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help リーダーに追加 RSS 映画評「赤い河」

<<   作成日時 : 2009/01/04 16:02   >>

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☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1948年アメリカ映画 監督ハワード・ホークス
ネタバレあり

ハワード・ホークスは西部劇の名作を幾つも放っているが、最初の傑作。西部劇の中でも開拓劇、その中でも比較的珍しいキャトルドライヴもの。キャトルドライヴをテーマにした、これ以上のスケールの作品は後にも先にもない。

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南北戦争前にテキサス南部で二頭の牛から始めて大牧場主になったダンスン(ジョン・ウェイン)が、14年後牛を飼っているだけでは利益が出ないことに気付き、親友グルート(ウォルター・ブレナン)と少年時代から息子のように育てたマット・ガース(モントゴメリー・クリフト)と共に、唯一の販路と言うべき北部の中でルートの確立した北東部ミズーリを目指して1000マイルの旅に出る。

勿論その前にカウボーイを大勢雇っているのだが、その中の一人にダンスンに仕込まれたマットと肩を並べる射撃の名手チェリー(ジョン・アイアランド)がいて、そのチェリーとマット空き缶を撃ち合うのが大変楽しい。

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やがて真北のカンザス州に鉄道が開通したという噂が伝わった為に一群にはそちらを目指そうという空気が流れるが、頑固なダンスンが反対し強行軍を決め込んだ為に反旗の風が巻き起こる。脱走した者を縛り首にしようとしたダンスンがチェリーに手首を撃たれるとマットは彼を見限り、追って来るであろうダンスンの影に怯えながら一路カンザスを目指す。
 途中コマンチ族に襲われた幌馬車隊を救い、気丈な娘テス(ジョーン・ドルー)と恋に落ち再会を誓って旅を続け、遂に線路の向こうにあるアビリーンの仲買人と高額での買い取りを成立させる。ダンスンもテスと出くわし、マットを倒して欲しくないテスと一緒に町に向う。勿論互いに親子のような感情を覚えている二人は大喧嘩の後和解する。

今となっては感じられないかもしれないが、描写は戦前の西部劇と比べて人物像の造形が単純ではなく、ぐっとリアリズム基調である。展開は腰があり、紀行文的な字幕を用いて明快。
 ウォルター・ブレナンが後のホークス西部劇同様コメディリリーフを担当しているが、基本はシリアス路線で、ダンスンとマットの心理的葛藤がグルートやチェリーとの関係を彩りにして鮮烈に浮かび上がる。

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勿論、西部劇におけるアクションの主たる要素即ちガンファイトやインディアンの襲撃もセミドキュメンタリー的な地味な扱いながらきちんと織り込まれている。
 そして何より数千頭と思しき牛の大群が怒涛の勢いでカウボーイを倒しながら暴走する場面のもの凄さ。これを観るだけでも金を払う価値がある。「一部スタジオ撮影だからこんなものに一々感心するな」というコメントも目にしたが、やはりこれが一番の見どころ。映画というものは、セットだろうがロケだろうが、本来スペクタクルを観る為に始まったのだ。

カリフォルニアへ向う幌馬車隊と別れてテキサスに土地を求めた若きダンスンが一時的に別行動を取るつもりだった恋人をコマンチ族に殺されて失うという痛ましいエピソードが序盤にあるのだが、転々と人の手に渡っていく彼女の腕輪の狂言回し的な扱いが深い印象を残す。

音楽も宜しい。西部劇でお馴染みの「私を淋しい平原に埋めないで」やホークス後年の秀作「リオ・ブラボー」で「ライフルと愛馬」として紹介された「セトル・ダウン」を聴くだけで西部劇ファンは胸躍るのだ。

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赤い河
(1948/ハワード・ホークス製作・監督/ジョン・ウェイン、モンゴメリー・クリフト、ウォルター・ブレナン、ジョン・アイアランド、ジョーン・ドルー、シェリー・ウィンタース、ハリー・ケリー、ハリー・ケリー・Jr/133分) ...続きを見る
テアトル十瑠
2009/01/04 22:01

