様子を描くことにある。
 旅の終盤、フリーマンは妻のことが気になり慌てて帰国、幸福な時間を過ごしている時、長年断絶している娘との再会をアレンジして貰ったのに拒否したニコルスンは孤独地獄を味わっている。
 映画はこのコントラストを鮮やかに点出した後遂に娘の許に足を運び孫にキスをするニコルスンを描き出し、愛のある“家族”といる時間の幸福を浮かび上らせる。金でも冒険でも得られない真の宝物である。彼らが派手なことをするのはこれを強調する為の作劇上の仕掛けであるから「金持ちしかできない云々」という僕も感じた印象は本作を語る上で余り重要ではない。

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そして、「世界一の美女とキスをする」という項目をニコルスンが孫とキスすること、「見知らぬ他人に親切にする」が二人の交際であるとする辺りは布石を上手く生かしただけでなく、実にほのぼのとした味わいがある。
 ニコルスンと秘書との丁々発止のやり取りを筆頭に細かな台詞にも手を抜かず、また、序盤の映像とナレーションが観客をミスリードする為に置かれているなど誠に要領良くまとめられた脚本であると言うべし。

オーヴァーアクトで苦手なニコルスンもフリーマンとの呼吸よろしく好調、60〜70年代のジャック・レモンとウォルター・マッソーのコンビを思い出させる瞬間もある。

「死ぬまでにしたい80日間世界一周」

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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
TBありがとう。
名優たちのしみじみとした味わいの映画ですね。
まあ、片方が孤独な大金持ちで、もう片方がインテリ庶民という設定だから出来た御伽噺かもしれませんけどね。僕だったら、何をあげるかなあ、と観客に考えさせますね。
kimion20002000
URL
2009/06/03 16:28
kimion20002000さん、こんばんは。

>御伽噺
富豪と庶民という対照から始まり、友情を挟んで二人を相似形にした後に再び対照という構成にも意外性がありましたね。

>僕だったら、何をあげるかなあ、と
そうですね、生きてきた人生より余生のほうが少ない人はまず考えるでしょうね。
オカピー
2009/06/04 02:11
80日間世界一周とほぼおなじコースというのは、作り手からの映画ファンに対する隠し味的なプレゼントではないですかね。
わかる人にはわかるでしょ的な・・・・。
それを見つけるのも、また楽し!です。
ねこのひげ
2009/06/04 05:42
どの作品観てもモーガン・フリーマンで、いささか食傷気味のフリーマン。かたや演技の上手さを通り越して、これまた濃厚なお味に食傷気味のニコルソン。でも観てみたら、さすがベテランのお二人。とりわけニコルソンがフリーマンに敬意を表してか、うまく引き算演技していて、さすが!って思いました。
>「金持ちしかできない云々」
なんて意見もあるんですか? それを言っちゃぁお仕舞いだわね(笑)
人生こんなもん、って気になったわ。
ラストがいいですよね。骨壷が缶ってのも素敵。空缶って本当は宝物入れなんですよね。大事な宝物はみんな自分だけの空缶に入れておく。
ロブ・ライナー監督ってファンタジーな人じゃないかな?
彼の「ノース 小さな旅人」って作品も観たけど、イライジャ・ウッドが子役だったときの作品で、これも本作に通じる作品で好きだわ。「スタンド・バイ・ミー」もね。
シュエット
2009/06/04 10:44
またまたご無沙汰です。
今、癌と闘病中です。
この映画、大嫌いです(笑)、ははは!。
オンリー・ザ・ロンリー
2009/06/05 00:10
ねこのひげさん、こんばんは。

>作り手からの映画ファンに対する隠し味的
断言するだけの材料はなかったのですが、仰る通り、そういう発見は楽しいですね。
オカピー
2009/06/05 08:04
シュエットさん、トラコメ有難うございます。

>ニコルソンとフリーマン
僕も似た印象を覚えていますが、allcinemaで「ニコルソンが演技をしているのを初めて観た」というコメントには疑問大でした。「カッコー」辺りからオーヴァーアクトになってしまったニコルソン。僕は世間と違って彼の演技を嫌ってきたし、今回くらいで丁度良いと思いましたね。

>ロブ・ライナー監督ってファンタジーな人
だから逆に僕には、ホームランを打てない監督というイメージもあるんです。
この間のヤンキーズ松井のように、野手の頭を超える打球を打ったのにシングルヒットに留まってしまう勿体なさというか。あの日の松井はその後ホームランを打ったけど。

>金持ちしかできない
それはコントラストの為の材料に過ぎず本質的に重要ではないことが解らないのは残念ですね。
本作の考えを敷衍すれば、家族がいなくても愛してくれる人がいれば良いのでありますが、それさえいない人は救われないかもしれません。寂し!

