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help リーダーに追加 RSS 映画評「明日への遺言」

<<   作成日時 : 2009/01/07 14:47   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2008年日本映画 監督・小泉堯史
ネタバレあり

B級戦犯として処刑された岡田資(おかだたすく)を主人公に取材した大岡昇平の実録小説「ながい旅」を小泉堯史監督が映像化したドラマである。

岡田(藤田まこと)は戦争末期1945年5月の名古屋空襲で撃墜されて降り立ったアメリカ兵11名を軍律裁判で有罪、さらに16名を略式裁判で有罪にして全員を斬首した国際法違反の罪で横浜法廷にて裁かれ、米国人弁護士(ロバート・レッサー)の奮闘空しく死刑が言い渡される。

というのがあらましで、裁判ドラマとしては「名古屋空襲自体が無差別攻撃であり、従い実行した兵隊たちは戦争犯罪者ではないか」という岡田の考察、或いは通信兵の処刑に対する検察側の疑問提示が、戦争犯罪に関して考える一助を我々に与えてくれる。
 また、アメリカ人でありながら米国の行為を批判する弁護士は言うまでもなく、検察や裁判委員も必ずしも悪意を持って彼に接していない。特に「処断」ではなく「報復」との答えを迫って彼の罪を軽くしてやろうという箇所は大変興味深い。

かくして岡田自身が名付けた「法戦」なる裁判模様を通して岡田資なる人物の凛とした人物像が浮き彫りにされていくわけだが、一見理路整然とした岡田の言動には一つ大いなる矛盾があり、部下には罪がないと全責任を負おうとする一方で、同じように上官の命令に従っただけの米軍兵士たちの首を斬っている。
 検察側をして「報復」に拘らせたのはこの矛盾なのかもしれない。米国では「報復」が認められるというのがその背景らしい。米国で「報復」が認められる理由は何となく解るが、ここでは触れるまい。

結論から言えば、ここで扱われている題材自体が余りにジャーナリスティック若しくは文学的すぎ、小泉監督の華美を排したセミドキュメンタリー寄りの演出では映画的な潤いに欠け些か退屈に傾くことは否めない。
 作品を作る態度としては極めて立派で、師匠である黒澤明がモノクロ時代に好んだワイプによる場面転換に映画マニアとしてはニヤニヤさせられるものの、物語としては若い時代の師匠のような思い切った切り口ではないと一般的な支持は得られないだろうと、余計な心配をしてしまう。
 しかし、僕は小泉監督の生真面目なタッチが好きだし、潔い作り方に肩入れしたいとは思う。最終的に浮かび上がるのは「高潔な人物なら国境を越えて互いを理解しうる」という人間洞察である。

岡田資が実際にどのような人物だったか知る由はないが、彼を演ずる藤田まことは凛とした印象を強く出し大変好もしい。
 映画として一番大きな疑問は、登場人物でもない竹之内豊にナレーションを任せたこと。上手ければ敢えて文句を言うには及ばないが、実際にはかなり心もとなく、出鼻をくじかれてしまうのである。

「あした」なのか「あす」なのかはっきりして欲しいタイトルです。

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第二次世界大戦終了後、B級戦犯裁判をたった一人で戦い抜いた岡田資(たすく)中将の誇り高き生涯を描く感動作。戦争文学の第一人者である大岡昇平の「ながい旅」を原作に、『博士の愛した数式』の小泉堯史監督が構想15年をかけて映画化。敗戦直後の混乱の中で自身の責任と信念を貫き通した岡田中将を、ベテラン藤田まことが熱演する。軍人の夫を愛情深く見守る妻に富司純子がふんするほか、西村雅彦、蒼井優ら多彩な顔ぶれが共演し、ナレーションを竹野内豊が担当していることでも話題。[もっと詳しく] ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
TBありがとう。
ほんとうに退屈な映画なんですね。
だけど、スタッフ・kタストが伝えたいものがはっきりしています。
だから、退屈でも楽しめるのだと思います。
kimion20002000
URL
2009/01/08 00:12
kimion20002000さん、明けましておめでとうございます。

どちらが良いだ悪いのだ、というのでは作品としては下の下になってしまいますが、本作が描いたのは日米を問わず人となりですよね。
こういう人たちばかりなら戦争なんて起こらない、という感慨が生まれます。
オカピー
2009/01/08 02:00

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