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<<   作成日時 : 2008/12/09 14:34   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2006年ボスニア・ヘルツェゴヴィナ=オーストリア=ドイツ=クロアチア映画 監督ヤスミラ・ジュバニッチ
ネタバレあり

サラエボと言えば第1次大戦勃発の原因となったオーストリア皇太子暗殺を思い出す方も多いだろうが、その後も色々あり、1992年に勃発したボスニア戦争の中心となった。そのおかげで現在存立している国家ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都である。その悲劇を経験した女性監督ヤスパラ・ジュバニッチがボスニア戦争の傷跡に未だに苦しめられている人々を描く劇映画第一作。

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イスラム教徒の主婦エスマ(ミリャナ・カラノヴィッチ)は12歳の娘サラ(ルナ・ミヨヴィッチ)の修学旅行費用を捻出する為に、働き始めたクラブの社長に前借を頼んでみたり、叔母や娘のベビーシッターをして貰っている同級生サビーナ(ヤスナ・ベリ)に相談するなど東奔西走するが、旅費免除になるシャヒード(=殉教者)の証明書を出すことができずに、娘との関係がこじれていく。

というのが主流となる物語で、その間にエスマがクラブの年下の用心棒ペルダ(レオン・ルチェフ)に仄かな恋心を覚えたり、サラが同級生サミルと繰り広げる青春模様が傍流として語られていく。

それでは何故母親は娘に証明書を与えることができないのか。それはサラが誕生が敵であるセルヴィア兵による凌辱が原因だからで、エスマは「娘を憎もうとした」とさえ言うが、人間は情の生き物、一度授乳すれば娘に愛情を覚えずにはいられないのだ。

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その他サミルの父親もシャヒードであること、ペルダが父親の死体を発見できないこと、ベルダたちがかつての上官にボスの暗殺を命じられたり、廃墟が厳然と林立したり、戦争の傷痕は色々残っている。

しかし、僕はこの作品の真の狙いが戦争の傷跡を描くことにあったとは思わない。傷痕はドラマを構成する通奏低音的要素に過ぎず、作者の関心は親子の愛情交換という以上に母親の愛にある。何故なら結局この母親をしてレイプした敵兵の子供を産むという二重の恥辱を乗り越えさせたのは母性愛であると想像されるからである。戦争の傷跡はかなり普遍的であるが、母性愛こそ時代も人種民族も問わない普遍と言うべきであろう。

娘が母親に父親に似ていると言われた憎らしい髪を切ってしまうのも象徴的かつ印象的で、娘が立ち直ることができる(できそうな)のも母親の愛情が支えている気がする幕切れを迎えるのである。これは結局ボスニア=ヘルツェゴヴィナ国民全体の希望とオーヴァーラップすることになり、感銘を禁じ得ない。

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劇映画初演出のせいか、描写はスケッチ風で一見とりとめない感じだが、ぶつ切り的になっていないのは宜しい。撮影では屋外の部分に感覚の良さを感じる。

母親役ミリャナ・カラノヴィッチが奮闘する母親の感じをよく出して好演。

その昔「サルビアの花」という名曲がありましたな。邦題から思わず思い出してしまった。

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トラックバック(8件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
『サラエボの花』
※カンの鋭い人は注意。※映画の核に触れる部分もあります。 鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。 ...続きを見る
ラムの大通り
2008/12/09 17:22
mini review 08306「サラエボの花」★★★★★★★☆☆☆
ベルリン映画祭で金熊賞ほか3部門を受賞し、そのほかの映画祭でも大絶賛されたヒューマンドラマ。ボスニア紛争の傷あとが残るサラエボを舞台に、秘密を抱える母親と驚がくの真実を知らされる娘の再生と希望の物語が展開する。監督はサラエボ生まれのヤスミラ・ジュバニッチ。『ライフ・イズ・ミラクル』のミリャナ・カラノヴィッチが主人公の母親を演じる。重いテーマを提示する一方、人生にもがく登場人物たちを慈愛の眼差しでとらえた新進女性監督の手腕に注目だ。[もっと詳しく] ...続きを見る
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2008/12/15 22:57
サラエボの花
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UkiUkiれいんぼーデイ
2008/12/18 09:13
<サラエボの花> 
2006年 ボスニア・ヘルツェゴビナ オーストリア ドイツ クロアチア 95分 原題 Grbavica 監督 ヤスミラ・ジュバニッチ 脚本 ヤスミラ・ジュバニッチ 撮影 クリスティーン・A・メイヤー 出演 ミリャナ・カラノヴィッチ  ルナ・ミヨヴィッチ  レオン・ルチェフ    ケナン・チャティチ  ヤスナ・オルネラ・ベリー ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
僕はこの手の映画は弱いんです。
すぐに泣いちゃいます。
kimion20002000
URL
2008/12/09 18:36
kimion20002000さん、こちらにもようこそ。

僕も泣き虫です。
ブログ仲間に広く知れ渡るところになってしまいました。^^;
下手っぴな映画でさえ結構涙がホロリなんて・・・そこで、評価がガタガタになる可能性が高いのでより評価を下す段では客観的な立場を堅持することにしたのでありますよ。^^
オカピー
2008/12/10 00:34

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