プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

help RSS 映画評「ダージリン急行」

<<   作成日時 : 2009/06/22 14:54   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 10 / コメント 8

☆☆☆(6点/10点満点中)
2007年アメリカ映画 監督ウェス・アンダースン
ネタバレあり

アンダースンと言ってもポール・トーマスではないほう、こちらも世評の高いウェス・アンダースンの新作は「サン・ジャックへの道」と同工異曲のロード・ムービーである。

画像

インドでヒンズー教に傾倒しているオーウェン・ウィルスンが、1年前の父の葬式以来絶縁状態だった次男エイドリアン・ブロディ、三男ジェイスン・シュワルツマンに呼び掛け、インド北部を走るダージリン急行で兄弟の結束を再び固める心の旅を敢行するが、そう簡単に関係が復旧するわけもなく、大騒動の末に列車から下ろされてしまうが、川で溺死した少年の亡骸を届けたことから村人からもてなされ、心を次第に澄ませていく。
 やがて、家を出たまま父の葬儀にも現れずにヒマラヤの麓でキリスト教修道女になっていた母アンジェリカ・ヒューストンと再会を果たし、軽く子供扱いされて思うところあって自立心を高めると共に兄弟の絆を実際に強固にしていく。

画像

といったお話で、小ネタを色々散りばめ小奇麗にまとめているが、僕は余り好かない。そもそもお話がロードムービーとして新味がなく、音楽の使い方や本作で言えば鞄といった小道具のセンスが世間で言われる程とも思えず、展開的に余程うまく活用されない限り取り立てて重要視するには及ぶまい。
 と言いつつ、序盤から最終盤まで大量に抱えていたのに最後の最後に放り出してしまう鞄を両親への依存体質や重苦しい悩みの象徴としているのはなかなか気が利いている。

村の葬儀で不仲の原因となった父の葬儀を思い出す場面を全く同じ構図の完全なマッチ・カットで処理しているのも印象に残るが、頻繁に左右を往復するパンは効果的と思われない。

画像

といった具合で、作者本人が自らのスタイルとテーマ追求に自縄自縛になって鞄を捨て切れていない状態と思えるのは些か残念だ。
 結局僕が一番気に入ったのは、序盤長男が弟たちに協定を提案する場面に対応させて、母親が子供たちに提案する場面が用意されていたことで、長男が仕切りたがるのは母親からの遺伝と解らせてニヤリとさせてくれる。

今回の放映版には劇場公開時に併映されたという短編がなかった。本編と関係のある内容らしく評価に影響があるかもしれないので、WOWOWには文句を言う必要あり。

ヒマラヤのキリスト教修道院と言えば、「黒水仙」(1946年)。ちょっと意識しているかもね。

テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(10件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
映画 【ダージリン急行】
映画館にて「ダージリン急行」 ...続きを見る
ミチの雑記帳
2009/06/22 17:04
ダージリン急行/オーウェン・ウィルソン
ダージリンって言えば紅茶の名前でくらいしか知らないんだけど、私がよく足を運んでいるチネチッタとシャンテシネでの公開予定作品だったこともあって単館系のわりにはだいぶ前から何度も予告編を観る機会がありました。男3人のロードムービーなんだけど「サンジャックへの.... ...続きを見る
カノンな日々
2009/06/22 18:23
『ダージリン急行』
(原題:The Darjeeling Limited) ...続きを見る
ラムの大通り
2009/06/22 22:24
mini review 08326「ダージリン急行」★★★★★★★☆☆
魅惑的なインドを舞台に、大人に成り切れない3兄弟が列車での旅を繰り広げるヒューマン・コメディー。監督は『ライフ・アクアティック』のウェス・アンダーソン。主人公の3兄弟をアンダーソン監督の盟友オーウェン・ウィルソン、『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディ、『マリー・アントワネット』のジェイソン・シュワルツマンが演じている。とぼけた笑いと温かい感動に満ちた、アンダーソンならではの作品世界が魅力だ。[もっと詳しく] ...続きを見る
サーカスな日々
2009/06/22 23:44
「ダージリン急行」
長男フランシス(オーウェン・ウィルソン)、次男ピーター(エイドリアン・ブロディ)、三男ジャック (ジェイソン・シュワルツマン)のホイットマン3兄弟。フランシスの提案で、インド北西部を 走るダージリン急行に乗る。旅の目的は、父の死をきっかけに1年ものあいだ絶交状態にあった 兄弟の結束を再び取り戻すこと。バイク事故で瀕死の重傷を負い助かったばかりのフランシス。 父の遺品を独り占めしたと非難され、妊娠7ヵ月の妻アリス(カミーラ・ラザフォード)とも 上手くいっていないピーター。そして、家族をネタに小説を... ...続きを見る
心の栄養♪映画と英語のジョーク
2009/06/23 00:14
★「ダージリン急行」
この作品の為にミニ・オーウェン特集をやってたんですよ、ひらりんは。 「魔法にかけられて」の先行とか、「バンテージ・ポイント」より、こっちが先。 でもこれでネタ切れなので、特集はここまで。 ...続きを見る
★☆ひらりん的映画ブログ☆★
2009/06/23 03:16
ダージリン急行/短編:ホテル・シュヴァリエ(映画館)
あした、僕たちはどこにいるんだろう・・・ ...続きを見る
ひるめし。
2009/06/23 22:50
「ダージリン急行」
THE DARJEELING LIMITED 2007年/アメリカ/91分 at:シネリーブル梅田 ...続きを見る
寄り道カフェ
2009/06/24 11:54
ダージリン急行
The Darjeeling Limited (2007年) 監督:ウェス・アンダーソン 出演:オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュワルツマン 疎遠だった3兄弟がインドを列車で旅していくうちに絆を取り戻していく様子を描くロード・ムービー。 「ザ・ロイヤル・テネンバウムス」や「ライフ・アクアティック」同様、人の死と絆を描いたW・アンダーソンの不思議な世界が楽しめる。 三人兄弟の会話や行動を面白おかしく描きながら、それぞれが当人のいないところで兄弟の隠し事を暴露しあうこ... ...続きを見る
Movies 1-800
2009/06/28 00:30
71「ダージリン急行」(アメリカ)
僕たちは行方不明  インド北西部を走るダージリン急行に、長男フランシスの呼びかけで、次男ピーターと三男ジャックが乗り込む。父の死をきっかけに疎遠となっていた3人だったが、フランシスはこのインドの旅を通じて、再び兄弟の結束を高めようとしていた。  しかし兄弟たちはそれぞれに問題を抱えていた。フランシスはバイクの事故で瀕死の重傷を負い、奇跡の生還を果たしていた。父の遺品を独り占めしたと非難され、妊娠7ヶ月の妻アリスとも上手くいっていないピーター。ジャックは家族をネタに小説を書いていたが、失... ...続きを見る
CINECHANの映画感想
2009/06/28 18:45