>ラスト
作劇的にも上手くて、二回も山に登った秘書にはご苦労さま<(_ _)>と言ってあげたいです。
オカピー
2009/06/05 08:38
オンリー・ザ・ロンリーさん、こんばんは。

>癌と闘病中
いや、それはまた・・・言葉もないです。

>この映画、大嫌いです(笑)、ははは!
本当にそういう立場にいらっしゃれば、そうでない方とは別の印象を受けるかもしれません。そうなると、映画的に上手いかどうかは二次的な問題ですね。
オカピー
2009/06/05 08:49
わたしはいつもニコルソンが出てくると「今度はいったい何をやらかしてくれるのか」という期待のほうが大きいですね(笑)
今回はモーガン・フリーマンとの共演ということもあり、とても楽しみました。
細かいところでもちゃんと芝居をしてるので、DVDになってもすみずみまで見たくなります。
>60〜70年代のジャック・レモンとウォルター・マッソーのコンビを思い出させる瞬間もある。
なるほど、そうきますか。
わたしはもっともっと古いクラシカルな映画の雰囲気も少し感じました。

しゅぺる&こぼる
URL
2009/06/06 12:21
しゅべる&こぼるさん、こんばんは。

>ニコルソン
あれっ、シュエットさんのところで読まれました?^^

俳優ニコルソンが「何をやらかすか」というのは期待になって良いと思いますが、ニコルソン演ずる登場人物が、例えば「アバウト・シュミット」のような事件性のない作品で「何をやらかすか」と思わせるのは作品の設計と合わないことになるので、居心地が悪いんですよね。
尤も、それは「シャイニング」以来こちらが勝手にそう思い込んでいるところがあってニコルソンの責任とは言えないのですが。
しかし、それが苦手意識というもので、論理ではどうにもならないところがあります。

>もっともっと古いクラシカルな映画
30〜40年代キャサリン・ヘプバーンとスペンサー・トレイシーとか、男女の喧嘩友達的な名コンビは幾つか思い出しますが、男同志では意外と思い浮かばないです。
オカピー
2009/06/06 22:58
>意図してか偶然か「80日間世界一周」と似たコースで回っていくのが面白い。

ジュールを名乗っていながら、すっかり忘れてますね。^^

いつものように今作も通して2回、部分的にはもう数回観ましたが、終盤ではどうしてもウルウルとしてしまいます。
知らない内に「見知らぬ他人に親切にする」を実行していたというのがいいですねぇ。
十瑠
2011/06/19 21:22
十瑠さん、こんにちは。

最近寝るのが早いので、前とは違う時間帯にコメントバックしたり、となっております。当分はこんな感じで行くでしょう。

>知らない内に「見知らぬ他人に親切にする」を実行していたというのがいいですねぇ。
そうですねえ。
僕なんかは他人どころか、自分の親にさえ親切に出来なかった。優しい子供のつもりだったのだけれど、全然ダメでした。小さな親切は僕は普段からしているつもりです(でした)けど、本当の親切はなかなかできないもののようです。
オカピー
2011/06/20 09:51
テレビ放映があったので観ました。よかったです。ニコルソンが抑え気味で柄を生かして好演でした。ほのぼのとした余韻。
背景はほとんどがCGではないかと思いました。そこがまた昔の映画風で、このおはなしには合っていたかな。ただ、昔の画面のほうが、書き割りや合成の背景が奥ゆかしく見えるんですよね。CGだと作っている側の、どうだ、うまくできてるだろ、という声が聞こえてきそうな雰囲気がある。それもだんだん薄れていくのでしょうが、まだ発展中の技術だからかもしれない。
nessko
URL
2012/10/06 00:44
nesskoさん、こんにちは。

>ニコルソン
ややもするとオーヴァーアクトになりがちなニコルソンが抑えて好感が持てましたね。

>書き割り
僕もそう思います。
何より書き割りは撮影でしょ。同じ絵でも、そこが良いんですよ。
CGはどちらかいうと個人作業の寄せ集めみたいな感じがして、何か寂しくて嫌ですね。

今の若い人の中には、映像(背景)の前で演技してそれを撮影するスクリーン・プロセス(言葉はともかく)を知らない人がいて、ぼけた背景に対して“下手くそなCG”なんてピント外れなことを言ったりして、ああ恥ずかしい(笑)。
オカピー
2012/10/06 17:40

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