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zoom RSS 映画評「ALWAYS 続・三丁目の夕日」

<<   作成日時 : 2008/11/23 14:11   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 10 / コメント 4

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2007年日本映画 監督・山崎貴
ネタバレあり

地上波民放で映画は見たくないものの、諸事情によりやむを得ない場合もある。放送時間が長くカットが少ないだろうと思い、今回は観ることにした次第。

さて、正編(第1作)は物語のバランスが良くエンディングも綺麗にまとめられていて現在作られている邦画の中ではかなり満足の行く出来栄えだった。実は「なくもがな」と思っていた続編もこうして観てみると、かなり健闘しております。

芥川賞候補になったこともある三文作家・茶川龍之介(吉岡秀隆)が書いている怪獣小説が映像で展開するという予想外の場面から始まる。VFX大会始まりの宣言みたいなものだろうか。
 その彼が同居する少年・淳之介(須賀健太)を引き取りに来た金持ちの父親(小日向文世)を説得する為に、黙って去って行ったヒロミ(小雪)との関係を題材にした私小説を書いて再び芥川賞を狙う。
 という主流のお話に、父親の事業失敗で鈴木オートに預けられる高慢ちきな少女(小池彩夢)が家族愛に触れて素直になっていく様子が傍流として加えられ、前作同様昭和半ばらしい人情が浮かび上がる。

現実にあった昭和30年代の東京を舞台にしながらも一種のファンタジーと理解すべき内容で、それを素直に成立させる為に、既に存在しない風景やら、あっても実際に動かすことは難しい飛行機などの乗り物が次々とVFXで再現されるのがお楽しみ。VFX(の使い方)を批判することの多い僕も、この類の使い方には文句を言いません。CGの出来栄えも素晴らしい。

翻って物語についてはエピソードの繋ぎに流れを感じさせる上手みを前作ほどは感じないが、それでも一度は別れを決心したヒロミが特急<こだま>の中で龍之介の書いた芥川賞候補作を読んで引き返し、「ほら言わんこっちゃない」と自信満々だった淳之介の父親が結局それを見て淳之介を引き取るのを諦める...という展開は、予想の範囲と言えども実に上手い構成と言うべし。
 父親はその直前に「これは願望だ」と彼の小説を切り捨てている。夢を追っても金がなければやはりダメじゃないか。と思ったところへ彼女が現れ、小説即ち願望が現実を成すこともあると彼の固定観念に風穴を開けるのである。

芥川賞を取るには「接待も必要だ」と詐欺師がやって来る。その片棒を担ぐのが鈴木オートの六ちゃん(堀北真希)にホの字の同郷少年で、この辺りの絡ませ方も上手い。

かくして、この作品は21世紀の現実に対するアンチテーゼとして人情に溢れる世界を提示し、映画の中身同様に願望が現実を成すこともあるのではないかと観客にひとときの夢を見させてくれるのだ。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
プロフェッサー、こんにちは。

1作目ほどではないにしろ、続編としてはかなりよいできでしたよね。

>一種のファンタジーと理解すべき内容

仰る通りだと思います。
自身の記事でも記述しましたが、当時ですから看板や全てのものは新品で、色も鮮やかなはずなんです。だが、それをあえて古びた看板で、あのくすんだ色、あのトーンで描くことがこの作品の真の核だと思います。

その時代に実際に生きた人物以外の人間も妙に懐かしさを感じさせる画。
昭和ノスタルジー。

>観客にひとときの夢を見させてくれる

この一言に尽きると思います。
TBさせていただきました。
ではまた。
イエローストーン
2008/11/24 10:08
イエローストーンさん、こんばんは。

なかなかお好みの作品が出せず、申し訳ないです。<(_ _)>

>続編としては
そうですね。
なかなか大したものだと思います。

>昭和ノスタルジー
古い雑誌を見ますと、褪色して淡くくすんだ色になっていますよね。
昔確かにあった人情を大幅に拡大することで、ノスタルジーをファンタジーに昇華させていると言っても良いでしょう。

>ひとときの夢
映画は現実を反映させなければならないですが、現実そのものを描くことに拘るのは愚かしい。
本作が描いた今の現実は、【映画の描いた人情が消えた世界】ということになろうかと思います。
オカピー
2008/11/24 22:16
 オカピーさん、こんばんは!
 大多数の観客の期待通りに物事が進む感じとでもいいましょうか。陳腐と紙一重なんですが、ぼくは映画館で観ることも多いので、基本的にハッピーエンド賛成派なので、この展開は良しとします。

 映画館に観に行って、どんよりした気分で出てくるのは好みではありません。一年に数回程度なら良いのですが、何度もどんよりはつらいです。

 スカッとした気分で見ていられるのは第一作目ですが、個人的には奥が深いのは二作目のような気がしました。まあ、どちらも良い出来ですね。

 映像の文法を遵守しつつ、特撮を大いに取り入れる姿勢は現実的で柔軟な発想ともいえますし、みていてニヤリとさせられました。

 ではまた!
用心棒
2008/11/27 01:20
用心棒さん、こんばんは。

>大多数の観客の期待通りに物事が進む感じ
これが【べた】の定義というわけですね。
【陳腐】や【月並み】と言うと評価が入ってしまうので、やはり【べた】=【王道】と考えて良いようですね。
サンクスです。

>現実的で柔軟な発想
そうですね。
観る方も柔軟な姿勢が必要。
しかし、偏見ではなく、理屈の上から認めにくい作者や作品が増えてきたのは事実で、この辺りは徹底的にやっつけたいと思います(笑)。
オカピー
2008/11/27 02:44

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