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
初めまして!
遊びに来ました!
これからヨロシクお願いしま〜す<m(__)m>


ややちゃん
2009/06/22 15:02
tbありがとう。
僕はわりと甘ちゃんの点数です。このあたりのハリウッドのインディペンダントな連中にもうちょっと頑張ってほしいなという期待を込めて(笑)。
DVD付属の短編は、まあほんとにオマケみたいなものですね。ナタリー・ポートマンのファンだと、ちょっとコケティッシュな彼女が見れて、面白いかもしれません。
kimion20002000
URL
2009/06/22 23:51
kimion20002000さん、こんばんは。

>ナタリー・ポートマン
実は結構好きなんです。(笑)

W・アンダースンは日本では劇場未公開の「天才マックスの世界」というのが面白かったです。
オカピー
2009/06/23 03:18
これは取り立てて新味もないんですけどね、仕事帰りに観にいって、仕事帰りの映画鑑賞って乗れるか乗れないかのちょっとしたバロメーターになっていて、素晴らしい映画って、仕事帰りなど関係なく感動感動で力が出てくる。反対に展開が詰まったり緩んでいるとだらけてしまう。
この映画素晴らしいとはいえないけれど、観ていて載れた映画として、なんかわからないけれどHAPPYな気分になった映画だわ。
まぁどうでもいいからTBはスルー。
シュエット
2009/06/23 10:56
シュエットさん、こんばんは。

仕事帰りの映画鑑賞ができない環境でした(地理的条件、残業の多さ)ので、その感覚が正確には解らないのですが、一般論としては何となく解ります。

アンダースンの作品は4本目ですが、基本的に同じ。もし初めて観たのならもっと楽しめたかもしれません。
かのフランク・キャプラの「我が家の楽園」ですらちょっと合わないものを感じたくらいですから、僕にとっては風変りな人間が複数出てくる作品は鬼門みたい。

>TBはスルー
ちょっと残念なのでした。^^
オカピー
2009/06/24 02:01
>ちょっと残念なのでした。^^
本当?!
では、では、素直なシュエットですんでTBしますね!
シュエット
2009/06/24 11:52
私は素直に楽しめました。何の教授さんなのかな?あなたは映画創れますか?
テレ
2012/04/08 02:26
テレさん、初めまして。

コメントは有難いのですが、自分と違う人の趣味を批判することくらい野暮なことはないんです。
批判をするならもっと具体的に述べる必要があり、それができないのであればコメントしてはいけませんな。

ビートルズ、モーツァルト、夏目漱石、シェークスピア等々その分野の最高峰と言われる人々ですら嫌いな人はいるのです。僕は上記の方々はいずれも好きですが、嫌いな人がいても当然であると思います。
また、彼らの作品の中でも良いもの、悪いものがあるわけで、それを冷静に分析するのが批評です。

>映画創れますか?
野暮だなあ。
作れないから批評をしているわけだけど、作れないからと言って批評して行けない理屈はありません。
それでは言いますが、それはヒトラーが独裁をしている時に批判できないことで、ユダヤ人を大量に殺すのを放置し、アーリア人を大量に死なせたことと同じことになりはしませんか。

批評を知らない連中に限って、他人の意見を批判します。僕に映画を批評する資格がないなら、あなたが僕を批判する資格はもっとないですよ。
オカピー
2012/04/08 08:14

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「ダージリン急行」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
[ ]