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
40年程前に彼の『日曜洋画劇場』で観た映画で、その後は「ラストショー」でも話題になりました。
「ララミー牧場」でガンマンに憧れた私も、「ラストショー」を観る頃には“西部劇”に胸が躍らなくなりました。“ニューシネマ”の負の影響ですね。
十瑠
2009/01/04 22:08
十瑠さん、こんばんは。

>“ニューシネマ”の負の影響
確かに。
僕が映画を見始めたのはニューシネマが始まって2年後くらいで、TVで次々と放映される西部劇クラシックと、陰湿で汚らしいニューシネマ西部劇とのギャップに驚きましたね。「ソルジャー・ブルー」などニューシネマ時代の西部劇は大嫌いでした。そして、未だに嫌いです。

ニューシネマの洗礼は受けたものの、僕は未だにニューシネマ以前の西部劇を観るとワクワクしますよ。
映画が今の調子でつまらなくなっていくなら、10年後には古い映画だけ観ているだろうなあ。その中でもヒッチコック流サスペンスと西部劇は欠かせないと思うほど。
オカピー
2009/01/05 03:29
明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い申し上げます。
私もお気に入りの西部劇のひとつです。
何回観ても嬉しくなるのはシェリー・ウインターズおばさん(いや、この頃はお嬢さん!。笑)がちょこっと出てくれる事なんです。
オンリー・ザ・ロンリー
2009/01/06 22:51
言い忘れました、すいません。
ジョーン・ドルーが「黄色いリボン」の彼女とどう見ても同一人物に見えない私です。
だからDVDファイルでは、いつでも見比べて良いようにこの2作品と「アルバレス・ケリー」がパっと出せるようになっています(笑)。

オンリー・ザ・ロンリー
2009/01/06 23:03
オンリー・ザ・ロンリーさん、明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い申し上げます。

カウボーイものは結構多いですが、本格的なキャトルドライヴものは少ないですし、西部劇の様々な要素が盛り込まれ、ご機嫌な作品ですよね。

>シェリー・ウィンターズ
出ていたらしいのにまた今回も気付きませんでした。
後でDVDで確認してみましょう。簡単に確認できる全く良い時代ですよね。

>ジョーン・ドルー
うーん、そんなに違いましたっけ? 忘れちゃったなあ。
肥えに肥えたシェリーさんほどじゃないでしょう(笑)。
「黄色いリボン」はビデオしか持っていません。まあ確認はできますが。

>「アルバレス・ケリー」
余り面白かった記憶がないのですが、去年NHK−BSでやった時観ればよかった。
オカピー
2009/01/07 02:24
「アルバレス・ケリー」は「ワーロック」(そう言えばやっとこさFoxからDVDが出ますね)と同じ監督とは思えませんね。
私の一番嫌いな点は、あとからホールデンだけがスタジオ?で単独撮影か、馬も写ってなく上半身だけで遠景はスクリーン・プロセスかなんかで、本編と空気感が全く違う、何か違和感があるのです。結構、数カットありますよ。
冒頭でブラザース・フォーが歌うテーマ曲に合わせたアニメはとても西部劇には思えず一風変わっています。
まあ、観る必要はないでしょう。

オンリー・ザ・ロンリー
2009/03/09 01:40
オンリー・ザ・ロンリーさん、こんばんは。

なかなか古い映画の記事が書けませんで、すみません。

>同じ監督
エドワード・ドミトリクですよね。
「ワーロック」は詳細は忘れましたが、かなり面白かった記憶ありです。
何よりご贔屓リチャード・ウィドマークが出ていましたし。
尤も「アルバレス・ケリー」にも出ていますけどね。(笑)

>馬も写ってなく
では、馬に乗っていないですね。そりゃひどい。
60年代半ばということはパン・フォーカスは十分できる時代ですから、アップでもスタジオで撮る必要はないはずですがね。現場まで出かけられない理由でもあったのでしょか。

>ブラザース・フォー
当時人気でしたねえ。
オカピー
2009/03/09 03:16

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