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<<   作成日時 : 2008/08/04 13:54   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2003年中国映画 監督フォ・ジェンチー
ネタバレあり

「山の郵便配達」で僕を感心させたフォ・ジェンチーが「ションヤンの酒家」より前に発表したドラマ。内容・構成的に昨日観た「春の惑い」と似たところがあるが、映画の魅力という点で段違いにこちらが優っている。

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北京で役者勤めをしている青年ジンハー(グオ・シャオドン)が恩師のトラブルを解決するために10年ぶりに故郷の村に戻り、農家暮らしにやつれた初恋の女性ヌアン(リー・ジア)と再会し、彼女が嫌っていた聾唖のヤーバ(香川照之)と結婚したのを不憫に思い、ある日、6歳の娘と暮らすその家を訪ねる。
 その間に彼は歌と踊りの上手かった十代の彼女との交際を思い出す。彼女はある時村にやってきた省の劇団とその花形役者に憧れ、その思いが殆ど切れた時「役者が戻って来なければ結婚する」と、彼は「大学卒業後必ず迎えに来る」と約束し合う。
 が、青年は都会の生活に埋没し彼女のことを忘れていく。正確に言えば、忘れようとしたのである。北京に帰る時若干の罪の意識に苛まれながら、ヤーバの彼女への一貫した強い思いに気付き、ヌアンは幸せなのだと思い至る。

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エリート男性が戻ってきたことで昔の恋人の夫婦関係がかき回されるという骨格は「春の惑い」と瓜二つでも、こちらはぐっと現代的で、青年が主婦の深層心理や愛の意味を理解するまでの過程を過去への追想と現在の模様を交錯させる手法でがっちりと展開している。

オーヴァーラップといった転換手法を使わずに現在と過去をダイレクトに繋ぐ為に分かり難い箇所があるのが気になるものの、踊りが得意な活発な少女だったヌアンが足を引きずるようになった理由は何だったのかと気を持たせる作劇はなかなか巧妙。
 それに絡む縄ブランコの扱いも上首尾で、ヌアンとジンハーが二人でブランコをこぐ重要な場面は中国映画史に残る名シーンと言いたい程である。彼女が彼が帰って来なかった理由を「忘れていなかったから」と分析する言葉は味わい深い。ヒロインの愛情故の表現であるだろうし、同時に真理でもあるだろう。

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ジェンチーが「山の郵便配達」同様にたっぷり織り込んだ自然描写に三人の心情が深く沈潜して見事。

配役陣も好調。香川照之は演ずるヤーバが聾唖なので言語的に何ら問題がないだけでなく、アヒルを連れ歩くショットなどでは抜群の野趣を、ライバルの手紙のメッセンジャー・ボーイを務めて嬉々とするショットなどでは優れた陰影を生み出している。前後を巧みに演じ分けたリー・ジアも印象深い。

「木綿のハンカチーフ」中国版。

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mini review 08307「故郷の香り」★★★★★★★☆☆☆
大ヒット作『山の郵便配達』のフォ・ジェンチイ監督最新作。主演は『藍色愛情』のグオ・シャオドンとリー・ジア。原作は、『紅いコーリャン』『至福のとき』の原作者として知られるモー・イエンの「白い犬とブランコ」。郷愁を抱かずにはいられない村の風景は必見。[もっと詳しく] ...続きを見る
サーカスな日々
2008/08/07 21:20
『故郷の香り』
1本の舗装されていないあぜ道がなだらかにのびている。夏の夜明けのその道を、若者と呼ぶにはすでに年齢を重ねたひとりの青年が自転車で走ってくる。 彼は大学に合格して故郷を離れてから、10年ぶりにこの地に戻ってきた。何故、10年もの歳月故郷を帰らなかったのか。何故かくも長き間、生まれ育った村に背を向けていたのか。一台の自転車を追いかけていた映像は、やがてゆるやかにあけていく故郷の田園風景をひろげていき、観客は映画の舞台が中国の農村だとあらためて知らされる。その風光明媚な美しさと、村の貧しさと文明とはほ... ...続きを見る
千の天使がバスケットボールする
2008/10/05 09:10

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんちは。
木綿のハンカチーフ・・・ですね。
1975年の太田裕美の大ヒット。
「都会の絵の具に染まらないように・・・」って、僕の大学を出る頃、田舎のガールフレンドからのお手紙に、引用されちゃいましたよ(笑)
kimion20002000
URL
2008/08/07 21:26
kimion20002000さん、こんばんは。

>木綿のハンカチーフ
へえ、kimionさんも経験豊富だなあ。
だから素敵な分析もできるのでしょう。
僕は実体験が薄いから、技術的に観て楽しんでおります。
あの歌を主題歌にすればぴったりだったですね。
オカピー
2008/08/08 02:08
この映画は、大好きです。
もうこのような映画は、日本では製作できないと思っています。

>「木綿のハンカチーフ」中国版。

なるほどっ!!
樹衣子
URL
2008/10/05 09:18
樹衣子さん、こんばんは。

日本の映画界はドライか大甘かに二極分裂化していますから、こういう風にきちんと見せるドラマはもう無理なような気がしますね。
オカピー
2008/10/06 01:50

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